英語をそこから自由にするために1

「英語をそこから自由にするために」と書きましたが、その「そこ」はそれぞれ違うと思います。
その違いも踏まえて日本人が英語をどうにかするために、書いていくシリーズ(の予定)です。


日本の英語教育で英語ができるようにならないのは、
1. 語学の基本である発音・文法・辞書の使い方などを全然ちゃんとやらないことが多い
2. 学校の成績や受験のための英語になっている
3. 自分の好きなように英語を使うことがない、語学がコミュニケーションになっていない
4. その人に合うやり方を無視している

ここから、4から順に行きます。1は最後です。2は結構周知の悲しい現実なのでここでは詳しく触れません。


4. その人に合うやり方、人間らしい学びを無視している

これまで小学生から大人まで、英語の会話・文法・発音・作文・読解などを総合的に見てきました。私は完璧なバイリンガルからはまだ程遠いけれど、外国に住んで英語でビジネスをしていて、レッスンで生徒を見ればどういうアドバイスやサポートが必要かは見ることができます。
一つわかることは、「これを全部やれば英語ができるようになる」というのはあるけど、「誰にとってもこれをこの順番で全部やるのが正しくて楽しい」というのはない。人間は誰でもシステマティックに対応できるようにできてはいない。
で、「これを全部やれば英語ができるようになる」教育を受けてきた日本人に滅多に会わない。

では人は英語の何にハマるのか。何が好きなのか。
意外なことに、発音にハマる人が時々います。発音練習を強制せずに、本人がやりたくなった時にやったり、レッスン中のふとしたタイミングで始めると、楽しいみたいです。
また、幼児が言語を習得していくように、外国語を聞いてそのリズムや音で覚えて話す、という人もいます。このリズムや音に慣れるのは誰にとっても大事なんですが、誰でもそれで話すところまでいけるわけではない。
ちなみに私は文法がそれなりに好きです。全体のルールがわかっていた方が、新しく聞く外国語の内容を圧倒的に理解するのが早くなるし、文法の構造を知ることで違う言語の人の頭の中に入っていって違う世界を知る感触が好きです。

次に、逆に何が嫌なのか。
私は幸運なことに、英語で嫌だったことが少ない方です。早めに英語でコミュニケーションする環境に出会い、良いタイミングで無理なく発音・文法・辞書の引き方に出会った。
でも嫌いなものもありました。
・発音や文法を教えてくれず、ただ教科書本文と日本語訳を話すだの英語教師
・受験に向けて英単語を覚えること(暗記が嫌い)
そして文法や発音が嫌いで英語自体にアレルギーがあるのに、それで点数つけられてきた人の苦しみは計り知れないだろうということもわかります。

語学はその人が生きていく手段の一つで、語学がその人の世界の幅を大きく広げ、英語以外の言語を学ぶ時の足がかりにもなるべきものです。
日本の英語教育のように子供を語学アレルギーにして殺してしまうのはやばいので、必要なのは
・「これを全部やれば英語ができるようになる」をある程度わかっている人が
・「誰にとってもこれをこの順番で全部やるのが正しくて楽しい」というのはない、ということを理解して
・その人が語学をやるのをヘルプする

私も、全てを教える人ではなく、サポートやオーガナイズをする人になる、ということを意識しながらやっています。


3. 自分の好きなように英語を使うことがない、語学がコミュニケーションになっていない

私がレッスンのどこかで生徒に伝えるのは、だらだら、英語で面白いこと、何かをやるということ。
だらだらやったらいいよ、と。
だらだらしたくなければそれでいいんですが、みんな英語で不適切に苦しみ過ぎているので。
(発音・文法・辞書については後半で。続編でもまた書くかも知れません。)

YouTubeやNetflix、最初から長いのが嫌なら日本語字幕や辞書機能もついたVoiceTubeで自分の好きそうな短いのを選んでベッドの上でだらだら聞いたらいい。
Netflixは日本語字幕と英語字幕を選べるのが良くて、世界を知る意味でもいいです。今、世界で起こっていること。日本以外の世界での人間同士のあり方。男女の関係。性的少数者のこと。日本に疲れた人にもおすすめ。
私は日本のテレビやドラマがしんどくてあまり見ていませんでしたが、Netflixで普通のドラマに見えてさりげなく、もしくはがっつりと民族差別や女性蔑視に対するメッセージを送って来るのに気づいてからハマりました。個人的なおすすめは「Reign(スコットランドの女王メアリーをアレンジした歴史ドラマ)」と「Anne with an E(アンという名の少女)」。

で、この休校期間を利用して「この機会にオンライン英会話をはじめてみたらいかがですか。月額7千円程度で受け放題ですし、私の授業よりずっと安いですよ」とすすめまくりました。子供は楽しそうだし、それを見た親も満足するし、結局一緒にはじめてハマっている親もいました。

この「聞く」と「話す」はかなり効きます。それをどこかの時点からやっていると耳はまず鍛えられるし、発音もよくなってきます。圧倒的に大量の英語に繰り返し触れる中で語順や文法が、より立体的に自然にわかってきます。

それにプラスして、発音や文法、辞書の引き方もわかれば、自分で語学を学び、使える人になる。英語、そしてもしかしたら他の言語も。

ということで、次に1に続きます。

1. 語学の基本である発音・文法・辞書の使い方などを全然ちゃんとやらないことが多い

発音・文法・辞書の使い方をどうしたらいいか。

[ 発音と発音記号、リスニング ]
発音を下手に気にしすぎるより、コミュニケーションした方がいいです。片言の中学生英語で商売やって海外で生きてる人、結構います。
でも語学をやるのに発音をやらないのは、意味が分からない。最初にやってやり続けた方が絶対に得なのに。

英語の発音は口の形・舌の位置・息の使い方でほぼ決まるので、それを最初からやれば、そんなに難しいことはないです。私もレッスン中に生徒の発音が気になれば発音をやりますが、中学生から大人まで、上の3つがわかればほぼできるようになります。
例えば有名な「LとR」「MとN」は5分ほどやれば、みんな取り敢えず聞き分けられる発音になる。

つまり、最初の方にこの言葉のこの発音、この発音記号は、発音はこうしたらできるよというのをやって、新しい単語を知る度に正しい発音を身に付けていけばよかったのに、それをやってない。
最近は発音記号から発音を推測しなくても辞書が発音を音声で教えてくれるので、せめてそれを聞くだけでもいい。それをしないのは箸の使い方やキーボードの打ち方を知らずに戦うようなもので。
それと英語を使うこと、読んだり聞いたり話したりすることが学習の度につながれば、その言語の世界に入っていけます。聞く発音と話す発音がわかるので、リスニングとスピーキングは飛躍的に良くなります。

その意味で、教科書から発音記号を削ってカタカナ表記にしたの、本当に最悪です。

あと、リスニングを良くしたければ、
・発音の違いがわかって、1つ1つの単語の発音がわかる。
・リエゾンがわかる。単語同士がくっついいて発音が違って聞こえるのを理解して、聞き取る。
・聞き取るのが不可能なものがあることを知る。文字起こししたら書いてあるけど実際にはほぼ発音されていないものは、英語でも日本語でもあります。
・書き取り(ディクテーション)はドラえもんの忍者修行セット。聞き取れなくはない、できなくはないレベルから始めて、書き取って答えあわせをするのを繰り返して、さらに少し難しいもの、というのを繰り返したら、やった分聞き取れるようになります。


[ 語順と文法 ]
大人でも外国語を聞いて覚えて話せる、音とリズムで覚える感じ、という人がいます。小さい子供の語学習得もそう。それができる人は、ある程度文法的に細かい正確性が要求される仕事に就いたりしない限り、無理しなくてもいいと思います。
逆に私はそれが苦手で、今新しい言語をやる時はまず文法をがっつりやるのが楽しいです。やりながらこれってプログラミングなんじゃないかな、私は多分プログラミングにもハマるんだろうなって感じます。もちろん、大量にその言語を聞いてそのリズムや発音に慣れることもやりますが。
というわけで、文法は得手不得手や好き嫌いはありますが、語学をやる時の補助線にはなります。

文法で絶対にやらないと意味が通じない部分は語順だと思います。冠詞(aやthe)の使い方や細かな活用が間違っていても、語順が正しければそれなりに通じるので。
英語はその点、基本の5文型とその変形で、大半のことはなんとか伝わるレベルになるので、これもやらない意味が分からない
山ほどある例文をただ覚えるより、そのほとんどが5文型とその変形で、パターンが同じ、否定文や疑問文にする時の変形の仕方も同じだという大きなルールを見ながらやった方が楽、という人は多いです。

その点日本の英語教育はというと、、なんとなく教科書の英語の訳を見て、全部は覚えられないのでなんとなく覚えて、似た文やちょっと変わったのを見るともう全く分からない。もちろん話せない。子供がほんと可哀想です。
数学やスポーツなら公式やルールから入るのに、それをしないでやりながらルールをなんとなく理解してできるようになれというようなもので、むちゃくちゃ。

というわけで、5文型の基本の例文はまずやる。


[ 辞書の引き方 ]
発音と文法が見えてきたら、あとは辞書を自分で引いて自分でできるようになったらいいです。
その単語の発音と文法と例文がバッチリ書いてあるので、辞書に書いてある発音と文法と例文の読み方を理解して、何が正しいかわかるようにしたら辞書は友達です。
私も辞書がお友達すぎて今でもほぼ毎日引いてます。英語はほぼ毎日、日本語も毎月何回かはやってると思います。



長くなった上にここからまた裾野が広がるので、また続編を書くと思います。
個別アドバイスをご希望の方、質問やご相談のある方はコメント等でお気軽にどうぞ。

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