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わたしと生乾きTシャツと乾燥機

ノートパソコンを机の上から収納スペースに片づけると、このように沈黙の月日が流れるタイプの人間です。

あっという間に梅雨も終わり夏の折り返しを過ぎ秋…秋が来る…??
もう長袖の季節がやってきてしまう…季節の移ろい早すぎ。

世の中は不条理なことでいっぱいですが今日は服の話をします。

我が家には、黒い七分袖のTシャツがあります。どちらかと言えば生地は少し薄めで、半袖を着るほど暑くないが長袖だとちょっと暑いという優柔不断な今の季節と気持ちにピッタリなアイテムなんですが、タイトルにありますとおり選ばれし生乾きTシャツです。

ちょっと長いので、生乾きTシャツのことを以下『彼』と表記します。黒いので。


うちでは洗濯物をベランダに干すと、夕方に馬鹿みたいな西日が当たるので外着は必ず部屋干しです。
手順については以下のとおりです。

①洗濯機の終了の合図と共に取り出す
②片面からサーキュレーター(ウルトラでかい)、反対からエアコンの除湿または冷房の風が直接当たるよう部屋の真ん中に竿を設置する
③竿の中心に彼を設置し、暴風を生み出すサーキュレーターで飛んでいかないようにでっかい洗濯ばさみでハンガ―を固定する
④他の衣類を干す
⑤数時間後、乾いた衣類と生乾きの彼が生まれる



なんでそうなる。


部屋干し用の洗剤を使用しており、ハイターとすてきな香りの柔軟剤を使用しています。
手順の中にさらっと書きましたが我が家のサーキュレーターはめちゃくちゃでかいので、固定しなければ夏の軽い衣類は吹っ飛んでいきます。
洗濯物も、ピーという終了の合図と共に取り出しており放置はしていません。
なにより、彼より厚い服は無臭です。なんなら冬のセーターもごついパーカーもしっかりデニム生地のジーンズだって無臭なのです。

他に臭くなる可能性を秘めている衣類はたくさんあるのに、どちらかと言えばペラ寄りの生地のなんの変哲もない七分袖Tシャツなのに、なぜ彼だけ異臭を放つのか…。

無個性を望んでいるのになぜそんなに個性を出したがるのか。


対策として、我が家には小さい乾燥機があります。
ほんのちょっとだけ乾かしたいとき非常に便利なのですが、この乾燥機、背面から湿った熱風がめちゃくちゃ出るんですよね。

世の乾燥機はそうなの?みんなそう??実家の乾燥機の記憶がないんですけど、みんな背中から湿った熱風噴き出してる??背面に面している壁がびっしょびしょなんですけど、こんなに濡れることある?少量でこれなんだから、大家族のおうちにある乾燥機、湿気で部屋の中サウナにならない???

しかしこの乾燥機は持ち運び可なので、背面を風呂場に向けてオンすれば万事が解決するのです。
万事が解決するはすなんですが、ここで新たな問題が発生します。

この小型乾燥機、普段の定位置は目線よりやや上にあるのです。


この小型乾燥機、重さは13キロです。


つまり彼を乾燥させるために目線より上にある13キロを抱えて風呂場まで持っていき、乾燥が終わると13キロを目線より上に抱え上げるのです。



むり。



数回やったんですが、腰おかしくなる。
下ろすのはまだしも、上げるとき地獄の底の断末魔みたいな声が出ます。


「…ふっっっ……んんなああぁああぁああああああああっしゃあああぁらあああぁああああぁああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

13キロって本当に軽いと思うんですよね。
いや本当に思ってるんです乾燥機が13キロて。すごいことですよ、企業努力がすごい。乾燥機がこんなにコンパクトになる世の中、本当にすごい。せめて目線より下が定位置であればよかった。せめて四方が無の空間で乾燥機を置ける部屋の配置であればよかった。

すべて我が家のせい。
でも彼のために部屋のど真ん中に乾燥機を置いてもいいくらいの広さに越すことも、目線より下に乾燥機を置くために我が家のレイアウトを総替えすることもできないのですなぜなら面倒くさいから。
よくよく考えれば彼のためというわけではなく、定位置を変えない限り乾燥機を使うことがないという事実にたどり着くのですがまだ夢を見ていたいので見ないふりをしています。

その後の彼は洗剤とハイターをお湯で割った混合液に長時間浸され、他の服と共に洗濯機へ旅立ちます。
そして上記の手順通りの行程を経て無臭のTシャツとして生まれ変わりますが、大体4割の確率で再び生乾き臭を纏った『彼』の姿となって物干し竿で再会を果たすのです。

早く寒くなってこのTシャツを片づけたいな、と思いながら日々迫る秋の気配を感じています。

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