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勝手に俺のマンガ大賞(仮)第0回

はじめまして。漫画編集者のよしむねです。

この記事は「勝手に俺のマンガ大賞(仮)」の第0回ということで、
連載を始めるに至った経緯や、趣旨について書いていこう
と思います。

まず、相棒としてもう一人の編集者 佐野がいることをお伝えしておきます。

彼とは部署が違うのですが、編集力を上げるために、日夜漫画談義をしています。

読み切り漫画の感想を書き溜めてきた3ヶ月間の記録。200作品を超えた。

そんな活動をしていたら、先輩編集者の吉田さんに
「こんなのやってるの珍しいよね〜。発信しちゃいなよ!」
という言葉をいただき、この連載を始めることになりました。

たしかにこういった感想を、全然関係ない編集者からもらうのは作家さんにとって、嬉しいかもしれないし、その作品の作家以外の人にも役立つものになるかもしれない。

(佐野追記)
僕らは「新人作家と世界を獲る漫画を作りたい」という思いから、あえて新人の登竜門である読み切りに絞って読み込んできました。
2人の間に留めるのではなく、自分たちが作品から受けた感動や、作家の才能を発信できるなら、それもまた一つの意義かなと思っています。
(佐野追記 終)

ただ読み切り漫画の感想を書いてもつまらないので、
界隈で有名なインディーズマンガ賞(?)「俺マン」に倣って
『勝手に俺のマンガ大賞(仮)』
というタイトルのもと、読んできた読切漫画の中で、よしむねと佐野がそれぞれ選んだ漫画を持ち寄り、ノミネート作品を選んでいく形式で進めたいと思います。

ビブリオバトルのようなイメージです。

審判は・・・吉田さんにお願いしたいと思います。

さて、賞をやるからには、「僕たちは何をもって作品を選んでいくのか?」という疑問が生まれますよね。
※賞をやると言いつつ今のところ賞金は出せません・・・泣

そこで、ここからはよしむねと佐野の雑談形式で、「どんな漫画が好きなのか?」をお伝えできたらと思います。

それでは。


よしむね:『勝手に俺のマンガ大賞(仮)』、まずは何から始めよっかね?

佐野:吉田さんが紹介してくれた「俺マン」だと、「ごはん漫画」っていう言葉があったらしいね。

よしむね:「ごはん漫画」......。グルメ漫画的なやつ?

佐野:じゃなくて、定食についてくるごはんみたいに、メインではないけど雑誌の中では欠かせない漫画って意味。「俺マン」の発起人の方が好きな漫画のイメージなんだって。

よしむね:なるほどね。趣味がわかりやすい。

佐野:そうそう。だから俺らも「ごはん漫画」みたいなの作ろう。むねだったら「なに漫画」?

よしむね:ん〜〜〜〜。なんだろねえ。好きな漫画は松本大洋さんの『ピンポン』、新井英樹さんの『宮本から君へ』、徳弘正也さんの『狂四郎2030』とかかな。

佐野:むねっぽいな〜笑 なんか共通点ありそうな感じするよね。

よしむね:なんか暑苦しいの好きなんだよね。

佐野:キャラが?

よしむね:そうそう、身体の赴くままに生きてる主人公が好き。

佐野:なるほどね。

よしむね:気分が下がってるとき、ペコvsドラゴン、宮本vs拓馬とか読み返しちゃう。俺の世界に必要なのはこのスタンスだって。

佐野:スタンスってことは、強い主義のぶつかり合い、みたいなことなのかな

よしむね:違う。

佐野:違ったわ。

よしむね:イメージでいうと、無意識に秘められた強い感情を掘り出してくれる漫画って感じかな。

特に、他人にはなれないこと、他人のことを完全に理解することはできないこと、そういう自分と他人の間には絶望的な距離があるということに気づいたあとに、主人公のエゴが爆発するシーンが好き。「リビドー漫画」と名付けよう。

佐野:リビドー(笑) それで大丈夫?

よしむね:うん。いったん俺はリビドーでいくわ。佐野ちゃんの「XX漫画」は?

佐野:そうだな〜、まず俺が好きな漫画は猪ノ谷先生の『ランウェイで笑って』、新川先生の『四月は君の嘘』、高松先生の『スキップとローファー』、眉月先生の『恋は雨上がりのように』とかなんだよね。

よしむね:いつも思うけど、俺と好みが全然違うよな。

佐野:そうだね。「大切にしたい漫画」って感じなんだよな。「棺桶に入れたい漫画」というか。

よしむね:じゃあ「棺桶漫画」か。

佐野:それは違う。

よしむね:すみません。

佐野:むねはシーンを挙げてたけど、作品に漂う空気感というか。ひっそりと抱えてた葛藤だったり、希望だったり、そういう片隅にある感情を拾い上げて抱きしめてくれる感じ

よしむね:ポエジーだな。なるほどねえ。それをなんと呼ぶか。難しいな。

佐野:・・・・・・(長考)

佐野:わかった!「マフラー漫画」だ。

よしむね:ほう?

佐野:冬の寒い日、首元をふんわり暖めてくれる。でも、いつも必要なわけじゃなくて、春になったら部屋の隅にかけて出かけたりもする。繊細な感情に寄り添ってくれるっていう意味で、マフラーが今のところ一番しっくりきてるかな。

よしむね:ええやん。じゃあ佐野ちゃんは「マフラー漫画」ね。

佐野:うん。それでいこう。


こうして始まった「勝手に俺のマンガ賞(仮)」。
第一回では、アフタヌーン四季賞2023年 秋の作品2つがノミネートされました。お楽しみに。

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ヨシムネ:@yoshimu_cork
佐野:@love_tot_editor

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