アウトローの日記

早朝、人気のない路地を歩いていたら、向こう側から大柄な男が歩いてきた。
俺は立ち止まり、品定めをする。
鍛えられた体、鋭い眼光、不敵な笑み。
決まりだ。こいつは俺と同類だ。

俺は不動立ちで相手を制す。
ようやく、相手もこちらを察したらしい。
鈍間な野郎だ。しかし、油断は禁物だ。
サンチンに構えて攻撃に備える。

バトルスタートだ。
頭の中でゴングが鳴り響く。

後の先を狙って相手の攻撃を待つ俺。
ポカンとしてこちらをみる大男。

構えを崩さず、ジリジリと距離を詰める俺。
頭をかく大男。

足が疲れたので不動立ちに戻る俺。
あくびをする大男。

突然、目の前が暗くなり俺は気絶した。


目が覚めると、俺は公園のベンチで眠っていた。
日が高く昇っている。鳩が鳴いている。

なんということだ。あまりの緊張感に呼吸を忘れて酸欠で気絶したのだ。
おそらく、気絶した俺をあの大男が公園まで運んでくれたのだろう。
なるほど。強い男は優しい男でもあるということか。敵ながら天晴れである。

僕の、あ……、俺のストリートファイターへの道は始まったばかりである。敵は強ければ強いほど倒しがいがあるってもんだ。
昼間の公園で不敵に笑う僕。
鳩の糞が頭に落ちてきた。

最後まで読んでくれてありがとー