モテないのは誰も悪くない
「モテる」という語の定義は曖昧で、人によって違うと思う。
私はその言葉を「多数の人間から恋愛感情を持たれること」と認識している。
具体的な数字で言うと、常時2人以上の人から恋愛感情を持たれているとか、過去に10人以上の人から告白されたとか。
そういった人を見ると「モテるなぁ」と感じる。
ちなみに、「口説かれる」とか「チヤホヤされる」はモテのうちに入らないと思っている。私の定義は、あくまで恋愛感情を持たれるかどうかだ。
さて、私のことで言うと、今この地球上に私に対して恋愛感情を持っている人間は0人だと思う。夫は私を愛している(と思う)けど、恋愛感情ではないだろう。どこかの誰かがひそかに想っている可能性も、限りなく低い。過去には恋愛の経験があるけど、数が多いわけではない。
従って、私は自分のことをモテないと認識している。
◇◇◇
私がモテないのは、私に対して恋愛感情を持つ人がいないということだ。
そのことに対して、少し淋しいなぁ、モテてみたかったなぁ、と思う。
だけどまぁ、しょうがない。来世に期待しよう。
……とあっさり引き下がれるのは、私がモテないことは誰も悪くないことだからだ。
私が悪いわけでもないし、私のことを好きにならない人が悪いわけでもない。
私がモテないことに「理由」はあるだろう。だけど「責任」はない。
私にも、他人にも。
◇◇◇
だけどたまに、自分がモテないことに対して妙に他罰的な人がいる。
モテないことで、特定の誰かや、異性全般を憎んでいる人。
もしくは、自分がモテないことに対し、被害者意識を持っている人。
……なんで?
他者がその人を好きにならないことは「加害」ではない。その人が誰からも好かれなかったとしても、それは「被害」ではない。
その人も、周りの異性も、被害者でもなければ加害者でもない。たまたま、誰からも好意を持たれていないという事実があるだけで、誰も悪くないと思う。
「自分は異性から虐げられた被害者だから、正当な被害者意識を持っているんだ」という人は、そのことだけを主張すればいいと思う。それと非モテは別問題だろう。
モテないことで異性を憎んだり、「自分かわいそう」と思う人は、逆の立場になって考えてみたらいいと思う。もしも、好きじゃない人から「なんで好きになってくれないんだ!」と責められたとしたら、どう思うか。
「そんなこと言われましても……自分が悪いわけじゃないし」と思うのではないか。
◇◇◇
好かれたい気持ちも、好かれなくて苦しい気持ちも、わかる。
「なんで好きになってくれないんだ!」と言いたくなる気持ちも、わかる。
でも、それらの気持ちは、憎しみや被害者意識に変換すべきではないと思う。
その変換は、自分の心を傷つけるだけだから。
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