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俺と師匠の情熱seitai life season2 全身関節編 15

3月の春分の日、たまには整体のことでも書くか。

先生の所に通うようになってから、俺は中国3千年のレシピを捨てながらセミナーで習ったテクニックを淡々と毎月増やしていった。

先生のセミナーは月1回、まるでディアゴスティーニのようにテクニックが増えていき、最終的には全てを網羅できるようになっていく。

違うのはディアゴスティーニのように月1個だけみたいなケチくさいことはなく、かなり多くのテクニックが増えていく。始めの頃は短時間で可能だったが、今では覚えた全部のテクニックを使い終えるとほぼ60分先生のテクニックだけで終わってしまう。

覚えたテクニックを厳選しながら自分の培ってきたものと混ぜていくのが理想だが、俺は自分の培ってきたものをとにかく捨てて、先生のテクニックに変えている。俺は先生の歩いてきた道を感じ取りながら同じ手技や調整法、概念をもって先生を追いかけたいのだ。

ロックやパンクにもrootsがあってオリジナリティを作っていく。例えばラモーンズみたいな音楽を作りたければラモーンズを聞きまくり、ひたすらコピーするしかない。コツは慣れてきても自分のクセをなるべく入れないこと。

あと数ヶ月で先生と出会って1年だ。

先生から俺へのアドバイスは2つ。骨や関節の名前や解剖学を勉強しろと言われたことはほぼ無い。

マイケルシェンカーのTシャツで、2日酔いでセミナーに行った時いつもの半分以上、人生と整体をナメてた自分のズレが露呈した。

「人の話を最後までしっかり聞け!」

初めて関節セミナーで呑みに行った時、楽しくなりすぎて乾杯のあと長年のズレたクセが露呈する。

「ビールジョッキを雑に置くな。大事な人の身体を扱う仕事をする人間がそんな雑でどうする」

総括して最近ではこう言われた。

「いちいち大事に、いちいち丁寧に人と接して仕事をするんだぞ」

まだまだ何十年もかけて形成された俺の「雑さ」は改善には至らないことだらけだが、今はその二つを徹底的に気をつけている。

人の話を聞くようにすると、クライアントは沢山自分のことを話してくれる。それは整体師にとって1番大事なこと。原因究明の鍵になることが沢山詰まっているのは本心から出るクライアントの言葉。

そして人のカラダを丁寧に扱うように心がけるだけで人は安心し、調整も上手くいき、やり直しも少なくなる。ここはとんでもなく違ってきている。

俺は雑さとせっかち故に次々と他部位への調整へテンポ良く移動したくなってしまう。そして移行する時に雑にクライアントの手足を置いてしまっていたのだ。

1番崩すと厄介な末端部を雑に置いてしまっていた…。

失格だな…。基礎中の基礎がなっていなかった。そんなコトも知らずにこんなに長い間、人のカラダを触り続けてしまった。久しぶりに落ち込んで罪悪感と後悔が背中から襲ってくる。

自己嫌悪や罪悪感で業界を離れてしまう人も多いのも事実だ。

だけど俺はこういったことを贖罪に変えて今まで仕事をずっとしてきたんだ。今から変えればいい。

幸いこんな俺にも長年通ってくれてるクライアントはいる。簡単に諦めるぐらいなら最初からやってはいない。人のカラダを元気にするためのテクニック。

辞めたらただの時間の無駄だ。

俺は今年の春に自分の培ってきた様々な過去の自分から卒業する。そして41歳から円熟されたトップクラスの整体師、野球で言えば3割を超える打者を目指すことにした。

これが俺の整体人生のセカンドステージだ!今日はしぶとくここまで生きてきた自分の人生と、娘の保育園の卒園に乾杯でもしようと思っている。

そしてビールジョッキを優しく丁寧に置く。

とりあえず…今はこれで完璧だろ⁉︎

つづく




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