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13年前に書いた小説をnoteに公開してみた

土曜の朝、唐突に「そういえば昔書いた小説のデータってあったっけ?」と思いつき、押入れを探してみたらCDロムが出てきた。

パソコンに入れてみると、20代前半の私が書いた小説がたくさん入っている。

思い入れのある長編もあれば、書いたことをすっかり忘れている短編も。

……なつかしいなぁ。

なんとなく思いつき、当時の私がいちばん気に入っていた長編小説の冒頭をnoteに貼り付けてアップしてみた。

公開したのは冒頭のワンシーンだ。

たしか原稿用紙換算で250枚くらいあった気がするから、noteに全文公開するのは難しいと思う。

冒頭を公開してみたことに特別な考えはない。思いつきで、なんとなく公開してみた。

この小説は、たしか専門学校を卒業する頃に書きはじめた。

2006年のことで、私は22歳。書いてからもう10年以上の月日が経っている。

時代背景が違うから、2006年が舞台と知らずに読むと少し違和感があって、あまりにも違和感のある部分(今は使われていない言葉とか)は修正した。

あと、そもそもが「webで横書きで読むこと」を想定していない文章なので、少し改行などを加えて体裁を整えた。

この小説は2007年に「すばる文学賞」に応募した。結果は、一次選考を通過して二次選考で落選。

たしか、7月発売の「すばる」で一次選考通過者が発表されたのだけど、私は山小屋にいたから、母にすばるを買って山小屋に送ってもらった。

それを見て一次選考通過を知り、山の上で大喜びした。

この年の応募作は1400作くらいで、一次選考を通過したのは70作くらい。

私にとっては、これが一次選考を通過した最初で最後の小説だ。

書いてから12年が経っているので、読み返してみると本当に恥ずかしい。

恥ずかしさのポイントは、文章の稚拙さというよりストーリーにある。

まず、「婚約者のいる異性の友人との期間限定ルームシェア」という少女マンガっぽい設定

作者の私が少女マンガ好きだからなのだけど、今思うとめちゃくちゃ無理のある設定だ。

あと、最後の最後まで、すべての登場人物が自分のことしか考えていない。

いや、現実にも「自分のことしか考えてない」人は存在するし、そういった人たちが織り成す人間模様を小説にしたっていいのだ。

けれど、作者である当時の私が「こいつら、自分のことしか考えてねーな」ということに気づかないまま書いている。

それが読み手に伝わってしまうので、なんていうか、「登場人物たち同様、視野の狭い奴が書いたんだな」とバレてしまう感じがある。そこがいちばん恥ずかしい。

ちなみに、主人公の名前は早季。

私のペンネームが吉玉サキなのは偶然ではなく、ペンネームを考えていたときに「そういえば、昔書いた小説の主人公がサキだったな」と思い出し、名前を借りた。

主人公の早季に特定のモデルはいない。私が考えた、架空のキャラクターだ。

だけど、当時の私が早季に「私が思っていること」をどんどん言わせてしまったせいで、早季の性格が自分に似てしまった。その「作者が行間からしゃしゃり出てくる感じ」も痛々しさの要因となっている。

一方で「四月ばか」にはモデルがいる。

当時は「四月ばか」のモデルとなった人物のことを尊敬していたけど、今はそうでもない。


まぁ、だからなんだという話だけど、当時は落選した長編小説を(冒頭だけでも)webに掲載するという発想はなかった。

小説投稿サイトとかもあるにはあったけど、めちゃくちゃ一文が短くて改行されまくったものが主流で、こういう文体のものは到底読まれそうもなかったし。

だけど、「noteなら読んでくれる人がいるかも」と思って公開したら、1500人くらいの方に読んでいただけた。

そして、noteで仲良くしている嘉晶さんが「続きを読みたい」と言ってくれたので、引き続き公開していくことにした。

公開ペースは悩んだけれど、週1で載せていこうと思う。

小説は完結しているし、そのまま公開してもいいのだけど、どうせなら少し修正しながら載せていこうと思う。

だけど、ほとばしる「若気の至り感」はそのまま残していきたい(恥ずかしいけど)。だって、もう二度と書けないものだし。


ずっと、我が家の押入れに眠っていた小説。

私と、数人の友人と、当時のすばる文学賞の下読み委員の人にしか読まれたことのない小説。

小説に命があるなら、12年ぶりに引っ張り出されていきなり多くの目にさらされて、「いやぁ、恥ずかしいなぁ」と感じているかもしれない。


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