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(13) データを使った帰納法③法則性 相関

いくつかのサンプルから算出する確率や平均は、データを使った帰納法として使いやすいと思います。しかしながら、これらは答えが一つしかないため、こういう時はこう、そういう時はそう、といった状況や程度によって答えが変わることがわかりにくいです。いわば一次元的に考えているわけです。根拠を複数にする意味でも、数字を二つ使った二次元的な考え方もしていきましょう。

二次元的とは言いましたが、単に縦軸横軸のグラフを使って考えるだけのことです。グラフを使うことにより、どういう傾向があり、どんな法則性で動いているかを見出せることがあります。法則性がわかれば、望むべき方向性が見えることもあるでしょう。この法則性のわかりやすい考え方として、相関とグループ化(セグメント化)があります。まずは、王道でベーシックな相関です。

相関は、「手との係」と書きますから、何かと何かの二つをペアにします。ペアにするものは、「原因」と「結果」です。結果は自分が求める答えであり、原因はその答えに影響を与えるもの、としてください。前回の犯罪の例で考えると、結果は犯罪件数です。その犯罪件数は、住んでいる人の多い少ないが影響するとしたので、原因は人口です。この二つを縦軸と横軸に置いてグラフを作ります。そうすると、下図のようにキレイに右肩上がりになりました。なお、横軸(X軸)が原因で、縦軸(Y軸)が結果ですので、逆にならないようにしてください。

このグラフによって、「犯罪件数の多い少ないは、人口の多い少ないに影響している」、つまり、「犯罪が多いのは住んでいる人が多いからでしょ」というメッセージが事実として検証できたことになります。このような相関関係は典型的な法則性です。法則性がわかれば、人口がこれくらい増えれば犯罪もこれくらい増えるだろう、という想定ができます。そうすると、警察官を増やそう、といった対策も考えることができるでしょう。また、大阪と神奈川は、人口は同じくらいなのに犯罪件数は随分違う、これはなんだろう?とさらに深掘りするきっかけも与えてくれます。平均や割合などの数字一つだけでなく、2軸を使うと考えも広がってくると思います。

さて、はじめの「だって、住んでいる人が多いからでしょ」は仮説でした。仮説は事実であることを検証してはじめて「正しい」メッセージとなります。実際の場面でも、はじめに仮説があり、それを検証するプロセスが多いはずです。8回目に「結論(仮説)ありきはウェルカム」と述べましたが、その前提は演繹法や帰納法を使って事実かどうかを検証することです。面倒な作業ですが、手を抜かず愚直にやりましょう。次回は、もう一つの法則性、グループ化を紹介します。


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池田吉成(いけだよしなり)

RBS(立命館大学ビジネススクール)講師「論理的思考とプレゼンテーション」担当。 経営コンサルタント、企業再生の現場を経て、現在は千里リハビリテーション病院 統括事務長。
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