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【百年ニュース】1920(大正9)10月28日(木) 中村雄次郎宮内大臣が原敬首相を訪問。原は皇太子裕仁親王の渡欧に際し,洋食のテーブルマナー教育のほか,しきりに身体を動かす等の動作を矯正する必要あると語る。貞明皇后は引き続き皇太子渡欧に反対だが,徐々に姿勢が軟化。皇后への説得は年明けまで続く。

「皇太子殿下御洋行の件は如何なりしやと問いたるに、中村宮相はいまだ皇后陛下の御許容ありたりという次第にあらざるも、西園寺公奏上の節、結局政事上必要とあれば、政事上のことは干渉せざるつもりなりとの仰せにつき、山縣公はその政事上に御容喙なきことにつき御礼を奏上したる様なわけなれば、まずその辺のところにて昨今経過の状況なりと物語れり。

また余よりついでのことと思い、皇太子殿下の御態度、例えば頻りにお身体を動かせらるる様のことは、誰か近侍の人より申し上げて御矯正相成りたきものなり、また洋食の召し上がり方も実は御存知なきように拝見せり、これも誰か篤と申し上ぐるよう致したきものなり、殊に御洋行とあればその辺り御大切のことと思うと言いたるに、御洋食のことなどは中村気づかざりし様子にて大体余と同感なり。しかれども果たして御注意申し上げたるや否やもとより不明なり。なにぶん皇太子殿下の御教育今日の様にては将来のため心配の次第なり」

原奎一郎編『原敬日記 第五巻 首相時代』福村出版,1981,306頁(1920/10/28条)

原敬4

皇太子裕仁親王3

貞明皇后

中村雄次郎


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