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図書係の君へ。素直に伝えられなかった初恋の気持ち。

初恋。誰しもが通る甘酸っぱい思い出。

私の初恋は小学4年生の時だった。

1人の男の子が私のクラスに転校してきた。
かわいい顔しているなぁ、そんなことを思ったのを覚えている。

私にとってはただの転校生の男の子だった。

そんな転校生の男の子、距離が近づいたのはクラスの係決めだった。

うちのクラスでは、男子と女子が2人で係の仕事を行うことになっていた。

私は本が好きだったから図書係を選んだ。
その図書係を選んだ男の子が、その転校生。
初めてその子と話した。

気づいたら私達はちょっかいを出し合う仲になっていた。
どうして仲良くなったのかは覚えていないけど、係の仕事なんてそんなにたくさんあったわけでは無いから不思議だ。

「ほんとお前はデコ広いなぁ。デコ広。」
「うるさいなー。お前に言われたくないわ。」

そんな言い合いをしたり。

休み時間になると、私から足を蹴りに行ったりしていた。
そうすると、後で廊下で会った時に向こうから蹴りに来る。

お互いちょっかいを出し合っていた。

まあ、ただの友達っていう感じだ。

でも私は、そのちょっかいの出し合いが楽しくてしょうがなかった。
ちょっとした言い合いも好きだった。

気づいたら、彼に恋愛感情を抱いていた。

ボーッと廊下を歩いていたら、
「ヘアゴム、ズレているよー。」
って彼が私のヘアゴムの向きを直してくれたり。

「デコ広ー。」
って言いながら、私のおデコに手を当ててきたり。

彼のちょっとした行動で、心がドキドキするようになった。
気づいたら、彼を目で追うようになっていた。

後期になって係は別になってしまったけど、まだちょっかいを出してくれていた。
それが嬉しくてしょうがなかった。

でも、その関係性が心地良くて、それより1歩進むことができなかった。
踏み込んでしまったら、関係性が壊れてしまいそうで怖かった。
じゃれ合うことしかできなかった。

そうして気づいたらクラス替えの時期が来てしまった。
私達は別のクラスになった。

クラスが離れたら、彼と接する機会が無くなってしまった。

5年生になった私はクラスでいじめられるようになってしまったので、廊下で彼を見つけても避けるようになってしまった。
暗くなった私を、彼に見られたくなかった。

ただでさえ減ってしまった彼と会う機会も、自らゼロにしてしまった。

そうして月日は経ち、6年生になった私は転校をした。

片想いの気持ちを心に秘めたまま、彼と離ればなれになった。
想いを伝えることができなかった。

転校して以来彼とは会っていない。
今どこにいるのかも知らないし、何をしているのかも分からない。もちろん連絡先も知らないし、今後会う機会も無いだろう。

でも、私の中には彼の存在が残っている。
何年も月日は経ったけど、「初恋の人」は彼だけだ。

今もし彼に会えたら伝えたい。

私はあなたのことが大好きだった。
蹴り合ったり言い合いをする時間が楽しくてしょうがなかった。
あなたのちょっとした行動が、私の鼓動の動きを早くした。すごくドキドキしていた。
いつも目で追っていたし、クラスが離れてからも遠くからあなたを見ていた。
大好きな気持ちを上手く表現できなくて、ちょっかいを出すことしかできなかった。
素直になることができなかった。

本当は「大好き」って言いたかったし、できることなら友達以上の関係になりたかった。
もう私達は大人になってしまったし、あの頃に戻ることはできないけど、私に甘酸っぱい思い出をくれてありがとう。
ちょっかいを出してくれてありがとう。

大好きでした。

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