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Randy E. Barnett: "Contracts"を読了

Randy E. Barnett: "Contracts"を読了。本文部分で247ページ、17日間で読んだので、1日15ページ弱のペースでした。そもそも契約法とは何かを、著名な判例を通して整理、解説していくスタイル。歴史的・理論的記述も厚く、日本の法律のテキストでは見たことのないスタイルで、めっちゃ面白かった。

「厚い」記述とはいえ、洋書で250ページ程度というのは、英語圏の書籍にすれば破格に少ない分量ですが・・。

契約の歴史、損害の算定方法、合意とは、強制の根拠、履行・違反の種類、抗弁(虚偽?表示、錯誤、詐欺・強迫、無能力、契約の基礎となる事情の変更等)と、基礎的な内容ばかりでしたが、実際、契約の有効性が争われるケースで何がどのように問題となり、どう解決されるか、一見類似したケースでなぜ判断が分かれるのかがかなり明確にイメージできるようになりました。裁判で契約の有効・無効を判断することで、何を達成しようとしているのかが一貫して意識されているので、どの記述も大きな幹から派生したものとして捉えられ、記憶の負担も少なかったです。

「取引の安全」といったマジックワードが使われていないのも嬉しかった。それでいて、「取引」が隅々まで意識されているのも興味深かったです。

日本語で同じような教科書を書けば、~説が紹介されていない! 等々で非難轟々やろな。でも、一段抽象度を挙げてでも、著者なりに妥当な結論を導けるだけの「法」観念を構築して伝えてもらえる方が、僕にとっては遥かに有り難いんやけどなあとも思う。

一昨年法律の勉強を初めて以来、これから日本の法律を勉強する以上、絶対洋書には手を出すまいと決めていたのですが、気が変わりました。論文過去問の検討と並行して、英語の教科書も読んで行こうと思います。

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