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Lil Baby好きBLOG ①Perfect Timing編

記念すべき第一回、Lil Babyについてただ書くだけのブログです。個人的意見ですので、お気に留めず流し読み程度でお願いします。

Lil Babyの簡単な紹介はこちら

今となってはお金を使いまくり、チェーンを買い、コデインをやめなきゃ、みたいなラップをしているLil Babyですが、デビューEP「Perfect Timing」をリリースした当時は、そのようなラップはほとんど見つかりません。現実をとにかく変えようと、金を稼ぐことに焦点を当てた作品になっています。

18の時に過去の様々な罪から、6ヶ月間の収監を言い渡されたLil Baby。最終的にはプログラムをパスできないとかなんとかで2年間は塀の中にいることに。ですが結果的には、ここでの出来事が彼を変える転機となり、今のWork Ethicを形成します。

2年間の刑務所生活を経て、今変わるしかないと、今が「Perfect Timing」だと自分自身の覚悟をそのままストレートに表現したのがこのEPになっているわけですね。

ではさっそく彼の世界へ行ってみましょう〜

まずはMONEY、次にMONEY...

なんといっても目立つのはMoneyという単語です。Lil Babyといったら4PFですが

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これは4つのポケットが金でパンパンって意味で(4 Pockets Full)使っています。そのためLil Babyはポケットがスカスカの奴がとにかく嫌いです。「Racks In」ではこのようにラップ。

あいつらは金がねぇ。ポケットが平らだからな。困らせんな。(These niggas broke, they pockets flat, that shit embarrassing)

Embarrassingって表現が出てくるのが、さすがQCファミリーみたいなところですカネ。「Racks In」では他にも「お金が好きだから結婚した方がいい」とプロポーズまでしているくらいです。

そして、このEPからの1番のヒット曲「Option」は、ひたすらお金だけがたった1つの「選択肢」だと訴え続けています。そのくらいとにかくお金は大事だと。12曲の中で、なんと73回もMoneyとラップしました(前置詞のForよりも多い)。

リアルにとにかくこだわったLil Baby

「No Cap」

一時期ラッパーたちが常に言ってたこの言葉ですが(Lil Babyももれなくそのうちの1人)、簡単にいうと「No Lie」、嘘つかないってことです。このEPでも若干の誇張は見れますが(車の描写とか本当かどうかちょい微妙)基本的にはNo Cap論を突き通しています。この頃から彼のスタイルは全くぶれていませんね。キャリア初期にフロウと方向性を確立させたのも、このスピードで成功した理由の1つでしょうか。

Moneyの他に、今回のEPでとにかく登場した言葉で、beenがあります。アフリカ系アメリカンだと当たり前のI have beenのhaveを省略した、I beenという表現なんですが、1曲換算すると約3回も出てきます。「〜〜していた」という表現なのですが、一体Lil Babyは何をしていたのでしょうか?

beenから続く単語を調べてみると、grindが7回、workが5回、chaseが4回と、どれもひたむきに努力を続けていたことが伝わる動詞に繋がって行くことが分かります。芽が出る事はわかってるから、努力を続けていると。Young Thugという成功者のメンターが近くにいたことが、かなり鍵な気がしますね。

そしてbeenと同じ頻度で出てくるのが「Plug」という単語。Rich The Kidの「Plug Walk」で一気に一般化したような印象がありますが、普通に売人って意味です。10曲目の「Plug」はそのままこの言葉がタイトルになっていますが、内容もとにかくPlugにシャウトアウトを送るだけ。

ただちょっと面白いのは、全体で見ても具体的なドラッグについてはほぼ触れられていないとこです。今ではどハマりしているコデインなんですが、EP通して1度しか出てきていません。しかもLil Baby自身ではなくYoung Thugのバースで。刑務所から出てきたばかりで当たり前と言ったら当たり前なのですが、これはちょっと意外でした(コカインも1度だけ)。Futureがコデインを飲めることをある種特権のようにラップしてたこともあって、未だに高い敷居があるのかな、なんて思ったりもしますが。

最初のEPとは思えない豪華なサポートメンバー

Young Thug、Gunna x2、Lil Yachty、Young Scooter、Lil Dukeらをはじめとした、リアルなアトランタメンバーたちがこれでもかと集まりまった異次元のメンツ。誰とでもビーフをしたがる6ix9ineでさえLil Babyにはラブを送り続け、DJ Khaledにも一瞬で本物と認められ、Drakeの方から曲を送ってくる(普通みんなDrakeに曲を送るんやで)など。彼自身、キャラクター含め周りの人たちを頷かせる何かを持っているのでしょう。話したことはないので(将来あったらいいな)わかりませんが、ここまできたらそんなん明らかです。

そしてこのEPでは、どのラッパーも手を抜かず本気で参加していて、中には主役を喰う勢いの人たちもいるくらいですね笑 それに応えるだけの能力がLil Babyにはあることの裏返しでしょうか? そして相互関係として成長して行くのがまた面白いです。まずはLil Dukeのラップから。

金がない奴らは置いて行って、ランボルギーニ・ムルシエラゴで帰ってきた。お前の娘を呼ぶかもな、昔はMARTAに乗ってたけどよ(And I left the hood broke, came back in a Murciélago. I might fuck on your daughter, I used to ride on MARTA)

マジで超かっこいいですね。フロウでは今と変わらず、新しくて面白くてキャッチーなものを毎度持ってくる天才ことLil Babyなのですが、リアルすぎるあまり、このころのラップはストレートな表現ばかりです。そこを補ってるのがYoung ThugだったりGunnaだったりなんですが、このDukeはマジでかっこいい。1行目のこれはTravis Scottの「Beibs In The Trap」も思わせますね。

トヨタで街を出てランボで帰ってきた(Pulled out of the hood Toyota Drove back to the hood Lambo)

ってとこです。MARTAってのはアトランタを東西南北につなぐ地下鉄のことで、言い換えるならJRみたいなとこです。ただ日本ほど正確でも安全でもなく、お金があれば基本は車で移動します。娘を呼ぶってのがよくわかんなかったんですけどあくまで私の予想で。金がない奴らに向けてラップしてるんで、そいつらが俺らみたいに努力をしないから、娘を売春の道に進ませることになると。Dukeは自分たちの力でこのサイクルを断ち切ったと話してるんじゃないかと思いますた。

これはLil Babyにもいい影響を与えてると感じます。後から付け足されたような3rdバースにはそのままMARTAが登場してますし、コーラスの「プライベートジェットでLA→NY→テキサス→アトランタを回る」ってとこを相対的に光らせている効果もあると思います。

そして今のベストパートナーGunnaとの「Our Year」はもはや化学反応です。

コーラスと最初のバースはGunnaが担当してるだけあって、Gunna色が強い1曲なんですが、Lil BabyのバースもまるでGunnaが乗り移ったようなバースになります。No CapなLil Babyだけあってお金を稼いでると言ってはいますが、この「Our Year」以外では具体的にブランドに例えることはありませんでした。

しかしこの曲ではジバンシィ、シャネル、YSLと次々に登場します。「まるでルイヴィトンがスポンサーになったみたいに全身ヴィトン」なんて言ったりしてるくらいです。憶測の域でしか言えませんが、先輩ラッパーのライブについて行ったり、ある程度ラッパーとしてものを買えるくらいまでお金が溜まったってことでしょうか? プロデューサーもWheezyですし、EPの終盤にレコーディングしたというなら納得です。EPの中で少し浮いているバースが、今のLil Babyのスタイルに1番近いってのもまた面白いんですが。

Lil Babyの女性観は?

このEPもう一曲だけ浮いてるやつがありますね。

HotNewHipHopがMVを作ってるってみなさん知ってました? まだ売れる前のLil Babyをこうやって初期からフックアップしてたんで、この前のどでかいインタビューもそりゃHNHHがやるよなって感じですね。

Lil Babyの女性観なんですが、他のラッパーと比べてもかなり独特です。ラッパーがよく踏みがちなグレーゾーンとしてミソジニーの領域がありますが、Lil Babyの場合は、簡単に女性軽視のラッパーとして振り分けられない性質を持っています。少し先のEPなんですが、彼の2億再生越えのヒット曲、「Freestyle」でのこのバースはかなり有名です。

「もし彼女がやりたがらないなら、俺はやらない。化粧してる女は嫌いだ、もしおっぱいが欲しいなら俺が払ってやる(If she won't fuck I won't make her. I don't like bitches with makeup. If she want titties I pay for 'em)」

Makeupは韻踏むためで、嘘つくのが嫌いってことです、多分。つまり彼女のイエスがなきゃ、やりたくてもやらない。買って欲しいもは買ってあげるけど、嘘つく女はバイバイってとこでしょうか。日本のクソ大学生に聞いて欲しいですね、Lil Babyを。ただしLil Babyの場合、浮気は普通にします。

『Drip Harder』がリリースされた途端「Close Friends」がとにかく再生され、多くの人が涙流しましたが、Lil Baby普通に浮気してますからね。この「For You」もかなりそれに似ています。

「Close Friends」だと原因がどっちにあるかわからず、昔の彼女を恋しく思っていて、いまでもその時の思いから金は送り続けてるってストーリーでした。それに比べて「For You」では、すれ違いの原因は、Lil Baby自身にあるとおそらく本人も気づいているようです。「Days Off」や「9to5」でひたすらラップしているのですが、とにかく休みを捨てて、音楽に全てを捧げる覚悟を見せたLil Baby。そのせいもあって彼女との時間を作れなくなって行きます。最終的に浮気もするLil Babyですが、MVが一段とそれを悲しくさせます。綺麗な女性が1人登場するのですが、Lil Babyと触れ合うシーンは最初の10秒しかありません。それ以降は、ベッドの上に2人いるシーンもありますが、指1本触れません。Lil Babyの女性観はこの頃からハッキリしてるなと感じます。

Lil Baby自体、ミソジニー観を持つラッパーを嫌っている訳ではありません。なんならBig BrotherはYoung Thugだし、Lil Durkのことはファンから見てもわかるくらい距離の近いラッパーです。ただLil Babyがジャンルを超えてここまで支持される理由はおそらくこれがデカイような気がします。


これで『Perfect Timing』の感想終了です。私がLil Babyが好きな理由が少しでも伝われば嬉しい限りでございます。なんとなく今まで聴くのを避けてるのであれば、是非聴いてみてください〜それでは〜〜

written by YOSHI


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