のちのファースト・レディ、ナンシー・レーガンがニューヨークで誕生しました。父親は自動車販売員のケネス・シーモア・ロビンス、母親は女優のエディス・ラケットでした。結婚後両親はすぐに別居し、また母親も女優業で忙しかったので,ナンシーはメリーランド州で母方の叔父と叔母によって6年間育てられました。

1928年、ナンシーが6歳のときに両親は正式に離婚、翌1929年、母親のエディスは神経医師のロイヤル・エドワード・デイビスと再婚したため、ナンシー・デイビスと名前が変わりました。ナンシーと義理の父親は良好な関係で、ナンシーも抵抗なくパパと呼んでいたようです。のちナンシーはマサチューセッツのスミス・カレッジで演劇を専攻し、卒業後に舞台と映画でデビュー。

1951年に俳優のロナルド・レーガンと出会い翌年結婚、2人の子供をもうけました。のちロナルドがカリフォルニア州知事、そして米国大統領となることで、ナンシーはファーストレディを務めることとなりました。控えめなファッションが当時多くの女性に真似され、多くの米国人に愛されました。

1981年にレーガン大統領の殺人未遂事件が起こると、ナンシーは占星術に傾倒し、ホワイトハウスのスケジュールにも影響を及ぼしたことが知られています。このレーガン夫妻は極めて親密な関係でした。ロナルドはナンシーを「ママ」と呼び,ナンシーはロナルドを「ロニー」と呼びました。二人をよく知る俳優のチャールトン・ヘストンは、この二人の関係を「米国大統領史最大の恋愛」と呼びました。

ナンシーは晩年アルツハイマー病に苦しむ夫を最後まで支えました。2004年6月5日に亡くなったロナルド・レーガン元大統領の葬儀は1週間に渡って執り行われ、最終日の6月11日ナンシーが星条旗を棺にかけ、棺へのキスでロナルドを見送りました。この感動的な様子は多くの米国人の胸を打ち、長く記憶されることとなりました。Youtubeの動画で観ることができます。

またナンシーと娘のパティとは感情的な対立があることで有名でしたが、この父の葬儀に臨み和解したと言われています。ナンシーはロナルドの死から12年後の2016年に没。享年は94歳でした。

ロナルド・レーガン大統領が妻ナンシーに送ったラブレターが年代別に整理され出版されています。日本語には未翻訳ですが、英語版がKindleで読めます。