情報商材屋の歴史(前夜)

情報商材屋の歴史は古いし範囲も広い。
マーケティングやコピーライティングの本だって広義の意味では情報商材である。そういうものを問題視するつもりはない。

私が知っているのはあくまで2006年後半から出始めた「アングラな場所で、値段にそぐわない中身スッカスカな情報商材を高額(19800円以上)で売っていた」人および、彼らの商材をアフィリエイトしていた界隈の人たちのことである。

こういう業界はアメリカではずっと前から盛んであったが日本では「神田正典」という人間の台頭と、「情報商材専門」のASPであるInfotopというものができてからいろんな人たちが情報商材屋がわんさか出てきて何よりこいつらの手口が可視化・共有化されるようになってきてから、「小説家になろう」のように爆発的に広まり一時期は猛烈なバブルになっていった。


今回はまずその前段階の話をする。

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こうした「ネットを使った情報商材販売のインフラ」が出来上がるまではそれまではこうした人間にとっての儲けの手段は「ゴルフ会員権販売」「未公開株詐欺」や「ネットワークビジネス」など「直売り」のほうが主流だった。

「ロバートキヨサキ」ブームを利用して「キャッシュフローゲーム体験会」を実施し、それに参加した人のなかから特にカモになりそうな人間を狙ってはめ込むケースが話題になっていた。(TBSの脱毛500円とかいう触れ込みで客を集めてのこのこやって客に100万くらい払わせるあれににている)

しかし「人間関係を金に換える」「欲望を金に変える」というのは言うは簡単だが実際にやるのは本当にキツいらしい。やったこと無いけどまぁそうだなと思う。一ヶ月や二ヶ月ならなんとかなるかもしれないが、実際に目の前に居る人をだまし続けなければ継続的に儲けることはできない。しかも単にだますだけでなくそいつを教育して同じように商品を売らせないといけない。最低でも20人くらいそういう「部下」を作れないと成り立たない。しかも全うな商売とはいえないからちょっとでも綻びがあると壊れてしまう砂上の楼閣だ。まったく安心感がない。

自分がやってることが本当に良いことだと思い続けられる人ならともかくたいていの人はどこかでおかしいと気づくだろう。そうなった後でも続けるには

①自分のやってることを悪いことだと思わないor悪いことだと自覚があっても躊躇しないメンタル
②自分と同じような人間をみつけ、自分に心酔させる話術
③見下してる人間を丁寧にケアし続ける根気

あたりが必要なわけだが、ぶっちゃけこれは宗教の教祖になる力である。

そんな能力があるなら普通に就職したって成功できるはずだ。
ちゃんとした商品がある会社に就職して普通に誠実に営業やったほうが普通の人間には精神的に楽だ。
そういうしんどさを乗り越えられるような強いカリスマやサイコパス的な要素を持って無い人にはきつかった。

そんなわけで、この当時に成功する人間は少なかった。おそろしく手間もかかるし精神力も磨り減る。効率も悪かったから1人あたり10万円とか売りつけないととてもじゃないけど成り立たなかったからなおさらハードルが高かった。


ところが、ネット化の波はこういうインチキさんたちの世界に福音をもたらした。今までのわずらわしさは軒並み撤回され、以下のように「かなりお手軽」になったのだ。

①とにかく大量の人間に情報を送りつけ
②1%でも引っかかればOK。わずらわしい人間関係の付き合いやフォローアップの必要もなし
③1件あたり10万円みたいな単価でなくても良いから断然売りやすい。
④売ってしまったあとはそのままトンズラも可能。
⑤欲を言えば信者にはさらにアフィで情報売りつければ収益倍プッシュ。
⑥決済や集金もASPが自動で代行してくれるから回収のストレスもなし。

などなど、劇的にハードルを下げる流れが生まれた。

株式取引が対面証券や電話注文だけだったところからネット証券が生まれて劇的に変わったのと似たような話だがこちらのほうがインパクトは大きかっただろう。

このときから、本来選ばれしものだけに開かれていたアングラな世界が、今までだったら絶対に生き残れないような人間にも手が届くようになった。


倫理のねじを外して、ちょっとした戦略を意識すれば良くなったのだ。 ここからは、情報商材屋の世界はコミュ力の時代から、ノウハウ・テクニックの時代に変わってきたのだった。

ここからが本番である。

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