見出し画像

死とは、生きる方法のひとつだ。

死とは何か。そんな壮大で哲学的なテーマについて、考えを巡らせたことがあるだろうか?今日は不思議な生き物たちから学んだ、『死とは、生きる方法のひとつだ。』という話をしたい。最初に言っておくが、あくまで、ひとつの捉え方である。

* * *

先日、稲垣栄洋著『生き物の死にざま』という本を紹介しました。

上の記事では、この本の第1章を紹介したんですが、その後もグイグイ引き込まれるように読み進めました。

母なる大地を見つめ最後を迎えるセミ。子育てをする昆虫のハサミムシ。生まれ故郷をただひたすらに目指すサケ・・・

生き物の進化の歴史、人間との関係、そして死とは何かという哲学的なことまで・・・いろんなことを学べるし、考えさせられる本だなぁと改めて思います。

いずれの生き物についても、その死にざまが描かれているんですが、4分の3ほど読み進めて驚いたことは、老化しない生き物がいること、そして、死なない生き物がいること、です。

ハダカデバネズミは老化しない

驚きの生き物を本書の中から紹介します。ハダカデバネズミというネズミです。その名の通り、ハダカ(体毛がない)で、デバ(出っ歯)のネズミです。その容姿もかなり驚きだけど、もっと驚くのは、ハダカデバネズミは老化しないということ。

生命の始まりである単細胞生物は、ただ細胞分裂をして増殖するだけです。もともと、こういった生物には“老いて死ぬ”という概念がなかった。そんな単細胞生物がやがて多細胞生物へと進化する過程で、古い細胞を壊して新しい細胞を生産するという仕組みを発達させたそうです。これが、“老いて死ぬこと”の起源ですね。

人間も猿から人へ、いくつもの世代交代を経て、不要なもの(尻尾とか)の遺伝情報を書き換えながら進化してきました。つまり、世代交代を経て少しずつ進化していくことで、世の中に適応し、種を存続させてきたわけです。

でも、ハダカデバネズミは“世代交代で進化する”という方法は取らず、ただひたすら長生きする・・・つまり老化しないで子孫を増やしていくという方法を選択して種を存続させていたんですね。

だから、一般的な動物のように、老いて死ぬということが基本的にはないそうです。もちろん、老化はしなくても、外敵に食べられたり不慮の事故に遭遇することはあるので絶対死なないわけではないですが。

現代は“人生100年時代”なんて言われていますが、これは医療技術が発達して今まで治せなかった病気や怪我も治るようになったことが要因のひとつです。それでも人間は、いずれ老いる。それは避けられない、人間という種の宿命です。

「いつまでも若々しくいたい」と思っている人が一般的に多いように思いますが、“老いることなく生きられる”と聞くと、あなたは羨ましいと思うでしょうか?それとも・・・何を思いますか?

ベニクラゲは死なない

老いないどころか、死なない生き物もいるのだとか。これまた驚きです。そんな驚きの生き物をもうひとつ、本書の中からご紹介します。ベニクラゲです。クラゲはその見た目も不思議な生き物だけど、生態もめちゃめちゃ不思議でした。

クラゲはプヌプラという小さなプランクトンから、ポリプ、ストロビラという岩に付着したイソギンチャクみたいな、まるで植物みたいな状態を経て、その後花びらが散るようにバラバラと分裂し、その一枚の花びら(のような生き物)が、やがて私たちがよく目にするクラゲのになるのだそうです。

そんな生態だけでも不思議ですが、そんなベニクラゲはどんな風に最期を迎えるかというと、あろうことか、また植物のつぼみみたいな様態に変化して、再び同じサイクルで成長を繰り返すといいます。つまり、死なずに生まれ変わるってことです。

クラゲは5億年前から今みたいなカタチをしているらしいけど、もしかしたら5億歳のクラゲもいるんじゃないか?とも言われているらしい・・・

こちらも不慮の事故(別の生き物に食べられるとか)に遭わない限り、5億年でも生きられると聞いて、あなたは羨ましいと思いますか?それとも・・・何を思いますか?

死とは、生きる方法のひとつだ。

死とは何か。

こんな生き物たちのことを知ると、ますますよくわからなくなってしまう気もします。でも、この本を読んで学んだことは、多くの生き物は“死ぬこと”を自ら選んでて進化してきたということ、そしてまた、数は少ないが“死なないこと”を選んで進化してきた種もいるということ、です。

つまり、“死ぬこと”はその種がこの先も長く、長く、この世に適応し繁栄していくためのひとつの方法ってことなんだと気づきました。これは人間だって例外じゃないんですよね。

死ぬことは、生きる方法のひとつだ。死ぬことは、種を存続させるための方法のひとつに過ぎないんだ。人間は、進化の過程で“死ぬこと”を“生き抜く方法”として選択したに過ぎない。

だとしたら、人間も進化の過程のどこかで、今とは違う方法を選ぶことがあり得たかもしれない。

もし人間が、ハダカデバネズミのように老化しない遺伝子をもち、或いはベニクラゲのように生まれ変われる性質を持っていたとしたら・・・なおかつ、こんな高度な知識や技術を持ち得ることがあったとしたら・・・

もしそうだとしたら、おそらく、既に地球は滅びてしまっていたんじゃないかと僕は思ってしまいます。死なない人間という種は、世界中の食料を食い尽くしてしまい、自然環境を壊し過ぎてしまい、いずれ餓死したり、とんでもない気候変動で死ぬ運命だったかもしれない。

そう考えると、生命って絶妙なバランスでできてるんだなって思います。


・・・ホントはこの本を読んでもっといろんなこと考えたし感じたんだけど、それを今は、うまく言葉にできないので、それについては、また気が向いたら、言葉にできるようになったら、書こうと思います。

それにしても稲垣さん、素敵な本を世に送り出してくれてありがとうございます。

このnoteは、日々の暮らしの中の気づきや学びを短い文章で綴っています。僕の学びが、あなたの気づきや行動のきっかけになれば幸いです。

この記事が参加している募集

推薦図書

お気持ちだけでも嬉しいです。ありがとうございます!