近藤寛峰(Yoshimine Kondo)

作曲家、編曲家、打楽器奏者、音楽、その周辺、倫理、美術、哲学、舞台、ビジネス、テクノロ…

近藤寛峰(Yoshimine Kondo)

作曲家、編曲家、打楽器奏者、音楽、その周辺、倫理、美術、哲学、舞台、ビジネス、テクノロジー 音楽制作スタジオ Studio Zen/ (有)近藤工房の音楽と製造業の二足の草鞋の生活をしています。

マガジン

最近の記事

即興演奏概論 序

音楽において即興演奏というとよくあるのが、ジャズにおけるソロの時に行われる各パートが音のキーに合わせソロパートをその場で作り演奏するといったものが一般的に有名な物だと思います。 そのように、その場で演奏を作る行為を即興演奏と呼び、古くではバッハ、モーツァルト、ベートヴェンなどのクラシックの大家も即興演奏を行っていたとされ、音楽家、とりわけ作曲家などはその場で演奏を作り出す行為が音階や和声を作り出すのに必要不可欠な行為となります。 クラシック、ジャズ以外ではいわゆる民族音楽の

    • アート鑑賞のススメ その①

      休日になると何をするかというと友人や恋人と食事や旅行へ出かけたり、スポーツをしたり、お酒を飲みに行ったり様々な娯楽がある中で、お勧めしたいのが美術館や博物館へ行くことがあります。 芸術を鑑賞するのはハードルが高いように思えるし、有名な画家の書いた綺麗な絵、気味の悪い絵や風変わりな芸術家の作ったどことなくヘンテコな物体や変わった作品、様々なアートと呼ばれる物体。 美しいものならともかく、ヘンテコなものが出てきたときに何が面白いのかよくわからないといったのが率直な話だと思いま

      • 芸術と政治 ~あいちトリエンナーレを終えて~

        あいちトリエンナーレ閉幕ということで、愛知出身で愛知県在住の自分としては動向を観察していたのですが、この国際芸術祭で大きく目立ったのは政治的な現代アート作品でした。 この国際芸術祭で起きた事象として ・表現の不自由展というほぼ反日本的な自己反省を促す作品が多数展示され、それにともない電話での抗議が脅迫ととれるレベルで多数行われた事 ・それに対するアーティスト達の自立した動きがあった事 ・愛知県知事と名古屋市長の間で分断が起きた事 ・終わり掛けに表現の不自由展が厳戒態勢で再

        • サウンドスケープ概論

          音の風景私ごとの話からで恐縮ですが、一時はギャラリーでのパフォーマンスや美術屋向けにやっていたのですが、最近では音の採取のみで外に出す事もなく、一人で採取して楽しんでいる事の一つに音の風景を採る、のような事をしています。 その音の存在はあまり知られる事なくそこに気づいた一部のミュージシャンがライブや音源のワンアクセントに使ってたりするのはたまに見かける程度で、それらは通常ほとんど意識される事もなかったりするような普段から存在しすぎていて感じられない音達。 ふとした瞬間の夏の

        即興演奏概論 序

        マガジン

        • 音楽人類学 ~現代音楽から今へ~
          1本
        • 音楽人類学〜アメリカ伝統音楽としてのJazz〜
          3本
        • 音楽人類学 〜インド古典音楽とその精神〜
          1本
        • 音楽人類学 ~西洋音楽基礎としての古代ギリシア~
          2本
        • 音楽人類学 〜日本の音楽を辿る 〜
          2本

        記事

          スコットジョプリンとラグタイム

          ラグタイムとその特徴 ラグタイム(Ragtime)という音楽を聴いたことがありますでしょうか。 おそらく聴いたことがない、という人が多数に及ぶと思うのですが、おそらくメロディを聞くと”これ知ってる”となる機会のが多いくらい浸透している音楽ではないかと思います。 19世紀初頭にできた音楽でブルースと並びジャズのルーツのひとつと言われている音楽です。 大元は軍隊で演奏されていたマーチであり、リズムの特徴もラグタイムの大きな特徴であるシンコペーションを除くとマーチである事がわかりま

          スコットジョプリンとラグタイム

          ニューオーリンズとクレオール文化 Jelly Roll MortonとJazz

          ニューオーリンズとクレオール文化 クレオール(Creole)というのは植民地生まれ、と言った意味だそうです。 ニューオーリンズ(New Orleans)は1718年にジャン=バティスト・ル・モワン・ド・ビエンヴィル(Jean-Baptiste Le Moyne de Bienville)というフランスの植民地活動家により設立されました。 また1722年にフランス領ルイジアナの首府となります。 1763年 イギリス、フランス、スペインにより行われたパリ条約によりスペイン領とな

          ニューオーリンズとクレオール文化 Jelly Roll MortonとJazz

          天文学と幾何学、哲学、四学の中の音楽

          天球の音楽 ピュタゴラスは宇宙の理、星や太陽、惑星などその調和の根元がどこにあるのかを理解しようとしました。 古代ギリシャではライラなどの演奏も行われていましたが、そうした目的よりも、ピュタゴラスにとっての音楽は自然の中の理、宇宙がどのように構成され、人間がそれをどのように享受しているかを解き明かす為の物としていました。 宇宙は数の調和により構成されており、音楽も同様に数の調和により構成されていると考えました。 そのため、ピュタゴラスは音楽を解き明かせば宇宙の真理に突き

          天文学と幾何学、哲学、四学の中の音楽

          インド古典音楽の創生と宗教

          インド古典音楽の現在と特徴 インド音楽というと、どことなく懐かしいような、それでいて初めて聞くようなシタールの音や様々な楽器を使ったドローン音、内面に没入するような優しく静かで神秘的な音が特徴です。 まるで自己の内面をより深く深く潜るような、、 現代でいうとビートルズ、詳細にはジョージ・ハリスンのシタールの師匠でありジャズシンガーのノラ・ジョーンズのお父さんのラヴィ・シャンカールやジョン・マクラフリンとシャクティをやっていたタブラのザキール・フセインなどインド音楽の達人の名

          インド古典音楽の創生と宗教

          自然現象としての音楽 古代ギリシャのピュタゴラス

          ピュタゴラスと数、音の調和 音楽を構成する音というのは自然現象であり、地球上において空気の振動を人間の感覚器官である「耳」を通じてキャッチしその判別を行う事ができるからこそ可能な原理といえます。 現代では「国語」「算数」「理科」「社会」「外国語」がいわゆる教科とされますが、古代ギリシアでは「哲学」「音楽」「幾何学」「天文学」が四学と言われていました。 音楽において初期の研究を成したとされるのが紀元前 580年ごろに生まれた有名なサモアの賢人とも言われたピュタゴラスでピュ

          自然現象としての音楽 古代ギリシャのピュタゴラス

          権力を嫌うという事

          アメリカのトランプ大統領というのは、今では世界の権力の象徴で、割とこれでもかというほど嫌われている人物なのですが、実際確かに言っている事も、かなりとんでもない事を言っていたり、そんなの在りえないだろというような事をやっていたり、、 言い換えると、嫌われているがゆえにまともにその中身をみられる事のない人物ではないでしょうか。 とか書いていると芸術寄りの友人に縁を切られる危険性を感じるほどに憎しみの対象になっています 笑 トランプ大統領を嫌っているのは、基本的に政治思想でも左翼

          権力を嫌うという事

          アメリカ伝統音楽としてのJazz① Buddy Bolden

          Jazzがいつ始まったのか、というのを詳細に辿るとまずたどり着くのがJazzの創始者ともされるBuddy Boldenに行き着きます。 Buddy BoldenはNew Orlearns出身のコルネット奏者で録音も残存しているか謎で口述で色々な逸話が語られる程度にしか知られていません。 Jazzバンドの創生は1820年ごろからCongo Squareという広場(現Louis Armstrong Park)で奴隷にされたアフリカン・アメリカンの人たちが日夜アフリカ音楽による

          アメリカ伝統音楽としてのJazz① Buddy Bolden

          日本の音楽② 江戸~明治

          江戸時代の日本の音楽というと主に三味線や浄瑠璃などで、雅楽や能はまだ官のものでしたがそれらが徐々に大衆芸能へ還元されて言った時代でした。 また、ヨーロッパではバッハやスカルラッティなどの音楽が隆盛の時期でした。 日本、西洋共に流れとしては宮中、宮殿で行われていた音楽はほぼ西洋、日本と同時期に官から民へという流れを辿っています。 ちなみに織田信長の時代には宣教師が来ており、すでにキリスト教で行われていたオルガン音楽などは聞かれていたそうです。 日本の音楽における特異性、という

          日本の音楽② 江戸~明治

          文化とコードという考え方

          芸術や文化を理解するということがどういうことか、というと「あるものをあるがまま」に需要すればいい、、 なぜなら芸術は世界中の誰とでも繋がれるユニバーサルな言語なのだから、、 というのは良く言われますが、実際のところ本当にそうかというと実際に本当に自国の芸術、文化から「本当に遠く」の他文化、芸術に触れる機会があった場合、たくさんの疑問を抱えるポイントになるでしょう。 芸術はその社会の文化と密接に接続されています。 例えば首刈り族の習慣は現代社会に生きている我々にはまず理

          文化とコードという考え方

          Mr.Childrenと相対主義、多様性と寛容

          文化と社会は密接につながっていて、時代に流行る音楽と社会のつながりの話ということでこの題名です。 現代においてよく言われるグローバリズム。 これを実現させる為に必要なのは「文化共存」や「多様性」「思う事は人それぞれ」のような考え方、まさしく存在する様々な考え方や文化に対する「相対主義」ではありますが、ゆえに現代はインターネットやそのグローバリズムから発生する様々で多様な人や文化、考え方などから逃れられない時代であり「相対主義から逃れられない時代」とも言えます。 相対主

          Mr.Childrenと相対主義、多様性と寛容

          日本の音楽① はじめに

          日本の音楽、というといわゆるヒットチャートをにぎわす邦楽と言われる音楽が世を席巻しているのが世の中でいう現代における日本の音楽の位置付けになるのは間違いないと思います。 また、こうしたプロの現場をのぞかせて頂いても、どれを売る、売れる、流行りは、今こうなっているからこうするといいという話が主であり、そこも現代の最先端の変化を知る事ができたりして面白い部分ではあるのだけど、New YorkやNew OrleansのJazzの現場の末端を体験してみてアメリカの伝統音楽としてのJ

          日本の音楽① はじめに

          芸術と政治、価値と無価値、嘘と真実、想像とポストトゥルースの時代。

          芸術家と言われる人。 主に古いタイプの画家や写真家、その他アヴァンギャルド、いわゆる前衛的な事を行おうとするジャンルでは資本主義への批判を行う事がかっこいい、のような風潮がありそういった場ですらなぜかお金とって自らの公演を行っていたり、作品を売っていたりと 「なんで金じゃないとか言いながら金とってんだ 笑 」 となるような事が良くあります。 色々な広告媒体において、書かれているこうした情報、行為。 そこで見る事ができる実際行われている手の込んだ個展、素晴らしい芸術家の

          芸術と政治、価値と無価値、嘘と真実、想像とポストトゥルースの時代。