デジタルウンコ

僕は道端にウンコが落ちてるとついつい見つめてしまいます。
枯れ枝やビニール袋なんかが落ちていても全く気に留めないのに、ウンコがあるとそのディテールまで逃すまいと注目してしまうのです。

ウンコは控えめに言ってきれいじゃないので見つめるに値しません。
ウンコを見つめていて得しましたなんて話は聞いたことがないし、ウンコを見てうれしい気分になったこともない。
それどころかちょっと嫌な気分になります。
なのに、僕はウンコを見つめます。

汚いモノや臭いモノって人を引き付けるなにかを持っているんじゃないかと思います。
くっせえ!と一度顔を背けたものの臭いをもう一度嗅ぎたくなってしまったり、見たことを後悔した生き物の死骸なんかをもう一度確認してしまったり。
そんな経験みなさんもあるんじゃないでしょうか。
少なくとも僕はあります。

全く理由はわかりません。
なぜ僕が汚いモノや臭いモノに引き付けられてしまうのか。
知る由もありませんし、それほど理由が知りたいとも思ってません。
ただ確かなことは、自分が不快になることは分かっているのにそれでもなお僕はウンコを見つめてしまうということ。


これは現実世界だけに限った話ではなくて、僕はネット上でもウンコを見つけては観察してしまう癖があります。デジタルのウンコですね。
例えばヤフーニュースのコメント欄。
芸能人の不倫報道に対する膨大な量のコメントたちはまさしくデジタルウンコなわけですが、僕はそれらを見つけて「おっ。やってるやってる。」なんて思いながら一つ一つに目を通します。
例えばYouTubeの動画コメント欄。
揚げ足取りや誤字脱字指摘で論破だのなんだの言っているコメントを「ほえ~…こりゃまたすごいな…」とアホ面しながら読んでいます。
このどちらもがデジタルウンコであり、見たところでプラス価値が生まれるわけでもなく陰鬱な気分になっていくだけです。
じゃあ見なきゃいいじゃん。
そう思った方もいらっしゃると思いますが、上述のとおりウンコには不思議な吸引力があるのです。
ウンコが少しでも視界に入ってしまったが最後、そこに視線が吸い込まれていくわけですね。
平安時代の貴族であればこう言ったでしょう。
あな恐ろしや、ウンコなり。
ウンコって、怖え~。

現実世界に話を戻します。
先ほど、ネット上にもデジタルウンコが存在するんだよと言いましたが、現実世界にもウンコ(リアルウンコ)と同じような存在のウンコ(本当はウンコではないけど)が存在しています。それも無数に。
自分や友達に対して意地悪をしてくる人、むかつく上司、昔起こった悲しい出来事などなど多種多様なウンコに囲まれて僕たちは生活しているんです。
そして、無自覚のうちに「ウンコ大好き」状態になっている人を僕はよく見かけます。
その人たちもウンコに引き寄せられているんでしょうね。
ウンコって、すげえや。

大前提として繰り返しますが、ウンコは僕たちを幸せにしてくれません。
まるで中学生が悪ふざけで作った英文みたいですね。
ウンコは僕たちを幸せにしてくれません。
UNKO doesn’t make us happy.
ちょっとジワリます。
ウンコが僕たちにいい影響をもたらすことは絶対にないのです。
というか、最悪の場合、ウンコは私たちをウンコにしてしまいます。
UNKO makes us UNKO.
これ、冗談じゃないですよ。
ウンコに気分を害されて、ネガティブな気持ちになり続けてしまった人って、他人の気分を害してしまう存在になるんです。
ネガティブなモノばっかり見てずっと怒ったり悲しんだりしてる人って、一緒にいたいってあんまり思えないじゃないですか。
というか、喋っててネガティブな話ばっかりされると自分の気持ちも落ち込んでくるでしょ。
悲しいかな、ウンコは人間をウンコにするんです。
なので僕たちは絶対にウンコから逃げなければいけません。

最近僕はその方法を見つけました。今更ですが。
あまりにも原始的で、恐らくみなさん無意識のうちにやってのけていることだと思うので、こんなにもどや顔で発表するのが恐ろしく恥ずかしいですが。

その方法とは
「なるべくウンコがありそうな場所には近づかないこと」
です。
一度ウンコを見つけてしまうと僕たちは引き寄せられてしまうので、全く視界に入れないように努力しようという話です。

じゃあウンコを見つけてしまったらゲームオーバーなのか?
いやいやそんなことはありませんと思います。
ごめんなさい、自信はないです。
ゲームオーバーかもしんないです。
ですが、一応僕が最近やっているウンコを見つけてしまったときの対処法をお教えしておきます。
「好きなもの、きれいなものを見てウンコの記憶を流す(ウンコだけに)」
です。

好きな芸人の漫才、ハマっているマンガ、夢中になっているドラマ、なんでもいいので自分にとってプラスの気持ちをもたらしてくれるものに集中するわけですね。
うまくいけばウンコのマイナス分を埋めてくれるかもしれません。

ぜひ、ウンコを避けて便器のような真っ白な心で生きていってください(ウンコだけに)。
僕が一番頑張りますけどね。

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