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”思いつき”定義集㊷「り」

【利他(主義)】「情けは人のためならず」と言う。事実、利他的行為を偽善と呼ぶ人もいる。しかし悪よりはるかにいい(そもそも偽善とは証明不能な他者による評価・揶揄に過ぎない)。
 人は他者への貢献によって喜びを覚える。それへの応答や謝意を示されればなおのこと。これを否定する正当な理由は全くない。むしろこれこそ良質なコミュニケーションである。刹那であれ全力で利他的であることは結構大事。
 「愛」が成立する前提にも利他性が求められる。愛の対象は自己(エゴ)の外にあるからだ。その意味で「自己愛」とは自己撞着の最たるもの。創作世界で愛がテーマであり続けてきたのも人間の本性の一端を示唆している。実に陳腐な言い分ではあるが。

【吝嗇;りんしょく】良く言えば節約・倹約だが、悪く言えばケチ(同義だがニュアンスはある)。吝嗇家の末路は、ドストエフスキー『罪と罰』の老婆か、ディケンズ『クリスマス・キャロル』のスクルージ―の改心か。
 いずれにしても、生活難ゆえに徹するケチと、マネーゲームによる蓄財を目的化しているケチとの間には雲泥の差がある。さて、いずれの方がケチ臭いか、言うまでもないだろう。

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