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宇宙ホラー3【統合失調症 小説】

episode04(03)
石、蜘蛛の巣、赤いテープそれが私にかけられた結界だった。石、蜘蛛の巣、赤いテープ、石、蜘蛛の巣、赤いテープその中に私は閉じ込められてしまった。それを超えるとなっちゃんが死ぬそう声がした。私が死ねなかったからなっちゃんが死ぬ。それが声の言い分だった。私は彷徨った。家に帰りたかったがその結界を超えられない。道行く人は私を不思議そうに眺めながら過ぎ去っていく。誰か助けて!そう思ったがこの状況を上手く説明できない。日が急に暮れていく。家の方角の横断歩道を渡りたかったがなかなか青になってくれない、しかも車がビュンビュン通ってて渡れない。こっちに行くしかない。家とは違う方角に向かって歩いていく。

川の音がした。下水の匂い。臭い!でもこの道を行くしかない。石を投げる音。お前のせいだ!お前が死ななかったからだ!という声がした。

私はとうとう動けなくなってしまった。なっちゃん、なっちゃんは生きているよね。

episode05(00)
2020年10月
全ての始まり
よしえの預金通帳に0が7つ並んだ。総資産100万円。よしえは浮かれていた。このお金を何に使おうか考えていた。そんな時、あるものの存在を知った。そうそれは、ビットコイン。snsにビットコイン高騰のニュースが流れる。私も買って見ようかな?そう思いたち、こうちゃんに相談する。こうちゃんが100万買おう!そう言った。じゃあ私もと口座を開設して100万ほどビットコインを購入した。


episode06
私は誰かとすれ違った。なっちゃんだった。なっちゃんの目はキラキラで私をじっと見つめていた。良かった良かったそう思った。しかし私は何故かその目をじっと見つめることができなかった。巻き込んでしまってごめんそう思った。結界を破ってしまった私、なっちゃんの命がかかっていたのに、喉の乾きに耐えられず動き出してしまった情けないおねぇちゃん。ごめんそう思いながらサッと通り過ぎて2階に上がる。私は眠りにつきたかった。しかし眠らせて貰えなかった。立て!と呼ばれる私。カーテンに鬼のように怒ったこうちゃんが映った。出てこい!そう声がした。軽トラの音がした。出ていきたかった。抱きつきたかった。だけど、この姿じゃ会えない。こんな情けない私じゃ。そう思った。それに‥こうちゃんに言えないことをしちゃったし‥。
お線香の匂い。死んで下さい。と声がする。私は気がおかしくなって喚いてしまった。死ななきゃ死ななきゃ!そんな私を止める両親。私はまたもや病院に連れて行かれてしまった。

入院しましょうそう言われた。
入院生活は辛かった。閉鎖された空間。携帯は自由に使えないから、外の状況が全く分からない。
私の情報源は声だけだった。声に振り回される毎日。ここから出て、本当のことが知りたい。でも私の言ってることは先生に理解されない。私は声が聞こえなくなったと嘘をついて、精神科を脱出する。

episode0x
20xx年
よしえはおばあさんになっていた。だけどその風貌は年の割に綺麗で、豪華だった。単純なことだった。ビットコインが高騰して、よしえは大金持ちになっていたのだ。こうちゃんと仲良く暮らすよしえ、しかし、ビットコインという存在さえ知らなかった人々は、お金に苦しんでいた。物価の高騰により住めなくなった家々。管理できなくなった建物。破産した人々。自殺や保険金目的の交通事故死が多発していた。その世界はまるでよしえが昔彷徨いこんだあの世界に見えた。

優雅に暮らす人々は目立っていた。
あのよしえがなんで!

episode07
2022年10月
よしえは病院を退院した。実に4ヶ月の入院生活だった。
よしえはビットコインを売った。
それが正解だと思ったからだ。
ビットコインは高騰する可能性があるが、私は持っていることが危険だと感じた。皆に嫉妬されて、命を狙われる危険性があったからだ。今後ビットコインは高騰するだろう。だけど私はこれを持っていたらいけないそう思った。

よしえは平凡だった。いや平凡というより少し出来が悪かった。だけど家族や友人に愛されていた。愛とお金両方を手に入れたよしえは嫉妬の的だった。

なんでよしえがというのが周りの人間の意見だった。

貧乏でいい。貧乏の方がいい。そう思った。

あなたは未来が見えますか?私に未来は見えません。私の未来がどんなふうになるのかは分からないし、どのように決まるのかも分からない。ただ未来の自分が平凡でいいから、幸せだったらいいなそんなふうに思っています。私が見たような未来にならないことだけを願っています。


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