Googleしごと検索から、検索のちょっと未来を考えてみた

はじめに

つい先月のことですが、Googleしごと検索というサービスがリリースされました。海外ではGoogle for Jobsとと呼ばれているものの日本語版ですが、このことは単にGoogleの検索結果が画面に新しいモジュールが追加されたということ以上の意味をもっていると思うので、これがもたらす意味について推測をまじえて書いてみます。

どんな仕組みなのか?

Google しごと検索では掲出されるための方法が公開されており、ウェブマスターはその仕様にそってデータを記述することで、自分のサイトの求人情報を検索結果に表示できるようになります。こうして記述されたデータは構造化データと呼ばれ、Googleは今までにも同じ仕組みをレシピなどの他のモジュールで展開しています。今回はGoogle しごと検索という固有の名前で呼ばれ、公式ブログでも大々的にアナウンスされたこともあって、メディアでも大きく取り上げられました。更に対象が求人というお金につながりやすい領域ということもあって、SEO関連のコンサルティング会社が対応サービスを続々と提供するなど、話題を集めています。

狙うのは、バーティカル検索の取り込み!?

ウェブ検索結果上に構造化データを活用したモジュールを掲出するというGoogleの取り組みは、今後も拡大していくこと考えられます。現に、Q&Aサイトを対象とした構造化データの記述方法も公開されており、これの日本での正式リリースも間近と見られます。今後も対象を特定の分野に限定した検索、つまりバーティカル検索に次々に対応していくことが見込まれます。つまり、今まではウェブ検索では探しにくかった情報が検索結果にダイレクトに表示されるということは今後も増えてくると思われます。少し前からのこうした取り組みは、ユーザーの意図に応じた最適な答えを収穫するために、GoogleがウェブマスターやSEO業者と手を携えてウェブ空間を耕しはじめたのだと、私は捉えています。

まもなく、音声検索、画像を使った検索へ

構造化データとした整えられたデータのうち、ストックしておく価値のある情報は、Googleの膨大な知識データベースであるナレッジグラフに取り込まれていくことになるはずです。ナレッジグラフに取り込まれるということは、音声検索(Google Assistant)や画像を使った検索(Google Lens)の答えとして利用されるようになるということです。今のところ、音声や画像からだけでは不十分な回答しかできていない分野であっても、構造化データによって応答が賢くなっていくことが考えられます。また、ナレッジグラフに取り込まれるには適さないような限定的な情報であっても、構造化データになっていれば、Google Assistantの拡張機能であるActions on Googleへ転用することが容易になります。今後、検索窓にクエリを入れるキーワード検索は、利用シーンに応じて、音声検索や画像を使った検索、さらにそれらを組み合わせたものへと置き換わっていきますが、構造化データの活用によって、それが加速していくことが考えられます。

最後に

私が人生で最初に検索システムにふれたのは、小学生のときに近所の図書館でふれた蔵書検索システムだったと記憶しています。その後、キーワード検索はインターネットの進展により家庭でも利用可能になり、さらにスマートフォンの普及によって場所を選ばなくなりました。ただ、将来的にはキーワード検索の利用用途は、リテラシーの高い人が複数の情報ソースを比較して選択したい場合に限られるということも起こりえます。もしかしたら、いずれキーワード検索は、長い旅の末に図書館に帰っていくことになるのかもしれません。

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