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手紙

チェックインを済ませてスーツケースを預ける。

振り向くと、両親は笑顔のような困り顔のような、なんとも言えない表情で私を見ていた。

今までありがとうございました、とか、言ったほうがいいのだろうか。

だけど、とってつけたようなお礼を言うのは気恥ずかしい。来月また結婚式で会うのだし。

逡巡していると、父がいつもの飄々とした口調で言う。

「この前も言ったけど、花嫁からの手紙、あれはやめてくれよ。恥ずかしいから」

「わかった」

「そう言ってて実は読まれたい、とかじゃないから。父さん、本当にああいうの苦手だから」

「お父さん、しつこいわよ」

母が笑いながら言う。父も笑って俯いた。

「その代わり、落ち着いたらでいいから、父さんと母さんに手紙を書いてくれないか。誰にも見せないから」

「……わかった。じゃ、また来月ね」

手を振って、手荷物検査場に向かう。

これからも会えるのに、なんで泣いてしまいそうなのか。

自分でもよくわからない。


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