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「とりあえず2・3案」より、ゴールまでの道をつくる



「デザインA案・B案問題」をディレクター目線で考える
https://we-creat.net/mindset-11/?utm_content=bufferfc64b

この記事にはほぼ同意で、感想的なことをfacebookに書いていたのですが、少し整理して転載します。

「デザインA案・B案問題」は昔からある問題で、2002年に出した
『ウェブサイト制作のワークフローと基礎技術』https://www.amazon.co.jp/dp/4774114758/ 
でも、その問題点を書いていたのですが、今もほとんど変わっていないと感じます。

デザイナーだけで判断しきれない、判断しないほうがいい課題というのは常にあって、そうした点について、いくつかバリエーションを作ってみて判断するというのは有りです。課題が明確になっていて、その課題の解決策を模索するというのであれば。

だけど、なんの方向性もなく、「とりあえず」2案作って、3案作ってというのは、クリエイティブでもなんでもないんですね。きちんと方向性を詰めていれば、細部のバリエーションがでてくることはあっても、全く違う2案、3案がでてくることのほうがおかしいわけで。

そういうのは「2案のなかから選んだから、これが正解ということでいいや」という、納得するための言い訳でしかありません。「2・3案見せて、選ばせてあげれば、クライアントも納得するから」というようなことを言う代理店の人もいますね。納得することは、大事なことではありますけど、それでデザインの質が保証されるわけではありません。

これ、コンペもまったく同じで、正しい解決策への道のりを考えることをしないで、方向性をつめることなく、とりあえず作ってもらって、そのなかの1番を選ぶということなわけです。思考形態としては、まったく同じです。

ロゴや書籍の表紙とかだと事情が違ったりはしますが、サイトのデザインなど、機能性の高いもので、はじめから前提として、「とりあえず2案・3案」とかいうことになったら、その段階で、考え方の道のり、意思決定の仕組み自体が少し歪んでいる可能性があることを検討したほうがいいと思います。

仕事を受ける側としては、早い段階でこういう歪みの「香り」を感じて、「対処する」「覚悟する」、時には「逃げられるうちに逃げる」というのは、仕事をするうえで、重要な感性だったりもします。

重要なのは、いきなりゴールにたどりつく「どこでもドア」を望むのではなく、ゴールまでのきちんとした道のりを作っていくことです。漫画の世界でなければ、やはりきちんとした道がなければ、ゴールにはたどり着けないものです。こういう課題を解決していけば、正しいゴールにたどり着くはずだというルートを描いて、少しずつゴールに近づいていくことが大切なのだと思います。

Photo: Johannes Plenio from Pixabay

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