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『引退』と言うのは烏滸がましいですが。

サッカー選手として上を目指してずっとプレーしてきましたが、それに一区切りつけることに決めました。本当はもっと、ずっとずっと高い所に夢や目標はあって、普通に考えれば到底届かないことは分かっているのに、少しでも可能性があるんじゃないか、もしかしたら道が開けるんじゃないかという想いがここまで自分にサッカーを続けさせてきたように思います。

先日、日本に一時帰国した際、昔からお世話になっている病院に行く機会がありました。そこには友人のお見舞いで行ったのですが、ずっとお世話になっている理学療法士の先生のご好意で膝を診察してもらいました。

『これはいってるな...。』

先生の一言で自分にはそれが何を意味しているのかが分かりました。24歳、グルージャ盛岡でプレーしていた時に負った左膝の前十字靭帯断裂という怪我。その時と同じ感覚の痛みを右膝に感じたのが、2018シーズンに自分がプレーできずにいた理由だったからです。

タイでは手術無しでも回復するだろうと言われた怪我でしたが、全く良くなる気配のない症状。過去の感覚と照らし合せても半ば確信めいたものは感じていました。

7年前の怪我では約1年をリハビリに費やし、その後、痛みが取れるまでもかなりの時間を要しました。

『もう一度、前十字靭帯を怪我したらやめよう。』

これは怪我から復帰し、海外挑戦を決意した時に決めていたことでした。

でも、正直に言うと今回『前十字靭帯断裂』という診断を聞かされた時はすっきりとした感情すら感じていたんです。

海外に出てから8つのクラブでプレーしましたが、理想と現実のギャップ、自分の力の無さ、自分の精神的な弱さにうんざりするばかりでした。

『こんなところでやっていて意味があるのか?』

そんなことを思いながらピッチに立った試合もありました。

それでも、ゴールを決めた時のあの興奮と喜び、そして昔から持ち続けてきた自分の夢や目標。それらを想うと自然とやる気が湧いて、それが自分を毎日の練習に向かわせました。

怪我が原因で辞めるなんて良くないと言う人もいるかと思うけど、自分はこんな理由でもない限りサッカーに対する自分の気持ちに区切りをつけることは出来なかったと思います。

だから、この怪我についても、良い意味を持たせることはこれからの自分の行動次第でできるんじゃないかと思っています。

これからやりたい事はたくさんありますが、今自分がすべき事というのは自分の中で見えてきていて、サッカーを通して得た経験を生かし、それらを形にしたいと思っています。

そのためにも日本には戻らずタイ・バンコクにいるつもりです。

17歳の時に当時の監督が『サッカーの世界は広いようで狭い、サッカーをやっていれば俺らは必ず繋がる』というようなことを言っていたのを今でも覚えています。

その言葉の通り、これまでサッカーを通してたくさんの人と出会うことができました。サッカーの世界だけではなく、サッカーを通した沢山の方達との出会いが自分にとって素晴らしい思い出になっています。

本当は、サッカー選手として全く夢に届かなかった自分が『引退』という言葉を使うのは烏滸がましいようで、かなり抵抗があります。

しかし、一つの区切りという意味で今までお世話になった人達、応援してもらった人達にお知らせしたいと思い、こういう形で文章にしました。

選手としてではないですが、サッカーの世界にはこれからもいますので、またこれからあるであろう新しい出会い、そして今までお世話になった人達との再会を楽しみにこれからも頑張りたいと思います。

今までありがとうございました。

これからも宜しくお願いします!





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