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買ってよかったもの

ここ最近、ずっと悩んでいることがあった。

それは、外出に着ていく服がないこと。

そもそも、私は極端に服が少ない。きっかけは今の家に引っ越したことで、収納スペースの関係から多くの服を捨てた。また、昨年まで1年のうち半分は山にいたし、28歳を最後に「通勤」をしていないので、外出着があまり必要なかったこともある。

ミニマリストを目指したことはないけど、そういった諸々の事情から自然と、「外出着は1シーズンに3パターンあれば充分」というミニマルっぷりになった。

しかし。

もともと服が少ないのに、そのうちの2着が一気にダメになってしまった。

まず、1年前に購入した複雑な作りのジャンパースカート。左右の肩紐部分をクロスさせて着るのだけど、スカート部分の折り目が度重なる洗濯によって消失してしまい、シルエットがおかしくなってしまった。アイロンをかけても直らない。着れなくはないけど、かっこ悪い。

また、1年前に買ったコーデュロイスカートもやぶれてしまった。裏側から当て布をして縫ってみたら、パッと見はわからないけど、近くでよく見るとわかる。

もちろん、ジャンパースカートもコーデュロイのスカートも、少し変だけど、着られなくはない。

だけど、これらの服を着るとどうしてもテンションが下がる。

買ったときはあんなにアゲアゲだったのに、どちらもわずか1年で「見るだけでテンション下がる服」になってしまった。

主戦力だった2着を失い、冬の外出に着られる服がほとんどなくなってしまった。

こんなときに限って、取材、打ち合わせ、イベントと外出が続く。

ある日の外出前、いつものように「着るものがない!」とイライラしながら着替えていると、夫が「新しい服、買ったら?」と言った。

いやいや、私は月収少ないし、あんたはほとんど無職だし、服なんて買ってる場合じゃないでしょう!

……とは言えないので、「いいよ、お金ないし」とだけ答える。

「サキちゃんここ最近、外出のたびに服がなくてイライラしてるじゃない。服さえあれば、そのストレスがなくなるんでしょ? それなら、買えば解決じゃん」

……なるほど。

たしかに、そのとおりだ。今1着購入すれば、その服は「着る」という役割だけではなく、「服がないストレスからの解放」という役割をも担ってくれる。

私は、外出のたびに感じるこのストレスから逃れたい。

そのために、服を買ってもいいじゃないか。

結局、私は「自分への誕生日プレゼント」という言い訳をしながら、紺色のワンピースを買った。紺色のワンピースにこだわったのは、吉玉サキのアイコンに寄せるためだ。

ちなみに、ロペピクニックで5,000円くらいだった。

それにしても、まさか35にもなってロペピクニックで買い物するとは……。

ロペピクニックは20代半ばのOLさん向けのショップで、デザインは可愛らしくて無難。ほんのり甘めだけど甘すぎず、派手すぎもせず、はっきり言って「すごくオシャレというわけではないけど誰からも好印象な服」を売っている。

私はロペピクニックがあまり好みではない。

それは、私がすでにブランドの対象年齢から外れているからではない。20代のときから、そういう可愛らしい服を着るタイプではなかった。

じゃあ、なぜ35にもなって柄でもない可愛い系のショップで買い物をしたかと言うと、zozoで紺色のワンピースを検索し、予算的にもデザイン的にもちょうどいいのがそのワンピースだったから。

実際に店舗に行って試着すると、言わなければロペピクニックだとバレない程度にはシンプルで大人っぽかった。素材も高級感がある(まぁ、今書いて自分からバラしたのだが)。

お店にいる間、「本当はもっと年相応なショップで買い物したいなぁ」と思っていた。

だけど、店員さんが「たくさんお召しになってくださいね」と紙袋を手渡してくれたとき、素直に、買ってよかったと思った。

これで、この冬の間はイライラせずに外出することができる。

お気に入りのワンピースで、たくさん出かけよう。


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