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ダラスの注目若手ラッパー part.1

 90年代はErykah BaduやThe DOCを排出し、2000年代後半になると「Teach Me How To Dougie」を代表とするBougieサウンドが世界中で大流行。Ice Ice Babyは世代に関係なく知られている超ヒット曲だ。これらの共通点はどちらもダラスから生まれたということ。近郊都市のフォートワースとアーリントンを含めると、全米5位の人口にも膨れ上がる南部の大都市の1つ。多くの才能が出てきたのも納得だ。しかし近年はどうだろう?

10年前はテキサスのベイエリアと言われるような、繁栄を見せていたようだが、最近では、ダラス出身の文字を見ることが少ない。しかし、アーティストのツアーをみると高い確率で、ダラスが入っていることだろう。ヒューストンを中心に盛り上がりを見せるテキサス州、今後ここから新たなスターは現れるだろうか? いや出てこない方がおかしいのではないか?

しかしダラスにとって、この1年はかなりタフなものであった。

Rick Rossと親交のあったダラス出身のラッパー、C Struggsは8月3日に32歳の若さで息を引き取った。転移癌と診断されてから長い闘病生活を続けていたが、体調が再び回復することはなかった。Rick Rossも「C Struggsもホーミーも全員良いやつだった、忘れることはないよ」とシャウトアウトを送っている。

それからわずか2ヶ月後、ダラスの新星ラッパー、Yella Beezyがドライブ中に銃撃にあったと言う衝撃のニュースが流れ、現場の状況はリアルタイムで伝えられた。12の発砲にも関わらず、幸いにも致命傷はなく一命を取り留め、次の日にはテレビを見るまでに回復している。ダラスの南部は比較的危険な地区として知られているが、Yella Beezyが撃たれたのは、北部のLewisville。全体的に治安が悪くなってきているのだろうか? 

書いてて眠くなったのでまずは2人だけ紹介します。

Yella Beezy

まずはそのYella Beezyから、1億回再生を突破した「That's On Me」

銃撃事件からも驚異のスピードで回復しリリースした、デビューアルバム『Ain't No Goin Bacc』。超豪華なメンバーを加えた「That's On Me Remix」 に、Lil Babyを客演に迎えた「Up One」(5000万回再生超え)など、クオリティーの高い曲が並ぶ。皮肉なものか、彼の銃撃事件の影響が彼の曲を聴く入り口になっている一面もあり、そこに待ち受ける彼のデビューアルバムは、ファンを獲得する1つのシステムとして出来上がっている。

Yells Beezyと言えば、どの曲にいても超目立つ圧倒的存在感だ。髪型ももちろんそうだが、特徴のあるハイトーンのフロウは一度聞けば忘れることはないだろう。ダラスの若手が一同に集まったマイクリレー、「6 pick」の中でも、彼の個性は決して消えることはなかった。

Yells Beezyの人気は徐々にダラスの壁を超えつつあり、それは本人も自覚している。Jay-Z & BeyonceのツアーにDJ Khaledのセットでの登場と、BETでのLIVEパフォーマンスは、全米中に名前を広める大きなきっかけになったと語っている。それに加え、ダラスのラッパーはYella Beezyのことを口を揃えて「希望」だと呼ぶ。彼の存在はもはや、ダラス全体の代表になってきているようだ。26歳のダラス出身アーティスト、Raw Elementzは彼についてこう話す。

「ダラスには全米からスポットライトを浴びるまで成り上がったものはそんなに多くいない。しかもこのスピードで。俺は彼がこの街を変えてくれると願っているよ。俺らにとって希望の光みたいなものだよ」

ダラスでのキャリアの長いPikahssoはこう語った。

「俺はダラスの中じゃ老猫だ。ほとんどの猫はまだ若すぎて知らないと思うが、DOCやNemesisがレーベル契約するのを見てきたんだ。Yella Beezyに今の若い者たちが感じていることは、よくわかるよ。彼は希望だ、ダラスは希望が必要なんだ」

Bobby Sessions

ダラスの若手ラッパーと言って真っ先に思いつくのは、Yella Beezyかこの男、Bobby Sessionsだろう。タイプは違えど、ダラスを代表するアーティストであることに違いはない。現状をひたすらに単語でドロップし続けた変わった1曲、「Black Neighborhood」をどうぞ、

サウンドクラウド隆盛を経て、再びラップのスキルに注目が集まろうとしている今日この頃。Joyner LucasのビーフやJ.I.Dの新譜が注目を受けるのは、当然の流れだろう。彼らのスタイルが再びHIP HOPで席を作り出した時、Bobby Sessionsが上がってくるのは時間の問題ではないだろうか? いやもしかすると彼自身でムーブメントを作れるレベルまで到達しているかもしれない。

コントロバーシャルな現実にひたすら疑問を投げつける「Poltics」は、Colin Capanicと思われる衣装を着て、沈黙していることへの意味をラップで表現。「Like Me」では '黒人を合法に' と書かれたフーディーを着用し、黒人でいることの不公平さを訴えた。

彼のアーティストとしてのあり方は、2012年に起きた事件が深く関係している。31歳の男性が警察から3発の銃弾を浴び、亡くなった件であるが、この男性は後にJames Harperと判明した。Bobby Sessionsのいとこである。この事件は警察側に明らかな間違いがあったと判断されており、暴動にまで発展した。

「どうせただスマホをスクロールして、残念なことがあったと呟き、また普通の生活を始めるだけだろ? 」

彼が語ったこの言葉は心理でしかない。Def Jamと契約し、これから露出が増えてくることが予想されるが、世間は彼の問いにどう答えるだろうか...

part.2はこちら


written by YOSHI


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