わたしの恋という感情は無意味

感情を持つことをはっきり無意味だと、感じてしまった。
特に「恋」と言う感情。

一方的な恋に、何の意味も無いのだと。


本題に入る前に前置きが、長くなってしまうのだが、少しわたしの、"精神的天涯孤独感"という自分造語を何故感じるに至ったか、話をしよう。

わたしは、血の繋がった家族は居ても、その家族と心が通じたと思ったことは、あまりに少なかった。楽しかった思い出が無いわけでは無いが、むしろだからこそ、祖父から方法まで示唆して死ねと言われたり、あるいは存在価値の無いゴミ屑以下だと言われた事が、今でも生々しい傷として残ってる。たった一回。言われただけだ。・・・昔、肩をたたいてあげれば喜んで嬉しそうに、そして気前よくお小遣いやおやつをくれたりもした祖父。でもそれは、わたしが将来をある程度真っ当に生きられる可能性をまだ秘めていると錯覚してくれていた、幼少期だからだったのだろう。期待も何もかけられなくなったら、もうわたしなんか存在しようがしまいがどうでもいいのだ。

そんな祖父の息子の父は、わたしが死にたいことをカミングアウトした日、お前が死んだら後追いする、と答えた。…わたしはまだ10代だった。

お金が稼げて頭のいい人と結婚すればある程度の幸せが保証されてると、この家に嫁に来た母は、けれどもその浅はかな勘違いは、母自身だって苦しめ続けた。
家庭内で明らかないじめがあったのだ。被害者は母で、加害者は祖父だったが、その環境で生まれたときから育ったわたしは、見事に狂った。

母は昔、なんとなくだけど、弱い人間だった。幼いわたしが慰め愚痴を聞き続け、守らなければならなかった。……父は、部屋で特に我関せず、という感じだ。

はっきり、わたしは家の中で道化師だった。家族仲が険悪なことを知ってる。気づいてる。だから全員とある程度会話が成立するわたしが、あること無いこと適当だったかもしれないが、必死で明るい話題を、大げさに話しては、表面上は笑顔が生まれる。一瞬でいい、仲の良い家族なのだと錯覚したかった。

いずれ、(そんなこと子供のわたしに続けられるはずも無かったのだから、)限界が来てしまったけれど。

妹に関しても、触れたいところだが、なかなか本題に入れないほど長く複雑な感情を持ってしまっているので、今回は割愛させていただく。


血の上で言えば、確かに今でも家族は存在するし、独り暮らしをしていると、よく「たまには親に顔見せてあげてね」と、何の悪気も無く善意で言われる。……確かに、親や家族が居なかったら、わたしはこの世に存在しないのだから、本来なら、感謝したり、大切にしたりという時期なのだろう。親も年をとった。でも、だけど。

わたしは正直、あの家に生まれるなら、生まれなくて良かったと30歳にもなって思い続けている。この世に生まれたからこそ出会ってきて、別れたり続いたり、あるいは新しく出会うかもしれない人間や経験、その人生すべてを、放棄しても別に良いか、と本音で思うくらい、この世に存在し続けることが、辛い。いや、…正確には、めんどう、なんだ。

生に執着が、ない。"精神的天涯孤独感"を理解してくれる人も、埋めてくれる人も居ないから。


ここからが本題だ。
冒頭の、"恋という感情の無意味さ"について。
こう書いてしまうと、顰蹙を買ってしまうと思うので、まず誤解を解こう。

わたしの場合の、恋、ないし、それに連なる感情や願い。それに無意味さを感じてしまった。という、いわば、わたしの経験している恋心のみに限定した話になる。

わたしの好きな人は、周りから、もうアイツは駄目だみたい扱いを受けてる。
根がいい人なのは、みんな知ってて、認めてて、愛されるべき人間。多分だけど、結構人から好かれやすい。
だけど、病気は重いからおそらくもう立ち直れないだろう、と彼のことを知ってる人が、皆なんとなく、あの人を諦めてる。

何の病気かは、流石に書くことは出来ないが、あの人に出会ったのは、精神科の閉鎖病棟だ。
ただの錯覚や、思い込み、だったかもしれない。でも、わたしは、
初めて自分と同じような道化師を見た気がした。
彼の中に勝手に、自分を見たんだ。そして重ねた。

わたしの中で、あの人は、笑ってるイメージが強い。ムードメーカーなところがあるから、あの人がいるだけで、本来何も無くて暇すぎる閉鎖空間も、なんだか少し楽しくなってしまうから不思議だ。別に、いつも笑ってる訳ではもちろん無かったし、わたしのイメージでは人の中心にいたな、と感じていたが、退院後に友達からは、いつも独りでいたよねと言われ、わたしはあの人のこと見ているつもりでまるで見られていなかったのだな、と思った。

「鬱だなぁ」とか、言うときすら、多分笑ってた。…わたしも、だったけど。

完全に堕ちたのは、本が運ばれてきた日。
(その前から、逢ったときから、なんか勝手に安心はしてしまっていたけど)
椅子5つ分くらい、距離はあった。正直、前後の出来事をあまり覚えていない。
本が数冊、ある看護師さんの好意で病棟に用意された、わたしは本が大好きだから、嬉しかったし、即選んで、読もうとした。彼は彼で、暇つぶしに漫画を読むタイプだったらしく、何かの漫画を手に取った。

彼はこっち向いて、座ってた。自分はどっちを向いていたか、解らない。
けど、彼の方を、見た。どうして見たのか、わからない。

……見たこと無い顔で、笑ってた。

(本人に言ったら気分を害すかもしれない。
プライドが高いところも多分どっかにあるから。)

捨てられた子供みたいに、傷ついて見える笑顔だった。もう、30歳も半ばを過ぎ、後半に一歩足を踏み入れた人間にしては、あまりに、あまりに脆くて、危うい気がした。…彼の内面の弱さを、見た気がした。勝手に。

でも、そんな顔する割に、表情が笑顔が、わたしに、大丈夫だよ、と言っていた。
錯覚でもいい。思い込みでいい。妄想幻覚の症状だといわれても、わたしにとっては現実にあった出来事だ。

そんなボロボロの心と身体して、なんで、大丈夫だなんて、自分じゃ無くわたし慰めるみたいに、笑うの……?

それから、きっともう1年近くなる。わたしは退院し、別の病気がひどくなった。
執着や狂気のレベルで、あの人が、好きなままだった。恋の病が1番キツいとか、入院中面白い職員に、あの人のこと好きなことがバレバレになってから、からかわれたけど。

これは、依存だった。客観的に、そうだと俯瞰で見てる自分もいる。だからギリギリ一線、蜘蛛の糸より細いくらいのギリギリで、彼に手を出しちゃ駄目だ、わたしでは、1番駄目だ。そう、本気で思ってる。

不幸しか約束できないわたしは、彼のことがどんなに好きでも、付き合ったり、未来を築いたりを、むしろ願わない。

彼の不幸に巻き込まれるのは別にかまわないとすら思うけど、わたしの不幸に彼を巻き込むのだけは嫌だった。……こんな歪んで、汚いわたしなんかでは、貴方をきっと救えない。

だから、本気で、あの人に、素敵で優しい彼女とか、奥さんが出来て欲しいとすら思う。子供とか。
わたしが不幸の底に引きずり込むより、平穏で幸せであったかい場所に、居て欲しい。
もちろん嫉妬はするでしょう。好きだから。でも、あの人が幸せな方がずっといい。

少し、話が戻る。
……彼の知り合いは、大体皆、彼自身が立ち直れることを、あまり信じてない。
怖いのは、むしろこんなif
人生の大半を、あの生きているとも呼べないような自由の無い空間で、飛べない鳥みたいに過ごしていく。大空を羽ばたくどころか、小さく区切られた空しか、見られない籠の中……勘の良い女性患者の一言が、予言みたいで怖い。
「病院慣れしてるのが、なぁ…」

あの人を、わたしはよく知らない。
知らないはずなのに、無条件で、逢った瞬間から安心して、信じられた。…救われた。
何度でも自力で立ち上がれる背中に見えた。弱くなって負けることはあると思う。でもきっと、また、立ち上がる。だから周りが彼を諦めても、本人の、細いけど、頼もしい背中を見るたびに(あぁ、大丈夫…)って思った。

でも、すごく、すごくすごくすごく、寂しそうな、孤独そうな、独りぼっちみたいに見えたこともあったから。

(わたしが、わたしみたいな人間じゃ無かったら、ずっと隣にいたかった…。)


…冷静に書こうとしても、どうしてもあの人について書き始めると感情が高ぶる。
でも、高ぶろうが、苦しかろうが、悲しかろうが、この恋という感情は、やっぱり無意味だ。
彼と結ばれることを望んでいない恋心。

でも願いはある。一つ強く。あの人の幸せ。自分には作り出せないと放棄しつつ、ただ願い続けてる。ある意味まるで無責任じゃ無いか、でもそれでも。

◯◯ ◯が幸せになれるなら、もうそれ以外何も望まないから…。

でも、きっとこう本気で思っていることすら、無意味だ、と。
だってあの人のために、赤の他人のわたしが出来る事なんて、ないじゃない。


世界は、無情で、非情だ。

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由居ユナミ

漫画、小説、文章、歌、ファッション、心理学的な本とかが好きですが、完成させるスキルに乏しく、結果自力も付かないていたらく。 そろそろ何とかしなければ…。 精神病患ってるからメンタル追い込まない程度に、ぼちぼち何か形にしたい。 基本的に嗜好も考え方もマイナー星人です。 執着癖酷い。
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