脊髄損傷患者の歩行予後2

脊髄損傷患者の歩行予後2

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/42/3/42_KJ00009989976/_pdf

素晴らしい論文で感動します。

こちらの論文は87名の不全脊髄損傷患者のデータから予後予測をしています。

何が、歩行予後に与える影響が強いかを調べ、そこから歩行可否の式まで導き出してくれています。

こちらの式を使用すれば、屋内歩行の自立が87.4%の正解率で、屋外歩行の自立が84.2%の正解率で判断できるとしています。

しかも、優れているのは急性期での判定ではなく、回復期転院時での評価て予測がつくということです。

回復期としては非常に助かります。

屋内歩行自立
・ASIA impairment scale(AIS)
・寝返り介助量
・FIM認知合計点数
・walking index for spinal cord injury Ⅱ(WISCI Ⅱ)
を使用します。

それぞれの評価法を知っていれば判断可能かと思われます。

AIS
https://www.pmda.go.jp/files/000221655.pdf
A=完全:S4~S5の知覚・運動ともに完全麻痺
B=不全:S4~S5を含む神経学的レベルより下位に知覚機能のみ残存
C=不全:神経学的レベルより下位に運動機能は残存しているが、主要筋群の半分以上が筋力3未満
D=不全:神経学的レベルより下位に運動機能は残存しており,主要筋群の少なくとも半分以上が筋力3以上
E=正常:運動'知覚ともに正常

寝返り
全介助:1、一部介助:2、口頭指示:3、自立:4

WISCI Ⅱ
http://www.spinalcordcenter.org/research/wisci_wisci_ii_nature_metricproperties_use_misuse.pdf
0:立ち上がることができない、もしくは介助歩行ができない。
1 :装具を用いて平行棒内で2人介助で歩行可能だが、10 m未満。
2:装具を用いて平行棒内で2人介助で10m歩行可能。
3:装具を用いて平行棒内で1人介助で10m歩行可能。
4:装具なしで平行棒内で1人介助にて10m歩行可能。
5:装具なしにて平行棒内で10m歩行可能。
6:装具、歩行器を用いて1人介助にて10m歩行可能。 7:装具、2本杖を用いて1人介助にて10m歩行可能。
8:装具なしにて歩行器を用いて1人介助にて10m歩行可能。
9:装具、歩行器を用いるのみで10m歩行可能。
10:装具、1本杖を用いて1人介助にて10m歩行可能。
11:2本杖を用いて1人介助にて10m歩行可能。
12:装具、2本杖のみで10m歩行可能。
13:歩行器のみで10m歩行可能。
14:1本杖を用いて1人介助にて10m歩行可能。
15:1本杖と装具のみで10m歩行可能。
16:2本杖のみで10m歩行可能。
17:1人介助のみで10m歩行可能。
18:装具のみで10m歩行可能。
19:1本杖のみで10m歩行可能。
20:フリーハンドにて10m歩行可能。
(和訳は変ですが勘弁して下さい。)


屋外歩行は
・受傷年齢
・立位介助量
を用います。

立位
全介助:1、一部介助:2、監視:3、自立:4

これを論文に載っている式に入力するだけで高い確率で室内歩行可能か、屋外歩行可能か、どちらも不可かの判断がつけられます。

素晴らしいですね。

脊髄損傷患者さんを見る際は必ず使用してほしいと思います。

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