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(7) 統合の論理展開 「演繹法」①

複数の根拠を「統合」すれば、結論のバラつきを防いで正しいメッセージを導きやすくなります。この統合を上手にするための道具が、演繹法と帰納法です。「昔聞いたことあるけど…」みたいな方もいるでしょうが、実は日々フツーに使っている論理展開です。まずは演繹法からです。はじめに理論的なこと、その次に実生活で使っている方法について述べていきます。

演繹法を辞書的に言うと、「二つの情報を関連づけて、必然的に成立する結論を導き出すこと」です。毎度のことながら、これではよくわかりませんから解説します。はじめに二つの情報です。これはどんな情報でも良いわけではありません。「大前提」と「個別事象」の二つが必要です。一つ目の大前提には、「人間は必ず死ぬ」といった絶対的な法則のほか、「先生の言うことを聞かないと怒られる」などの一般論やルールの場合もあります。二つ目の「個別事象」は、文字通り今回考える個別の事柄です。「人間は必ず死ぬ」の大前提に対しては、「私は人間である」を個別事象としましょう。

これら大前提と個別事象が二つの情報です。あとは、この二つの情報を関連づける「統合」を行って結論を導きます。二つの情報を根拠として一つの結論を導きますから、下図のようなピラミッドの形になります。結論となるメッセージはどうなるでしょうか。

結論は、「私は必ず死ぬ」ですね。演繹法のスゴイところは、誰が考えても同じ結論が必然的に導かれることです。そのポイントは、大前提が正しいことですが、これについては帰納法のところでお話しします。

このように大前提と個別事象の二つの情報があれば、必然的な結論を導き出せるのが演繹法です。ただ、これでは「日々フツーに使っている」感じはしませんよね。それは考える順序が違うからです。教科書的には、はじめに大前提があり、その次に個別事象があって、それらを受けて結論を出す、の順序です。しかしながら、日常やビジネスの場面では、個別事象が先にあり、その個別事象に合わせて大前提を探す、という流れの方が多いように思います。

たとえば、皆さんが「面白い映画を観たい」と思ったとします。これは個別事象です。ニーズとも言います。その次は、どんな映画が良いかを探すことでしょう。いろんな探し方があると思いますが、ここでは口コミや星の数を基準とします。口コミが良かったり、星がたくさんついていたりする映画を「面白そうだ」と判断します。これが大前提です。そうすると、下図の順序で論理展開をしたことになります。

はじめに自分のニーズという個別事象があり、それを満たすために大前提を探し、そこから結論を得る、という順序です。この流れであれば、日々フツーに使っていることがわかってもらえるでしょう。せっかく時間もお金もかけて行く映画ですから、失敗したくない。だからこういった論理展開を自然に行っているわけです。小難しく聞こえる演繹法もあくまで道具です。どんな順序だろうと使えれば良いのです。次回も演繹法について、もう少し補足しておきたいと思います。

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池田吉成(いけだよしなり)

RBS(立命館大学ビジネススクール)講師「論理的思考とプレゼンテーション」担当。 経営コンサルタント、企業再生の現場を経て、現在は千里リハビリテーション病院 統括事務長。
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