スクリーンショット_2016-10-27_8.48.47

それで、Facebookは今後、どのような戦略を持っているのだろう?

これまで、Facebookの現在の財政状態、課題、買収先の現状などを見てきましたが、これからどんな戦略を考えているのでしょうか?

それを見てみたいと思います。

2016年4月に行われたFacebookが主催するF8という開発会社・開発者向けカンファレンスで使われたスライドを掲載します。

かなり明快な戦略MAPと思いました。


【短期〜中期の戦略】

プロダクトライン
かつての課題であったプロダクトラインの複数化について、既にfacebook・instagrum・messenger・whatsappとプロダクトラインは整ってきています。


マネタイズ方法
こちらも、現在のFacebook広告収入だけでなく、複数のマネタイズ機会に取り組んでゆくと思います。

" Facebookは広告収入以外にどんなマネタイズ方法があるのだろう?"

instagrum :広告
messenger:EC・サービス仲介
whatsapp
:EC・サービス仲介


現状の、facebook(15億人)・messenger(10億人)・whatsapp(10億人)・instagrum(5億人)というプロダクトラインは非常に心強いですね。


機能面
video、検索、グループ、とブラシアップをかけてゆく。


人工知能
写真でタグ付けされる、というのは、人工知能を活用して画像認識を行うサービスで、写真に映った顔を人工知能が識別していることになりますね。


米国において、messengerはユーザーと企業間のコミュニケーションで活用が開始されています。ユーザーの問いに対する回答はBOT(自動応答)でおこなわれますが、これも人工知能の活用により、より適切な回答内容を返信していると思います。

人工知能は、学習するデータが多ければ多いほど性能が高まると思いますので、現在のプロダクトラインを使って、データ収集を重ねることになるでしょう。

ユーザーのあいまいなリクエストに対しても、適切な選択肢を提示するようにする。Facebookの人工知能の取り組みは、ユーザーに先回りしてサービスする、という今までにないユーザー体験を提供するため、ということでしょう。


それがユーザーを増加させ、利用頻度を上げ、結果的に収益機会を増やす。


今後3〜5年くらいのスパンで見ると、まだ売上が伸びる可能性を示していると思います。


【長期の戦略】

宇宙開発 → ネット接続人口の増加
Facebookは主に、インターネットの接続がなされていない地域に、人工衛星やドローンを使ってインターネット接続を実現し、世界中の人たちがインターネットを使えるようにすることを目的にしていると思います。ですので、低軌道の人工衛星の活用を考えているようです。


現在、世界の人口は70億人、ネットに接続しているのは30億人。まだ世界の半分以上がネットに接続されていないのですね。世界中の人をつなぐ、というミッションの会社ですから、各国のネット環境整備を待つのではなく、自分たちで接続できるようにしてしまおう、ということでしょう。


ネット利用人口の増加に自ら取り組んで、Facebookのユーザー母数=マネタイズの機会を自ら増やしてゆく。


VR
新たな価値、新たなコミュニケーションのあり方を探る。新しい事業機会を見つける。そして、自らハード面のプラットフォームを持つ。これらをOculusを中心にVRの取り組みを行う。



この図はこのような短期的・長期的な戦略を語っているように拝見しました。



Facebookの思想は「世界中の人たちをつなげる」。
この軸に添いながら、成長戦略をより強固にするため、今後新たな大型買収も行われると思います。


自分のスマートフォンを見ると、トップ画面にあるアプリ10個のうち、FB、メッセージングツール、メールと、コミュニケーションツールが7個あります。人々にとってコミュニケーションは、優先されるテーマなのかもしれません。


こうしてみると順風満帆なように見えますが、そういう心境にはなれないと思います。


90年代後半、マイクロソフト1強だった時代がありました。もうマイクロソフト1強は永遠ではないかと。しかし、あっという間に強力なプレーヤーが台頭し、成長力という軸でみると劣勢になるくらいの状況になりました。理由の1つに、マイクロソフトが90年代にほんの一瞬、インターネットの未来を読み誤ったことがあります。


また、SNSにせよ、メッセージングツールにせよ、それらに代わるものがユーザーに支持されたら、Facebook帝国は一気に転落の危機に瀕します。もし、代わるものがあるとすれば、それを出すのは自分でなければなりません。


同じ轍を踏まないように、新しい分野に惜しみなく投資を行ってゆく必要があることは百も承知していると思います。

そこで生じる失敗や損失は、未来のためのコストと割り切った方がいいかもしれません。現在は盤石の戦略も、ちょっとした油断と見誤りでトップの座から転落する時代。


守ったらアカン、攻め続けなければ、という心境なのではないかな、と思う次第です。

------------------------------------------------------------------------------

吉島彰宏(よしじまあきひろ)

スタートアップのファイナンス実務が専門。

株式会社ピースオブケイク株式会社トレタクラウドクレジット株式会社ワンダープラネット株式会社株式会社日本動物高度医療センターなどなどの企業に関与。http://www.y-associates.net