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東大を出たけれど57「端っこのドラ」

 卓が割れたとき、店に残っていた客は、昔歌舞伎町で雀荘をやっていた古参の親爺と、でっぷり太った金縁眼鏡のオバさんの二人だけだった。
 オバさんは先ヅモ強打のマナ悪客で、麻雀中の下卑た御喋りも多く、他の客も毛嫌いしていた。
 今はビールを片手に煎餅をかじりながら、ソファでテレビを眺めている。
 私は黙々と卓掃をしながら、手持ち無沙汰に話し掛けてくる親爺の昔話に耳を傾けていた。

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