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JFFCのエントリー費値上げについて---「見るスポーツ」から「やるスポーツ」へ。脱スポンサー依存の意識改革

こんにちは、横田陽介です。

毎年JFFCを主宰して、今年で五回目の開催。先ほど、オフィシャルでリリースも出ました。

JFFC 2019が4月下旬に予選、決勝の2days開催決定!


お陰さまで名実ともに日本で一番の大会として皆さんに愛されていることを犇々と感じ、より一層の責任感を持ちながらも、毎年楽しんで企画・運営しています。


さて、今回も紆余曲折ありつつも無事に日程が決まり、エントリーが始まります。しかし、今年のエントリー費は1万円と設定させて頂き、去年の2倍となり多くの出場者はビックリしたのではないかと思います。

これにはいくつかの理由があるので、疑問に思う方、反感を持つ方も是非最後まで読んで頂ければと思います。

初めにJFFC視点での理由を述べて、次にもっと大局を見たこれからのフリースタイルフットボールシーンの問題点を述べます。

①JFFC視点からの理由

1.予選を省略したい

まず、そもそもJFFCは過去4回で一度も黒字になっていません。かかる費用は列挙するまでもなく、色んなところにお金がかかりますが、入ってくるお金は基本的に選手のエントリー費と応援してくれるスポンサーからの協賛費の2つだけです。

毎年、沢山の方々の協力を仰ぎつつ、その中でやり繰りしながら開催しています。

特に去年は赤字がたくさん出ました。その理由は、出場者数の増加(第一回は50人ほど→去年は約100人)から、予選を2回開催したので、その分の会場代やジャッジ、MC、DJ、スタッフなどの人件費が理由です。

「出場者が増えれば増えるほど、赤字が出る」っておかしな話ですよね。

そこで、エントリー費を一万円と出場に対するハードルを上げることで、この大会に本当に出たい気持ちのある出場者にだけ出てもらい、もう一度、予選を一回だけに減らしました。


2.選手のクオリティ保障

本当に出たい出場者だけが出るということは、いわゆる「記念受験」的なものが減るということです。

必然、予選からバチバチとした勝負が増えて、選手としても経験になるし観てる側も楽しめる試合が増えると思います。

その結果、大会の価値が上がることを狙っています。


3.ちなみに。。。

ここまで読んでくれてる人はわかると思いますが、一応書いておきます。私利私欲のためではありません。

去年 5000円×100人=50万円

でも、一万円になると参加者が半分くらいになるのではないかなと予想しているので。

10000円×50人=50万円

元々、トントンで終われば成功だと思ってるので、横田陽介が一番儲かる方法は大会をやらずにその分の時間、アルバイトでもすることだったりするわけです。笑

②フリースタイルフットボールシーンの過去未来

実はJFFCの初回から「10年以内にエントリー費を1万円にする!それでも出たい大会にする!」という目標はありました。結局、5年目の今回で1万円にしたわけですが、そもそも何故この目標を立てたのかという話を書きたいと思います。

「見るスポーツ」から「やるスポーツ」へ

今までのフリースタイルフットボールの歴史は、企業のコマーシャルとして大きく取り上げられて育ってきました。2000年初めにはNIKEがフリースタイルフットボールという名前をつけて有名サッカー選手を多数起用しての大々的なプロモーションを世界中で行い、2008年からはRed Bullが初の大規模な世界大会を行いSean Garnierや日本では徳田耕太郎といったスターを作り出しました。

つまり、最初はCMやイベントなどで限られた人のみが持つスーパーテクニックを「見るスポーツ」だったのが、こういった企業のプロモーションの過程で実際にチャレンジする愛好家やいわゆるフリースタイラーという人たちも急激に増え、コミュニティができて、練習会やスクール、大会が開かれるようになりました。つまり実際に「やるスポーツ」としての側面が育ってきたんですね。

そして、私を含めてフリースタイラーの多くはもっと「やるスポーツ」としてこのコミュニティを発展させたい、楽しみたいと思っているわけです。

脱スポンサー依存のための意識改革

こういった背景もあり、私たちのシーンには同程度の競技人口を持つ他のスポーツに比べると恵まれすぎているくらい応援してくれる企業やスポンサーがたくさんあります。

2008年から開催されているRed Bull主催のRed Bull Street Styleは、日本予選は無料エントリーで参加者はお金を払うことなくエキサイティングな体験を享受できるものでした。他にも、昨年行われたDAZN FREESTYLE FOOTBALL MASTERSでは世界中から選手が日本に招待され、観戦もほぼ会場に払うドリンク代だけです。

そんな優しすぎるお祭りが幾度も行われてきたフリースタイルフットボールシーン、一見すると素晴らしいのですが、苦労しているのはこういった大きなスポンサーがなくシーンを発展しようと大会を作っている人たちです。

毎年行われていたアジア大会ですが2017年は中止。

参照→AFFCが開催中止に。その裏側にある“大会運営の実態”とは?

世界最大の参加者数を誇るSuper Ballも金銭難による中止がまことしやかに噂されることも多いです。

それでも、選手たちからはもっとたくさんの大会が必要、大会にたくさん出たいといった声はよく聞きます。

現在のフリースタイルフットボールシーンの現状は、

開催者はお金がなくて困っているのに対して、選手たちは大会に出たいけど主催はしたくないし、何をして良いかわからない。

こうやって整理すると、簡単に解決する問題だと思うのです。

お金を払ってでも参加したいという選手を増やす。そのために開催者は、選手がお金を払ってでも参加したいと思う大会を作れば良い。

なので今回のJFFCのエントリー費値上げは、自分たちのシーンは自分たちで支えるという意識をもう一度考えてみよう、という私なりの投げ石だと思って頂ければよいなと思います。

意識改革で中小規模の大会も増えるはず

SuperBallやアジア大会ですら苦労しているのだから、スポンサーメリットが薄くて獲得しにくい中小規模の大会はもっと大変です。

最低でも、会場・音響・ジャッジ・DJやMCなどの費用をエントリー費で賄わなければなりません。

例えば初年度のJFFC(全国大会)が3000円で、草大会なのでその半分の1500円とすると、30人の選手が集まったとしても45,000円。正直、安い会場すら借りる事ができません。

そんな状況でも熱意のある開催者は、工夫したり、お願いしたり、時には赤字を抱えながらもありとあらゆる手を使って今まで開催してくれていると思います。本当にすごい。

でも、今年からJFFCが1万円にすることで、草大会もなんとなく5000円でも「そんなもんかな」といった意識にみんながなるとします。すると、30人の選手が集まれば15万円。なんとか開催が現実的に見えてきました。

もちろん、工夫してやり繰りすることもオーガナイザーの手腕ではあると思いますが、そこの労力がなくなることで、大会の告知や演出、賞金を出したり、スポンサー獲得へ力を入れることもできて、結果的に大会のクオリティはあがるし、シーン全体が活性化するはずです。

主催者は本来の努力を

前述したように、現状の大会主催者たちの多くはお金のやり繰りやスポンサー探しに疲弊しています。

でも主催者が本来するべき努力は、出場者や観客の数を増やしたり満足度を上げることではないでしょうか。その結果として、興味を持ったスポンサーが応援してくれて更にシーンの活性化がブーストされるというのが理想だと思います。

とはいえ、1万円

ここからはJFFC実行委員長や日本連盟代表の立場とは関係ない、個人的な意見を書かせてもらいます。

他のスポーツに比べても全国大会の出場費用が1万円というのはこれでもまだ安いと個人的には思っています。

自分が毎日何時間も練習している情熱に、1万円を賭けることは容易いと私は思います。一日か二日、バイトすればすぐ貯まります。

でも、今までの経緯もあり、地方からわざわざ来てくれる人も多いし、学生も多いので、高いと感じる人の方が多いのかなと想像しています。

特に学生にとって、1万円の重みは大きいと自分も経験しているので知っています。なので今回に限りもしも、「エントリー費を稼ぐために一日バイトする暇があれば、少しでも練習してJFFCに臨みたい!」と思っている学生やフリーターのフリースタイラーがいれば、私に個人的に連絡をしてください。

今回、告知がだいぶ遅くなってしまったこともあるので、後払いなどの特別措置も検討します。


まとめ

自分たちのシーンを自分たちで支えて、自分たちで盛り上げよう!

フリースタイルの「自由」な部分ってこういう意味もあるのかな、と思っています。

自らを由とする。

これから、フリースタイルフットボールがどれだけ楽しくなるかも自分次第、自分たち次第です。

今回の事についても、色んな人達と話したいので、賛成も反対も疑問も、全てこれからのために気軽に意見ください。

それでは、長文になりましたが全て読んで頂いてありがとうございました。

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