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日記 ムンク展へ

ムンク展に行ってきました。

印象は操作されちゃうなと思った。
日本では(世界でもかな?わかんないけど)「叫び」がムンクの代名詞になっているよね。
両頬に手を添えて、橋の上で画面の中央に立つ人が驚き叫んでいる絵。背景は大きなストロークのタッチで描かれた風景なのか、色彩の混ざり。

展示の方向性としても、孤独と憂鬱と葛藤と不安に満ちた生涯みたいなまとめ方。
「不安」と「絶望」というタイトルの絵の並びに「叫び」が配置されていた。

「絶望」は叫びと同じような構図で、手前に立っている人物がもう少しリアルタッチだった。顔は俯いて鬱々としているが、その表情はどこか憂いを帯びているようだった。
陶酔にも似た自己愛を感じる絵が他にも多かった。
闇期みたいな絵も何点もあったけれど。。
特に人物を描く絵からは、人間関係に辟易していたり裏切りがあったりしたように見えた。
恨みや怒りや悲しみも、多く感じられた。

ムンクには壮絶な事件と銘打たれることが幾つかあって。
結婚しようとしていた女性との口論で、銃の暴発事件に発展してしまい手の指の一部を失くしてしまったり、だとか。母や姉を幼少期に亡くしていたりとか。精神病を患って入院していた時期もあったそう。
でもそういうのって生きてたら人生にあるよねーーって思った。壮絶な事件には違いないのだけれど、一側面で。
そこだけ取り沙汰されてイメージ付けをされてしまうのは作者の意図ではない気がした。

家族を描いた絵からは、とても愛情を感じたよ。
特にお父さんを描いた絵には、泣きそうになってしまった。めちゃくちゃよかった。

「叫び」を描くにあたって。
夕暮れを歩いていた時に、雲が夕日を浴びて血のような赤に染まり、その側にはフィヨルドの大自然。その時、自然の叫びを聴いた、という事で製作されたらしい。
それは、歓喜にも見えるし、あまりの美しさに対する圧倒的な絶望かもしれないし、恐ろしさへの脅威を意味してるのかもしれない。
受け取り方によって全く絵の意味は変わってくるから楽しいよね。
ただ、あんなにデッサン力の高いムンクが、シリアスな場面に描こうとするなら、もっと上手に書くんじゃないかな

「叫び」の両頬に手を添えて驚いている顔は、どうみたってポップだ。映画でよく見る、オーマイガー!そのもの。私はやっぱり笑えたし、かわいいと思った。
丸が三つで叫んでる顔なんて、笑っちゃうでしょ。
「接吻」とか、「叫び」は星野源の恋みたいな、大衆向けのポップスみたいな気がした。

そういう風に、鑑賞者にどう受け取ってもいいという自由が含まれている作品が、ポップ性のアイコンなのかな。それを意図して組み込もうとしていたのかな。
ムンクは「叫び」や「接吻」や、「絶望」などは数々の習作を製作しているらしく、
今回来日した「叫び」は、その一つだった。
今回の展示作品は、顔がひょうたん型に歪んでるタイプではなく、1番真正面を向いている絵だった。

自画像を80点も描き、カメラを買ってからは自撮り(セルフポートレート)も何枚も取っていたそう。その絵や写真がとてもよかった。悩みながら葛藤しながらも、自分が大好きなおじさんに思えて、可愛らしく見えた。
たくさんあるポストカードの中で、1番チャーミングな絵を買って、帰りましたとさ。
めちゃくちゃかっこよかったな。
行って良かった。


人生の中で起きた出来事をどれでも選んでいる暇などなく、とにかく絵にしなきゃ行けない、みたいな気迫もすごく感じた。
イケメンで若くして(40代くらい)成功させていたらしいので、画家のキムタクみたいな大スターだったのかな。
(40-50代くらいで、大回顧展をオスローとパリの二大都市で開催している。)

大スターの背負い込みもあっただろうし、それでも表情にハッとする絵が多いから、人が好きだったのかなと思った。
だから、死や、最愛の人の裏切りなど、悲しいことを許せなかったり、怒ったり、信じられなくなったり、苦しんでいたり、したのだろうか。

叫びの背景にもある、あの独特な波のような歪む曲線は、何作品かに渡って見られ、定番化してるようだった。
世の中的に少しキャラクター付けをされていたのかな??想像で言ってるだけなのでなんの根拠もないのですが。。。
名を馳せるきっかけになったのは、何かの抽象的な絵が発表した際に大批判を読んだらしく、それがムンクの大事件として結局のちに脚光を浴びるようになったらしい。(なんの絵だったかは忘れた)
そういえば大回顧展で何が評価されたのかはよくわかんなかったや。書いてあったけど読んでないだけかも...

会期終了間近でめちゃ混んでるし、なるべくサクサク見ても1時間半はかかりました。
チケットは絶対に上野駅構内の公園改札前にある券売所がオヌヌメです。
窓口は一つだけれど、待ち時間は会場で買うより確実に短い!


上野といえば、東京文化会館も好きなところです。
この建物の向かい側にある、ル・コルビュジェ設計の国立西洋美術館の監理をやっていた前川國男設計の建築。
内装も猛烈にかっこいい。
床のタイルとか、境界を区切る鉄製の格子とか、ディテールがイケすぎて最高にお洒落。
一階の、入場口の低い天井高が特にいいのです。
これはきっと、向かいの西洋美術館と合わせています。

この闇夜に光る、星空のようなダウンライト。
大好きな建築です。
トイレが空いているし、美術館前にフラッと入ってみてはいかがでせう。

#日記 #ムンク展 #美術

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