小説家になろう原作マンガ感想(その11~その20)

△その11 地味な剣聖はそれでも最強です(絵は好き)
◎その12 冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた(上手い)
△その13 ポーション頼みで生き延びます(微妙)
△その14 自称Fランクのお兄様がゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?
〇その15 たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の町で暮らすような物語
×その16 異世界召喚されたが強制送還された俺は仕方なくやせることにした。
×その17 異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件(絵はすごい上手い)
〇その18 せっかくチートをもらって転移したんだから好きなように生きてみたい
〇その19 俺の現実は恋愛ゲーム?かと思ったら命がけのゲームだった
△その20 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術


その11 地味な剣聖はそれでも最強です
http://comicpash.jp/jimiken/

見ての通り絵はうまい。あと転生してから俺TUEEやるんじゃなくてちゃんと500年生きて剣の修業をするっていうとこも悪くない。生きる目的も、どちらかというと「拾った女の子を無事育てるため」ってなってるのも良い。

でも、いまの6話時点ではまだそのあたりの良さが全然活かされてない。立ち上がりはすごいつまらない。面白くなりそうな要素が見えない。純粋な漫画の連載ならもう打ち切り確定だとは思う。ただ、これについてはもうちょっと長い目で見てもいいかと思う。

その12 冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた
https://comic-earthstar.jp/detail/srank/

これは4話までだけど非常にできが良い。コンセプトが非常にわかりやすい。
タイトルに反して、娘は田舎に戻ってこようとするも引っ張りだこでなかなか戻れず、そのかわりに他の人が親である主人公のもとにやってきて彼らを通じて親娘のやり取りが行われる。

この「なかなか出会えない親子のやりとり」ってすごい面白い。「即死チート」もそうだったけどやっぱりアース・スターのなろうコミカライズは質が高いな。

その13 ポーション頼みで生き延びます
http://shonen-sirius.com/series/w_sirius/portion/
この作家さんは、月夜涙さんと同じく大量に書籍化されてるが、どの作品も平凡。主人公が飄々としてて異世界転生というより「テーマを持ってオンラインゲームを楽しんでる」感がすごく強く出る。ただ、どの作品も一応ちゃんと世界の設定を考えて作ってる。いわゆる「アベレージヒッター」という感じ。

ちなみにタイトルにもある「すごいポーション+器製造」のチート能力はあくまでもフレーバーで、どちらかというと知識チートで商売をやっていく話。他の作品もそう。

しかし、なんというかこう「本好きの下剋上」と比べるとかなりしょぼい。たとえばコンサルタントみたいな仕事をするんだけど、ふつーーのアドバイスしてるだけなのに、貴族やら王様がやたらと「さすおに」してくれるイージーモード。「そもそも民衆は知識に金を払うという概念がないという状態から、コンサルタントとして客を取れるようになるところまで」が難しいともおもうんですけどねー。どんどん客来ますねー、って感じでしらける。

その時代やその世界に合わせた描写とか全然考えてない。異世界の人間はただの「レベルの低い人間」として描写するような安易さがあって、お子様向けのよみものかなーって感じ。そのように認識すれば、絵柄もまぁそんな感じだし悪くないのかな、と。

ちなみに上で述べた部分はあくまで前座であって、そこに安住してたら本当にクソ作品だったのだけれど、あくまで本人はある程度情報収集することが目的で、それが終わったらさっさと次の国に移動してるのはとても良い。

「時代のギャップを都合よく解釈してる」点を除いては、実際我々の社会の商売のいろんなアイデアが進んでることは間違いないし、そのアイデアで勝負していくというのは面白いし、本当にまあまあよく出来た作品って感じ。

話がすすむにつれだんだんとコンセプトがぶれてくる。「せっかくチートをもらって転生したんだから、もっと自由に生きたい」だったのに、なんだかだんだん欲が出て「人々に祝福を与えたい」になってるし「やたらと偉そうに振る舞う」態度は、なんかこれブレブレなような気がするけど大丈夫?

その14 自称Fランクのお兄様がゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF02200276010000_68/

設定を見て「賭けグルイ」とか「月見なんとかの殺人」みたいなのを期待したんだけど…はっきりいって、ゲームに関して言えば「賭けグルイ」が面白すぎて完全に劣化版でしかない。なにより敵の魅力が乏しい。

それより、この学校の教育の描写が好き。タブレット使用だし、授業内容はクラウドに保存されていつでも見れます。ってこれN高校だよね。あとAIも活用とか仮想通貨使用とかね。

あとはこういう設備投資ができる組織とかがちゃんと機能したら面白くなるかも?
「社会の方をもっと優しい仕組みに変えようとはしないんだな」
「それはいろいろと都合が悪いのさ。多くの人に厳しい世の中というのは、少数の誰かにとって都合がいいから生み出されたんだから」

その15 たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の町で暮らすような物語
http://www.ganganonline.com/contents/tatoeba/

タイトルを気にせず「おねショタもののワンパンマン」とか「ヒナまつり」として読むのが正しい作品。マリーちゃんかわいい! ちなみに、各話のタイトルはすごくセンスがあって好きだし、これなろうの連載で読んだらたぶんすごい面白い。

しかし漫画で単行本として読むと、正直タイトルの要素は「くどい」。「さすおに」なみにくどい。1話だけならいいんだけど、ずっと同じネタ繰り返されると本当にくどい。あくまで1話ごとに連載作品として読むのが良い。「ワンパンマン」が、前振りはくどいくらいにやるが埼玉の強さ自体はくどくならないように工夫しているのと対称的だなって思う。

このあたり、メディアの差だよね。

その16 異世界召喚されたが強制送還された俺は仕方なくやせることにした。
http://gammaplus.takeshobo.co.jp/manga/isekai_yaseru/

引きこもり10年以上のデブ。召喚されたけどデブすぎて、その世界にいた無能なお姫様とセットで強制送還。リベンジのため126KG→58KGまで痩せるぞというお話。
ちなみにチートスキル「鑑定」持ち。

ちなみに全然ダイエットが始まらず、現代世界側でのんびり生活。この作品では異世界人を警察が認知しているという点がやや珍しそうだけど、今の所全然話が面白そうに見えない。この話の立ち上がりの遅さはなんとかせえよと思うなぁ。

その17 異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件
http://gammaplus.takeshobo.co.jp/manga/isekai_kojiin/

かの有名なマサツグ様。説明不要。漫画の説明でも「良くも悪くも話題になったあのマサツグ様」って煽りがついてて草。
ちなみに原作がひどすぎるというのはあるけどこの漫画も絵はめちゃくちゃうまいのに構成が致命的に下手くそで3話を先に読まないと意味がわからない。多分さっきの漫画とあわせて考えると、このgammaplusというWeb媒体自体、編集がくっそ無能と思われる。

その18 せっかくチートをもらって転移したんだから好きなように生きてみたい
https://comic.pixiv.net/works/4566 (コミックライド)
水龍敬先生がキャラなのだから当然エロです。
異世界でポーションただで作れるので金に余裕がある主人公はひたすら娼館にかよう毎日を過ごすという作品。

ちなみに日本とは文化が違う。
この世界の売春婦はエリート職。美しさや奉仕力が高ければ評価される。高い誇りを持って働いている娼館も多い。客から望まれ、需要のある人しか慣れない職業。女の人も特に隠そうともしない。

しかしだからこそ怖い。「勝負?バカじゃないの?こういうのはお互いが楽しむものでしょ?あんたは価値がない男よ。あんたみたいな底が浅いやつをいっぱい見てきたわ。 女に相手にされる価値がない男が、金で女を買う。 そういうやつは勝手に何かを悟った気になって暴走する。わかる?それがあんたよ。アナタがひどいことをした娘、見た目に反して優しい子なのよ。そんな優しい子をずいぶんいじめてくれたわね」というわけで、調子に乗ってたらあっさりやられて金むしり取られそうになる。やはり娼館の女性は圧倒的に上手であって調子に乗ったらアカンってこと。

他にもいろんな異世界風俗が出てきてそのシステムが紹介される。しかし、オチとしては「懐が温かいならちゃんとした娼館で楽しみな。遊びの質は金で買える。」ということになるようだ。「色ごととは重ね合うもの。 独りよがりにがっつく必要なんてない。時間だって金だって、異世界に来て俺を縛るものなんてないんだ。 楽しむために使うようにしないとな。」
というわけで、特に俺TUEEEとかやろうとしないぶん非常に面白かった。

その19 俺の現実は恋愛ゲーム?かと思ったら命がけのゲームだった
http://www.jp.square-enix.com/magazine/mangaup/comics/ (マンガUP)

ゲーム内容はJRPGではなく、クトゥルフ型のTRPG型=「ミッションクリア型」のデスゲーム。
イメージとしては逆転裁判に近い。制限時間内に犯罪者を見つけ、ゲーム制限時間内に犯罪者の犯罪を暴いたり、その犯罪者を殺せばゲームクリア。報酬と制限時間延長を得ることができる。時間制限内かつお金が続く限り、死に戻りを使ってなんどでもやり直しをできたり、他にもゲーム特有のアイテムを使って、部分的なチートができる。ミステリーにこういうゲーム要素を持ち込むのは邪道ってなるかもしれないけど、むしろこっちの分野はまだまだ開拓の余地がありそう。

いろんな怖い女の「真実」を暴いて「攻略(無力化)」するゲーム。難易度が高い死に覚えゲームになっている。これ実際にゲームの方もこういう風に作ればいいと思うんだけど、実際にこれをやるとプレイヤーが多分嫌がるんだろうな。「このセカイの女はゲームシステムの管理下にあります。 現実世界に同じ女が存在していても全く別の人です。 ただしゲームの完全クリア後には、特典として高感度80を越えた対象の存在は現実に継承されます」マンガの絵がへぼいのが難点なのと、敵が本当に無機質なのでいまひとつだけど、面白くないことはないと思う

その20 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術
https://pocket.shonenmagazine.com/series (水曜日)

タイトルから漂う地雷臭や、微妙な画力や、お寒い会話などいろんな問題はあるが割と抵抗なく読める作品になっている。17話(4巻)の主人公のメンタルの弱さが出てそれを乗り越える展開くらいからちょっとおもしろい。

ただ、基本的には主人公の能力の高さの割には徹底的にミクロな話が多くマクロの視点が弱いためどこまでいってもこじんまりしたお話に終止している印象。「ダブルアーツ」のさらにしょぼいバージョンって感じかな。人間の中に魔族崇拝者がいるという設定自体は、GPMを思い出して懐かしく感じる。

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