「ピリピリできるのは性善説で生きてるから」説

GWに専門学校の友人ふたりと会ったのだけど、そのときに話した内容が面白かったので書き留めておく(noteはだいたい1週間分くらいまとめて書くから話題にタイムラグが生じる)。

その日は、由美と真奈(ふたりとも仮名)と下北沢で会った。

由美は主婦で、脚本家のアシスタント。2年前に出産してからは、自宅でできる範囲で仕事を続けているが、本人のアイデンティティとしては今は母親業がメインのようだ。穏やかでほわほわしている。

真奈は舞台役者で、最近はお笑いの活動もしている。頭の回転が速くて面白く、口は悪いがだいたい機嫌がいい。

由美が出産してから、3人で会うのはこれが初めてだった。

適当に入った肉バル的な店で話していると、「ピリピリした人」の話題になった。挨拶しても無視する人とか、電車の中でベビーカーに舌打ちする人とか、スーパーのレジで「さっさとしてよ!」と言う人とか、そういう人の話だ。

真奈が言う。

「ピリピリした態度とる人って怖くないのかな? だってさ、相手が逆上してぶん殴ってくるかもしれないじゃん」

なるほどなぁ、と思う。

私の住む団地の同じ棟に、挨拶してもたまに無視してくるおばさんがいる(めちゃくちゃ上機嫌で挨拶を返してくれる日もある)。

無視されると悲しくなるけど、だからと言って反撃したことはない。

だけど、私が逆上して「てめー、シカトしてんじゃねえよ!」とおばさんに殴りかかる可能性だってあるわけだ。たまたま包丁を買った帰りとかだったら、刺す可能性だってある。

もちろん、私はそんなことはしないし、真奈の指摘を聞くまで考えたこともなかった。けれど、おばさんは私の性格を知らないわけで、なのになぜ、「そういう可能性もある」と思わないのだろう……?

私がそのおばさんの話をすると、真奈は

「そのおばさんはさ、サキちゃんのことを『こいつは無視しても殴りかかってこない』って無意識のうちに判断してるわけじゃん。それってある意味、信用してるってことじゃない?

と言った。

「いや、私のことを舐めてるだけでしょ」

「まぁ、そうなんだけどさ。でも、そのおばさんだって、相手があきらかにチンピラみたいな人だったら無視できないと思うんだよね。サキちゃんがいかにも普通の人だから、安心しきってるんだよ」

「たしかに」

「でもさ、普通の人が何かのきっかけでブチ切れることだって、世の中いっぱいあるじゃん。あたしはよく知らない人間のことを信用してないからさ、相手がどんな人であれ、『無視したら刺されんじゃねーか』って思うよ

「えっ、真奈ちゃんそんなこと思うの!?」と由美。

「思う思う。世の中リスクだらけだから油断できない。でも、そのおばさんはリスクを感じてないんでしょ? その鈍感さって性善説に近いと思うんだよね」

なるほど……。

真奈から見た世界は、温厚そうな人が突然キレてぶん殴ってくることも起こり得る、リスクだらけの世界。

おばさんから見た世界は、温厚そうな人は絶対に殴りかかってこない、安全な世界。

そう思うと、おばさんから見た世界って、実はずいぶん優しいのでは……?

ピリピリしてる人はそれだけ、油断できるくらいに平和ボケした世界で生きている。

真奈のその仮説が面白かったので、書き残しておいた。

まぁ、ピリピリしてる人は苦手だし、私もピリピリしたくないけどね。




あと3分なにか読みたい気分の方はこちらをどうぞ。私が人生初の釣りに挑戦した記事です。

いつの間にか「顔出しNG」が「横顔ならOK」になってるな……。

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吉玉サキ

ライター・エッセイスト/著書『山小屋ガールの癒されない日々(平凡社)』http://urx2.nu/Vmkr 複数のwebメディアで執筆中/有料記事は知人に読まれたくないものであり、有益な情報とかじゃないです/お仕事のご相談はsaki.yoshidama@gmail.com

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