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一般質問を振り返る#04 〜①子育て支援②庁内のデジタル化〜

令和5年3月定例会

 当選初年度、最後の定例会となりました。ここまでの1年あっという間でした。
 さて、議員になったら訴えたかったことの1つが高校生の通学費支援です。鉄道のない過疎地で高校生が学校に通うのは結構大変で、家庭の負担も相当なものです。この是正をしたい、若い時から思っていました。
 また、庁内のデジタル化ということで、市役所でのキャッシュレス導入やリモート会議などの事務効率化について市の見解を問いました。

①高校生の通学費支援について

 これは、ありそうでないんです。いや、今まではなかったんです(後述)
 南房総市では、子ども医療費補助の拡充も安房地域でいち早く決めるなど、子育て支援施策の導入は意欲的なほうだと思います。地域の将来を担う子供たちの健やかな成長を支えることは、保護者だけでなく行政・政治として重要であることは言うまでもありません。

 しかし、義務教育課程の児童生徒にはスクールバス等でフォローしている一方で、安房地域の高校生の通学、とりわけ人口減少に伴い公共交通網が縮減している当市においては、合併以前にもまして不便な状況となっている地区もあります。このことは、以前より顕在化している問題であるはずです。
 さらにここ近年は台風被害、コロナ禍、そして物価高です。家計の可処分所得は社会保障費負担の増大もあり30年前より少ないかもしれない。さらに交通費負担の重さから、学校まで送迎されているご家庭もかなりある。そんな背景から質問しました。  

  • 高校生も公共交通を使わなくなる状況ではその維持も厳しいことになる。

  • 高齢者や移動困難者の外出支援やタクシー助成などはしている一方で、運転免許を持たない高校生も一種の交通弱者であり、本来的に公共交通のメインユーザーであるのにこれまで支援がない。

  • 経済的負担も大きい、学校まで送迎する家庭もかなりある。

  • 市ではどのように認識しているか。

市長答弁は以下の通りです。

 当市の市域や安房管内の高校の学区が広いこと、また、公共交通の空白地域や乗り継ぎが不便である地域が存在することなどから、高校への通学に相当の移動距離を伴う生徒がいることは認識している。
 通学の際に公共交通を利用する場合は、定期代が年間10万円を超えることもあり、昨今の物価高騰等経済状況から考えても、通学費が家庭にとって大きな負担となっていることが想像される。また、経済的負担を減らすため、送迎をされている家庭にとっては、家族の負担も大きいことが考えられる。
また、公共交通を取り巻く環境が年々厳しくなっており、公共交通の維持、存続のためには、高校生の通学にも利用できるような取り組みが必要であると考えている。
 ご質問の、高校生の通学費支援については、これらの課題と、市域全体における高校生の通学の現状などを踏まえながら検討を始めているところであります。引き続き、どのような方法が効果的な支援となるか、総合的な観点から検討を行っていく。

会議録より抜粋

以上のように、市も課題認識は共有できていると感じました。しかし、過去の会議録を調べても、高校生の通学費支援をテーマにしたものはほぼ見受けられなかったので、白浜地区のケースを一つの実態として説明しました。

  • 安房白浜駅から館山駅まで片道バス代540円、現在は610円かかる。

  • 通学定期は3カ月約58,000円、千倉駅までなら約53,000円。

  • ちなみに、鴨川から館山駅までのJR運賃は片道594円、3カ月通学定期は22,960円で、相当な格差がある。

  • 30年近く前と現在では社会情勢はかなり違う。国内経済は低成長とデフレ、社会保障費負担の増加などで世帯の可処分所得は当時より少ないのではないか。

  • 何よりバスの便数も少ない。保護者が送迎するケースがほとんど。

  • 高校生の通学が保護者により補完されている状況が、白浜では常態化している。

  • 加えて、送迎のために館山市街や学校の近くで就労される方もあり、地域の労働力の流出にもつながっている。

  • このような状況があるのだから、まずはそういった地区の子達に支援を実施しても良いのではないか。以上について、どう受け止めているのか。

 白浜地区は鉄道がないため、通学においてはバスを利用することになり、定期代も高いことは認識しております。
 しかし、通学費支援は、市域全体を見渡したうえで、効果的な支援を検討する必要があると考えております。

会議録より抜粋

 市では公共交通の維持のため、バス事業者へ補助金を支出しています。市内各路線への補助を合わせると、年間でその額なんと約4,000万円です。もしその補助を出さなければ、事業者は路線撤退する可能性があるかと問いました。総務部長の答弁は、「おそらく路線維持が出来ないということで、廃止手続きに入るだろう」とのことでした。

 半島性の一番ツライ部分が如実に表れているなと改めて感じます。今後、白浜地区のみならず公共交通空白地が拡大するほど市内各地で似たようなことが発生する可能性が高まります。通学費支援については検討を始めたところということなので今後に期待しますが、地域全体で課題を共有する機運の醸成を求めてこの質問を終わりました。

そして。。。なんと!

※※ 令和5年秋より、高校生の通学費支援制度が開始されました! ※※

 私自身のSNSでも発表当時、このように紹介させて頂きました。本当に嬉しい、自分が高校生だったとき、当時の町が実施してくれたらどんなに良かったか。30年越しで思いが実り、議員になってよかったと感じました。

6/20、本年第2回定例会が全ての日程を終え閉会となりました。今回の定例会では子育て支援関連の補正予算も上程、可決されました。画期的な制度も出来ましたのでお知らせします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1)高校生の通学費支援...

Posted by 小川 伸二 on Friday, June 23, 2023


②庁内のデジタル化について

 市役所の窓口で、各種証明書や住民票などの手数料を現金でお支払いされているかと思います。世の中キャッシュレス化がどんどん進んでいるのですから、市役所も対応することは何ら問題であるとは思いません。選択肢が増えることは良いことです。もちろん、提供側の事務負担は導入時は相応にあるのですが、テクノロジーの活用により提供者側も利用者側も便益を得られるわけで、現代社会とはそういうものかと思います。

 勘違いしてはいけないのは、デジタル化は物事を効率化し便利にするための手段であり、目的ではありません。デジタル化すればあらゆる課題が解決するわけではありません。ですが、手間がかかる、求める答えに正解がある(人によって結果がかわるものでない)ことに効果を発揮することが多いです。行政も民間もその点は同じです。今回の質問では以下のような質問と答弁となりました。

  • 市民の利便性向上のため窓口支払いのキャッシュレス化を求めたい。現在、窓口支払いの扱い件数はどのくらいか。

市民生活部長 
 住民票や印鑑証明などで年間約3万6,000件、金額は約1,620万円ほど。

会議録より抜粋
  • 一件あたり約448円の扱いになる。小銭の枚数も多く必要となり、キャッシュレス化の効果は高そうに思うが今後どのような検討をする予定か。

総務部長 
 専門家を含めた各窓口担当課による検討会を開催し、市民ニーズと運用コストに重点を置き、窓口キャッシュレス決済の導入を検討していく。

会議録より抜粋
  • 当市は各地域センターや各課が分散している。拠点間のデジタル化や本庁に出向かずとも相談できる体制など検討できないか。

総務部長 
 今後は、市民が地域センター等に来ることなく、自宅等から相談受付ができる体制の検討を行っていく。

会議録より抜粋

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 最も申し上げたいのは、社会の動きに合わせて、行政も変わるべきところはしっかり対応してほしいということです。誰でもそうでしょうが、自分が住んでいるまちが世間から遅れている、さびれていると感じるのはとても寂しいことです。特に若い世代は夢にあふれていますから、そういうところは敏感に感じています。また、市外から来られる方が持つ印象にも影響があると思います。今後も市民生活がより豊かに便利になる市政を求めて行きたいと思っています。

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この質問の動画はこちらです。

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本定例会の議会だよりは以下の通りです。

議会だより 

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