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【介護:本】「インターネット的」を介護現場に活かしてみよう

糸井重里さんの「インターネット的」(2001年出版)を読みました。
流行りのビジネス書も良いですが、過去の良本から学べることは多いです。

糸井さんが書いているブログ「ほぼ日」の表現が優しくて好きなんですよね。真似できそうで真似できません。さすが書き手のプロです。

「まずは出しきる」

会社なんかでも、優秀な人をいくら入れても、冷え切った組織は温まらないのではないでしょうか。さらに余談ですが、男女の仲でも、冷え切ったところに熱を入れようとしても、しかたがないのかもしれません。たぶん、冷えを追い出すことが、熱を入れることより先なんでしょうね。

90頁

冷え切った人がいたとしても日本の会社は辞めさせることができません。なので冷え切った人が居づらくなるようにしていった方が良さそうです。スタッフ優先の業務内容を利用者優先に徐々に変えていっています。合わない人(冷え切った人)が徐々に辞めていってくれています。熱がある人が入ってくれるように人事と交渉しないといけないのが大変ですが。

「まずは出しきる」

たくさん出す人、いっぱいサービスする人のところに、いい情報が集まってくるのですから、みんなによろこんでもらうことを、完成形など待たずにひっきりなしに提供していくことが、いい情報を集める方法でもあるのですね。

92頁

職場で常にイライラしているスタッフがいます。イライラしているので誰も寄り付きません。必然と情報が集まらないのでイライラが減ることがありません。自分はこういう性格だからと決めつけているのでとやかく言うのは止めました。そしたら自分の気持ちが落ち込むことは少なくなりました。諦めることは大事です。

「お金がなくても何度でも実験できる」

無料で”欠点があるのを承知で使ってください”というメッセージを加えて、早産のように市場に放してやると、たくさんの目で実際に使ってみての「バグ・チェック」をしてもらえるわけですね。ちょうど、コンピューターにデジタル的な実験をくりかえさせるのと、似ています。さらに「バグ」の発見をやってくれるユーザーたちは、のぞんで「まあ完成かな」というソフトを使ってくれているわけです。

79頁

施設のイベントを行う時に計画書に時間をかけまくるスタッフがいます。「とりあえず70%出来たら一旦出してみて。どうせ修正されるんだから。完璧だと持ってきて修正されるとショックでしょ」と早めに見せてもらうようにしています。本人は70%で持ってきますが僕目線だと30%の出来です笑。でもそれでいいんです。早めに修正することで企画者と決裁者(僕)の時間が奪われずに済みます。

「情報エンターテイメントという時間食い商品」

時間は、みんなに平等に配られた富です。
その時間を節約する機械として洗濯機や炊飯器などというものが発明され、販売され、受け入れられてきたわけです。家事労働を機械がやってくれたら、自由に使える時間がつくれます。

94頁

蒸気機関車が発明され、電気が発明され、だいぶ機械が人に代わってくれるようになりましたが「時間がない」のはなぜなんでしょうか。時間が余ればそれを補うなにかに置き換わるので永遠と「時間がない」と言い続けるんでしょうね。
介護現場も「時間がない」「人が少ない」と言われています。時間や人が余れば他のなにかを行っていくのでずっと時間がない、人が少ないと言い続けるんでしょうね。

長くなってしまいましたね。最後にもう1つだけ。

「消費者という人はいない」

握手という習慣があります。あれって、お互いに武器をもっていないことを確かめ合う儀式に起源があるそうで、つまり、相手の個性をまったく知らなくても「武器はありません」と申告しあえば、最大の危険は回避できるというわけです。「知っている人でもよくわからないのに、知らない人のことが、簡単にわかるはずがない」ということを前提に、こういうマナーを発明したのでしょう。人と人とは、そんなに簡単にわかりあえるものではない、ということは、コミュニケーションを考えるうえで、とても大事なことです。

133頁

これを知っているか知らないかでは精神的に大きく違ってきます。時々、「何回も伝えているのになんで分かってくれないんだろう」と相談を受けます。「伝えればわかってくれるはず」ということが基礎にしているとエラーが起こってしまいます。人と人は深いところでは分かり合えないを前提にすると伝え方や話し方が変わってきます。あと「察して」はほぼ伝わりませんよね。

本を引用している時に、「糸井さんってここで句読点うつんだ」と発見がありました。「話しているかのように読める」は心地いいですね。

なにかの参考になれば幸いです。

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あとがき

SNSが生まれ誰もが発信者になることができる。書き物で生計をたてていた人の仕事を奪われたことは想像に容易い。それでも生き残っている人はやはりプロなんだと思う。僕もそんな介護屋でありたい。



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