見出し画像

島流れフリーランス39歳、じぶん改造計画【序章③】夫婦そろって水商売

2019年まであと5時間。

いま、コインランドリーで洗濯が乾くのを待つ間に書いている。何をそんなに急いでいるのか、自分でもわからない。海外旅行で国境を「せーの!」と飛び越えるように、深夜0時をせーの!とまたいだら、ちがう世界に行けると思っているのかもしれない。面倒なので、行けるということにして、本題に入る。

変えないとマズいかもな。

そう思ったことのひとつに、お金のことがある。

(あ、ここから先は、現状やべぇということをつらつら書いているだけなので、太字のあたりまで読み飛ばしても差支えありませんデス)

現在の収入は、雑誌やwebなどに書いて、主に東京の出版社などからギャラ(原稿料)として得ている。

わたしの場合はテキストだけではなく、写真を撮ったり、たまに編集作業から受けたりするので、その分多くもらっていると思う。普通のライターさんに比べて、原稿1本あたりの効率がよいので、それに甘んじてあまり多くの媒体との付き合いを持たずにここまできた。逆にいうと、収入の柱が少ない状態だ。保障のないフリーランスとしてはあまりよろしくないですね。でも、どこも信頼している会社だったので、危機感を感じていなかったのも事実だった。

だが、しかし、ある会社の支払いサイト(原稿を納品してから、ギャラが振り込まれるまでの期間)が3、4カ月以上先延ばしになり、予定だと思っていた期日にも振り込みがなかったり…。こちらの勘違いだとよいのだけど、ときは空前の出版不況である。ウン十万単位の額となれば、変な心配だってしないわけじゃない。出張に行ってばっかりで、建て替えてる交通費や宿泊費もけっこうあるんだもん。

それに流行りすたりだってある。わたしが仕事として書いているテーマの一部に、「移住」や「狩猟」があるのだけど、今はある意味ブームと言っていいだろう。自分も興味があってどっちも実践しちゃったクチだし、このテーマの仕事に巡り合えたのは、本当に幸せだ。でも、3年後、5年後に世間の人気がどうなっているかはわからない。

自分から企画もってバンバン売り込みかけて、仕事をとってくるライターさんもいる。むしろそっちの方が主流だし、あるべき姿だと思う。自分はそうしなかった。仕事を紹介していただける、という運に甘えていたし、なにより……企画を却下されるのが怖かったんだ。臆病だったってことですな。

いまやりたいテーマ、カラスや児童虐待で書かせてもらっているWeb連載は、編集さんとの雑談から「これこれこんな感じでやってみませんか」と誘っていただいた。自分は「これに興味がある、こんな世界なんだ」とギャーギャー言っていただけなんで、企画とかじゃないっすね。たまたま心やさしい編集さんに恵まれたんだ。

今さらだけど、先の読めないハイパー水商売。今まで受け身だった部分を少しくつがえしたい。

……ということで、39歳劇場では

・自分の企画を持ち込む(願わくば書籍で)

・自分の売り物を持つ(Webでの販売、有料コンテンツなど。実はカラス関係では、自主制作したカラス雑誌、グッズなどの通販をすでにやっている)

・ライターなどの職種にとらわれず、何かあれば

などをやっていきたい。書いててまだ怖いし、やれる気がしないけど、必要なんだから火事場の馬鹿力も出るでしょう。

それに…

夫も今年から、バリバリの水商売になったしな!

夫は2018年4月、野生イノシシを使った豚骨…ならぬ猪骨(ししこつ)ラーメンという店をはじめた。妻のひいき目ではまったくなく、このラーメンはとっても美味しい。わたし、わざわざお金払って食べてるぐらいだし。それに、「獣害の損出をジビエ活用で取り返す」という社会的な意義もあると思う。前職はサラリーマンだった夫も、狩猟免許とってラーメンの学校でも修行してとてもがんばっている。わたしは不規則な仕事がらフロアに立つことはあまりないが、店の看板やWebサイト、販促物づくりなどで後方支援をしている。出張先での熱いPRも習慣だ。

しかし、やってみてから始めて知ったんだけど、飲食店――特にラーメンってメチャクチャ利益率低いんですね!!

ライターとは大違いだ。工場でつくった仕入れ品を使うなら話は違うが、ともかく経費がべらぼーにかかる。スープの素材や肉の材料費、そしてグツグツ煮込むガス代や空調費、家賃などを考えると、利益率1~2割? え、これで人件費出るの?みたいな金額しか残らない。

しかも、飲食店ってもともとお客さんの入りが読めない上に、ウチの店ったら「観光地」かつ「ジビエ専門店(家畜みたいにいつでも入荷できるとは限らない)」というギャンブル要素しかない! たしかに夫は昔、競馬やパチンコ大好き人間だったですけど、飲食店経営に比べたら屁みたいなもんだよ。

夫曰く、「粉モノは、数が売れないと利益率がとんでもなく低いが、たくさん売れればどんどん上がる」んだそう。だから、まだ売れていない今は、ハイパーしんどい。ハイパーとかウルトラ、とか言っておちゃらけてないと、精神がもたない。店の細かいことが見えていないわたしがこうなんだから、夫はもっとしんどいだろう。借金もあるし、うぇーい!

早く売れて、夫がカンブリア宮殿に呼ばれる日をわたしは夢見ている。それまで元気でいてください、村上龍さん。

「39歳じぶん改造計画」のためのカードがだいたい出そろってきた。そろそろ、2019年……5時間後から始めることを書き出してみたい。

そろそろ夫が帰ってくるので、お酒飲んじゃうぞ。書けるかな、どうかな。

(つづく)

カラス雑誌「CROW'S」の制作費や、虐待サバイバーさんに取材しにいくための交通費として、ありがたく使わせていただきます!!