東日本大震災での寄り合い

 大学に進学して最初の春休み、私は家で餃子の餡をこねていたのですがそんな時にドドドドと経験をしたことのない大きな地震を経験して私はボールを抱えたまま家の外に飛び出しました。幸いにも大きな倒壊などはなかったのですが私の生活をしている地域一帯は停電をしてしまいました。大きな地震がきたということ以外の情報がないままウロウロしていることしかできなかったのですが徐々に日が落ちて寒くなってくるそんな時に、一階で店舗を経営しているご主人が「ウチの石油ストーブにみんなで当ろう」と声をかけてくれたのです。そうして私同様アパートの前でウロウロとしていた住民が一階店舗に集まったのです。そこで建築科に通う学生や日本語が全く話せない外国人など一緒に住んでいるのに話したこともなかった面々が集まり各家から食料を持ち寄り自己紹介を始めるのです。そして停電が解消し、各部屋に戻りテレビをつけた時の絶望感は今でも覚えているのですが、茫然とした気分のなか家にいるとバイトの同僚のご家庭方が心配をして私の部屋まで夕食を届けてくれたのです。
 とても大きな大災害の中ではありますので都会に出てから地域という存在をしっかりと感じた体験としてこの一日のことは今でもしっかりと思い出すことができます。

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