波乱の人生〜転〜

予定通り、ワーホリ男子が暮らす川崎のアパートへ引っ越した。
片付ける程の荷物も無い状態で、すぐに社員研修が連日続いた。

転職先の仕事はIT系サポートセンター。PCは自宅にあったが初心者だった。
研修ではPC本体が分解されている状態から、工具を渡され組み立てる所から始まった。

ハードディスクって何?メモリってなにするところ?この線はどこにつながってるの?
机上研修では、新規フォルダを作る所から。フォルダって何?と
私の頭の上に吹き出しが出ている様だと、後ろの席の同期から笑われた。
でも、みんな優しかった。研修が私のペースに合わせて亀の様な進み具合でも、休み時間、同期たちは私の質問に色々と答えてくれた。

同期は全員男子だった。男子は優しい。また男子の優しさに救われた。

2ヶ月の研修を経て、いよいよ配属先の部署へ入った。
前職もサポートセンター的な仕事だったので、知識さえあればどうにかなる職場だった。
しかし、内容が違えど困るのはクレーマー対応だ。

その部署で一際目立っていた彼は、上司からクレーム処理を任される程一目置かれる存在だった。

彼の近くに座る事があると、彼のクレーム処理のトーク内容を聞き耳を立てて自分の物とすべく聞いていた。
そんな健気な私が彼の様には対応出来ないと分かるまで、少し時間がかかった。

部署に配属されてから、研修をしてくれていた部署の方達から飲みに誘われた。
何も分からない私を育ててくれた感謝の気持ちを伝えたかったし、何より研修担当者の皆さんが懐かしい気持ちで、二つ返事で快諾した。

オサレなイタリンレストランが予約されていて、オープンテラスの様になった会場は、北海道から出てきたばかりの私には異国の様に映った。

2ヶ月しか経っていないのに既に懐かしい研修担当の方々との時間はあっと言う間に過ぎていった。
そこには私の同期と、一つ前に研修を終えた新人さんも一緒だった。

一つ前の新人さんもやはり男子だった。帰りの電車では、ワインを飲み過ぎて立っていられない私を支えてくれたり、道に不慣れな私を心配して、乗り換えの途中まで送ってくれる優しい男子たちだった。

ある日、お昼休憩の時間になり席を立った私を呼び止める声がした。
クレーム処理の達人男子だった。休憩時間が同じだから一緒にランチしようと誘われたので、断る理由もない私は快諾した。

その頃から、私が座るブースを覗く様な視線を感じる様になった。
通行する人たちが私を見ていく。鈍感な私でも気付くくらいの視線があった。
私は日々の業務に精一杯だったので、その視線や周囲の雰囲気まで気を回している余裕はなかった。

ある日、クレーム処理男子からデートに誘われた。
ワーホリ男子の存在は、すでに何度かランチの時に話していたのでその気はないと思っていた。
デートの日。迎えにきた彼の車まで行くと、おもむろに車の後部座席から赤い薔薇の花束を出して私に手渡した。

心の声(えぇ、、、!めっちゃ恥ずいんですどぉ〜(;´д`)みんな見ているし〜、、、)
口から出た声「、、、わぁ〜!ありがとう(^ ^)」

そうして彼はあの手この手で私を口説いてきた。
札幌には無い予約しないと入れないハンバーガーレストランとか、年中クリスマスの店内の可愛らしいお店とか。もちろんディズニーランドも連れていってくれた。素直に楽しかった!

ワーホリ男子との関係は、時同じくして(またかよ)すれ違いが増えていた。
ワーホリ男子も新しい就職先で仕事を覚えるのに必死だったのだ。
帰宅してからも、休日も構ってもらえない私は、もてなし上手なクレーム男子を心の拠り所にしていった。

クレーム男子&ワーホリ男子とどうなるのか?!

波乱の人生〜大転回〜へつづく!

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