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Cyberpunk2077レビュー Nightcityでの冒険を終えて

はじめに

Cyberpunk2077は、PS4(PS5)、Xbox One、PCに対応するオープンワールドRPGで、2020年12月10日に発売されたゲームである。発売から話題となり高いセールスを上げたが、反面、コンシューマ機やミドルレンジ程度のPCでのグラフィックが劣悪なこと、多くのバグが残っていたことから批判が殺到し、PS Storeでの取り扱い停止(現在は再開)、返金対応などされたことがニュースになった。

筆者は、2021年8月現在において最高性能のグラフィックボードであるGeForce RTX3090搭載のPCを組み立てたこと、本作がSteamのサマーセールで割引されていたこと、本作がパッチ1.23になり多くのバグが解消されたと思われることから、本作を購入しプレイした。そして、昨日、レベル50(最大)、隠しを含めて全てのエンディング、1つを除き全てのサイドジョブ(サブクエスト)をクリアしたので、感想を書きたいと思う。なお、総プレイ時間は235.7時間、実績は81%である。

また、筆者は、BethesdaのFalloutシリーズやSkyrim、ゼルダBotW、本作と同時進行で原神と、オープンワールドRPGを(どれも100時間単位で)プレイしてきており、このジャンルの愛好家である。(ただし、今まで、本作の制作会社であるCD Project REDのThe Witcherシリーズをプレイした経験は無い)

スペックさえあれば美麗なグラフィック

本作は、nVidiaのGeForceが得意とするリアルタイムレイトレーシング(従来はリアルタイムでは出来なかった高度な光源処理、影などが正確に表現される)、DLSS(AIを使った高解像化処理)、HDR(従来のモニターよりも明るさの幅を広げて、逆光やネオンサイン、暗部の表現などをリアルにする)といった技術をフルに活用する独自エンジンが使われており、さながら映画のような映像体験が可能である。しかし、これを実現するためには、非常に高性能なPCが必要である。

具体的に言えば、フルHDであればRTX3070(10万円弱程度)、2.5KであればRTX3080(20万円弱程度)、4KであればRTX3090(30万円弱程度)のグラフィックボードが必要である(価格は2021年8月現在)。折からの半導体不足や、仮装通貨の価格上昇に伴うマイニングのためのグラフィックボードの需要増加により、グラフィックボードの価格が高止まりしている現状では、これは大きな欠点と言って良いと思われる。

さて、筆者は、RTX3090にHDR対応の4Kモニタを組み合わせ、本作をプレイしたので、非常に美麗なグラフィックを堪能することができた。もちろん、筆者の組み合わせは非常に高くつくものの、これより一歩下がるRTX3080に2Kモニタといった組み合わせでも十分に美麗なグラフィックで楽しむことができると思われる。

さて、実際にゲームをプレイすると、まず通行人や通行する車両が多数同時に表示されていることに驚かされる。本作の舞台はナイトシティという都市であり、都市であれば当然に、雑踏や交通渋滞というのは存在するわけだが、本作では高いスペックを前提とすることでこのような表現を可能にした。とはいえ、もちろんこの表現は完璧なものでなく、人も車も同じ場所を行ったり来たりしているだけだったりするが、雰囲気を楽しむには十分以上の複雑さを持っている。また、建物の外部も内部も、モデルやテクスチャが非常に作り込まれており、素晴らしい品質である。また、本作は企業が支配する近未来という舞台であることから、企業の看板や広告がそこら中に貼られており、しかもその多くが動画広告であることから、目を楽しませてくれるようになっている。

もしあなたが十分なスペックのPCを持っているなら、一度でもいいのでプレイしてみることをお勧めしたいレベルのグラフィックである。

よくできた「RPG」としての戦闘システム

本作の戦闘システムは、基本的にはFPSのような1人称視点での銃撃メインのシステムである。筆者はマウス・キーボードでプレイし、エイムに困ることは無かったが、本作には、きちんとエイムしなくても敵に向かって追尾弾が発射されるスマートガンという分類の武器もあり、パッドでも十分にプレイ可能だろう。しかしながら、FPSゲーマーからすると、本作の銃撃の戦闘はやや評判が悪いようだ。筆者はあまりFPSをプレイしないので何とも言えないが… FPS好きは注意して欲しい。

また、本作は「RPG」であり、レベルアップの際に肉体、反応などのスキルレベルを上げ、パークポイントを消費してパークを取ってキャラクターをビルドするという一般的なシステムが採用されている。このことから、戦闘での戦い方も、銃撃、ステルス、剣戟、クイックハック(ファンタジーでいうところの魔法に相当するハッキング)などさまざまな戦い方が行えることが特徴になっている。たとえば、真正面から銃撃で戦うだけでなく、クイックハックでライトを点滅させ、敵の注意を引いておびき寄せ、後ろから近づいて締め落とすといったプレイを行うなど、いろいろな戦い方ができるようになっている。そして、このそれぞれの戦い方のバランスがとれており、どの戦い方が常に最強といった感じがしない。この意味で、プレイヤーに対してかなり自由度が高く、楽しめる作りになっている。ただ、スナイパーライフルがやや冷遇されているように感じる部分があり、個人的には残念な部分が無くはない。とはいえ、総合的に見れば、今までさまざまなゲームで使われてきた要素をうまくまとめた、非常に良いシステムだと言えるだろう。

また、この手のオープンワールドRPGはクエスト目標があるダンジョンの攻略方法が複数用意されている、あるいは意図せずに複数の攻略ルートができてしまっていることが多い。本作も、ほとんどのダンジョンに複数の攻略ルートが設定されており、主人公のスキルなどによって選べる攻略ルートが増えたりする、たとえば、体力のスキルが一定値以上だとこじ開けられるドアなどが設定されている。しかし、本作のダンジョンのデザインは、これらの複数ルート選択が、単なるショートカットというよりも、プレイの幅のような形になっており、奥の深いデザインがされていると言えるだろう。

多数のサイドジョブ(サブクエスト)


本作は、非常に広大なマップに、多数のサイドジョブ(サブクエスト)が配置されている。良くできたダンジョン攻略のようなものから、しょうもないお使いクエストまで、様々である。この手のゲームのサブクエストの例にもれず、投げっぱなしジャーマン、消化不良な話も多いが、よくできた話もあり、全体的に見ればそれなりの品質だと思われる。しかし、本作を特徴づけるものがあるとすれば、やはり、それは最初に触れた「多数の」という部分である。とにかく、サイドジョブが滅茶苦茶多いというのは、プレイしていてやりがいがあり、筆者は高い評価を与えたいと思う。

あと、投げっぱなしジャーマン、消化不良な話は、DLCなどでケリをつけてほしいとは思う。

システムの不備とバグ

大きなバグは大分解消されたが、クエストの進行での微妙な不備、クエストアイテムが外れない、落ちているアイテムが微妙に他オブジェクトにめり込んでいるのか拾えない、車が無くなった、服屋が初回訪問時のみ販売するアイテムがあるなど、ビミョーにストレスになるバグや仕様がまだまだ多数ある。

システムの問題点としては、自動車の運転の操作性が異常に悪く、過去のアップデートでも改善されているが、それでも大概クソであり、ともすると人をひき殺してしまい、お尋ね者になって警官隊に銃殺されるハメになる。その上、自動車の運転が重要なサイドジョブもあり、ストレスで筆者の寿命がマッハである。パッドを使えばややマシになるが、それでも微妙なのは変わらない。なお、バイクのほうが操作性がかなりマシなので、プレイヤーはなるべくバイクを使うと良いだろう。筆者は、アポロ SCORPIONというバイクばかり使っていた。

また、アイテムにロックが無く、誤ってアイコニック(ユニーク)武器を分解してしまうといったことが珍しくない。

その他に、これは不備というよりも仕様なのだろうが、レベルキャップになる前にレジェンダリーアイテムなどを拾ってしまうと、最強にすることができなくなるといった問題もある。

共感できない準主人公、ジョニー

これは完全に好みの問題になってしまうが、本作の準主人公であるジョニー・シルヴァーハンドに全く共感が出来ず、はっきり言えば我儘で文句ばかり言うクソガキのような男であるため、ムカつくことこの上ない。もちろんジョニーは原作であるCyberpunk2.0.2.0からの重要キャラであり、意図してそういうふうに描かれているとは思うが、にしてもゲンナリさせてくれることが多く、個人的にはスッキリしない部分である。また、現時点では、全てのエンディングが、やや後味が悪く、引っかかる部分はある。DLCで救いがあるような話が出ても良いかもしれないが、今のままでも良いかもしれない。これは、どちらがいいか、一概には言いにくい。

総評

このように、いろいろと書いてきたが、総じていえばかなり楽しいゲームであり、非常にお勧め度は高い。反面、やはりスペックの問題があることから、ややハードルが高いと思われるし、気になる部分も無くはない。とはいえ、かなり良く出来ているゲームであるので、今後のDLCなど期待して待ちたいと思う。

いつもありがとうございます!