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マリマのクローズを決めた3つの理由

2018年11月30日、マリマをクローズしました。
テストオープンの期間等6月半ばから始めてはいましたが、正式にローンチした8月1日から4ヶ月間の運営が幕を閉じました。

使いづらい点は多々あったと思いますが、何度も繰り返し使ってくださったユーザーの方々や、インスタグラムでマリマを紹介してくださった方々に心より御礼申し上げます。

目次
クローズ理由について
 ⑴ マーケットサイズ
 ⑵ システム
 ⑶ ビジョン
クローズを決めてから
今後

今日はなぜマリマをクローズすることを決めたのか書きたいと思います。


クローズ理由は大きく3点

クローズすることを決めた理由は大きく下記の3点です。

・スモールビジネスになってしまったこと
・システムを外注していたこと
・ビジョンが弱くなってしまったこと

順番にお話していきます。

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⑴ スモールビジネスになってしまったこと

 ひとつめの理由は、マリケット(結婚式を自分でつくりあげるためのクラウドソーシングサービスのようなサービス)を立ち上げられる見込みがなくなったことにより、マリマが小さくなってしまったことです。

 いきなりですが、マリマの数字について少しお話しすると、4ヶ月の運営期間でサービスを訪れてくれたユニークユーザーは1万人強。PV数で見ると15万数千。基本的に広告は打たずに、主にインスタグラムを活用したSNS運用と、サービス内容である「お譲り」「幸せバトン」に関するSEOを強くすることでサービス利用者を増やしていきました。

 CtoCのマーケットプレイスという形をとっており、商品が売買される際の仲介手数料は9%。雑に言うと、ここからクレジットカード決済の手数料を差し引いた金額が利益になります。1売買あたりの利益は平均すると約120円くらいでした。
 メルカリやラクマといった大手フリマサービスは、サービス開始後に関しては手数料を取らずに運営していたかと思いますが、私たちはサービス開始直後から手数料は取ることにしました。
 これは、ターゲットユーザが花嫁ということもあり、メルカリ等のように何年間も繰り返し使っていくようなサービス形態ではないためです。

 広告を打つなどの施策を行うことで、マリマのユーザー数を伸ばし、売上を伸ばしていく戦略も考えられましたが、それには如何せんパイが小さ過ぎる。
 日本国内における1年間の婚姻組数は約60万組。
そこから結婚式などのセレモニーを行うカップルは約6割くらいなので36万組くらい。ターゲットは結婚式前後の花嫁様なので長期間サービスを使っていただけるわけではない。
 この市場だけ見ると費用をかけて広告を打って、回収していくとなると、規模感が小さすぎると言えます。

 もともとマリマは、マリケットの中の一機能という位置付けでした。結婚式をトータルで見たときに、「お譲り品」はDIYの時間節約にも、金銭的な節約にもなると考えたためです。
 したがって、マリケットという結婚式本体を扱うサービスのクローズを先に決めてしまったことで、どうしても実現できるサービスの規模が非常に小さなものになってしまっていたのでした。

これがクローズを決めたひとつ目の要因です。

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⑵ システムを外注していたこと

 次にシステム面に関してですが、マリマは残念な部分が多かったことも事実です。
 サービス開始当初、私にエンジニアリングのスキルや知識が全くなかったので、「シェアリングエコノミービジネスを始めたい人向けに基盤を貸してくれるサービス」を利用することを決めました。
サービス自体に本格的に投資するかどうかの判断を得るための参考にもなるし、何より時間の節約になるためです。

 しかし、これは自分の見通しが甘かった部分のひとつでもあります。
日本においてシェアリングサービスはまだまだ浸透していないにせよ、数年前ならまだしも現在は、フリマサービスに関してはメルカリやラクマの努力の甲斐あってかなり浸透しています。

 したがって、ユーザーがフリマサービスに求めるUI、UXのレベル水準は非常に高い。
具体的には、より少ないボタンタップ数で、すごく簡単に取引ができることが当たり前になっているということです。
 それに比べ、私たちのマリマはシンプルさが極めて劣っていました。CtoCのマーケットプレイスなので、まずは出品者としてモノを売ることができるように登録してもらう必要があるのですが、出品者登録が非常に面倒な手順が必要であったため、登録しようとしたのに登録を完了できなかった人の割合が驚くことに4割を超えています。

 当然サービスを作り変えることは検討していたのですが、利用していた会社のシステムはあくまで基盤を借りてカスタマイズして使っている状況だったので、一顧客である私たちの「マリマ」だけ仕組みを変えてもらうことは実質的に不可能でした。
 さらに、マリマのページ自体の動きも重く、ページが開くまでに時間がかかり離脱者が多く出てしまうのも痛いポイントのひとつでした。

 つまり、マリマを今後ギアを上げて改善していくためにはサービスをイチから作り直す必要があり、そのために、エンジニアを見つけること、またはエンジニアを雇うお金を捻出するべく出資を受けるところまで進むことができなかったということです。

 プログラミングに関しては、サービスローンチ当初から必要性を強く感じており、個人的に勉強を進めていました。
オリジナルのマリマはもう見れないのですが、どういうサービスだったか気になる方はこちらから、私が構築したマリマのサンプルサイトをご覧ください。

http://marriket.sakura.ne.jp/marrima/ 

 (Github →   https://github.com/yossypon/marrima

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⑶ ビジョンが弱くなってしまったこと

 サービス規模に危機感を感じ、システムをどうしようかと悩みながらも、インスタグラム上でマリマをリコメンドしてくれるような方も出てきて、サービスは少しづつユーザを増やしつつ運営を続けていました。
 しかし、10月末の時点でやはり11月末まででマリマをクローズしようと決心します。

 最終的に決め手となったのは、ビジョンが弱まってしまったことでした。

 マリマは「幸せバトンを文化に」と謳っていましたが、マリケットを始めた当初から周りに言い続けていたのは、何年間もアップデートされていない日本の結婚式業界に風穴を開ける、みんな自由な結婚式ができるように業界を良くすることでした。

 結婚式に係るモノは花嫁さま達にとっては本当に大切な思い入れのあるもので、その「お譲り」つまりバトンタッチは大きな意義のある重要な行為です。これを広めて、文化にしていくことに価値はあります。
 メルカリ等大きなフリマサービスで簡単にモノの売買はできるけど、それでは寂しい、味気ないと感じる人はいます。そのような人たちのための場所でした。

 ただ、ビジネスとしてやる以上しっかりと利益の出る形を構築することは必須です。
 ある程度サービスとしての形が見えてきていた私たちにとって、利益を出すために短期的に考えられることはふたつでした。
ひとつは広告を打つ等の施策を通じてユーザーを大幅に増やすこと。
もうひとつは、マリマに広告を載せてくださるスポンサー様を見つけて、プラットフォームにとにかく人を呼び込んで、広告収益を上げるビジネスモデルに変えることでした。(もちろん他の方法もありますがここでは割愛します)

 しかしながら、マリマ上に広告を出してくださるスポンサーについて考え始めたときに、胸の中に大きな疑問が湧きました。
もともと私たちのビジョンは、大雑把に言えば「既存の結婚式産業を変えること」です。
 しかし、広告主になり得る企業は、従来の結婚式業界のプレイヤーが主となります。矛盾してしまうのです。

 つまりビジョンを曲げてマリマを赤字の出ない状況に持ち込むか、純粋に花嫁さまのためのフリマサービスを展開するかという選択をしなければならなくなりました。実際は、マリマの運営権を数名でシェアし、数名で負担を軽くしつつ、数名のアイデアでマリマを成長させていくという案もあったのですが、このままでは小粒のサービスのままで終始するだろうなという気持ちが頭から離れませんでした。
 小粒のサービス運営がやりたいんじゃないと感じたこと、お客様が長期間で見た際にリピーターになることはなく、小さいマーケットに特化したサービスを運営し続けることにモチベーションが維持できなくなってきたこともまた事実です。

 そして、大きなビジョンを描けないと悟った私は、10月末にサービスのクローズを決意しました。

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マリケット初期の頃に書いていた文章(懐かしい…)


クローズを決めてから

 クローズを決めてからは、マリマユーザーに最後まで嫌な思いをする人が出ないようにケアをしつつクローズ発表、最後の運営を行っていきました。最後の「幸せバトン」が完了した際は、「これで終わりか…」と切なくなったなあ…

5月〜11月の半年間で「マリケット」「マリマ」とふたつのサービスをローンチし、クローズさせた経験は、間違いなくスピーディーな成長機会だったと感じます。起業家がイベント等で話していた言葉の意味も分かるようになったし、本で読んだ内容を実践してみる機会も多くありました。PDCAを回すって使い古された言葉ですが、やってみるのはなかなかハードだったり。


これから

 ウェディング事業は撤退することにしましたが、ここで得られた経験を活かすことで、次は成功率が上がると思います。
やりたいことはまだまだ沢山ある。
起業家がよく言う「成功したければ打席に立ち続けることだ」というのは、まさしくその通りなんだろうと実感。
しかし、打席に立ち続けるのは言うほど易くはないということも実感。



最後に、クローズしてしまいましたが、僕と奥さんが結婚式の準備をしているときに「あったらよかったな」と思えるサービスを作ることはできたと思います。
数ヶ月と短い期間だったけれども実際にサービスを通じて喜んでくれた人がいたことに関しては誇りです。
また挑戦します!

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