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掛けた労力の割に周りが喜んでくれるのが「得意なこと」:任天堂の元社長岩田さんの考え

以前の自分には誇れるものがなかった。
その結果、自分より下の人を無意識に見下していた。
そんな記事を昨日書いた。

この思考から抜け出せたのは「得意なこと」を自分で認められるようになったから。
ただ、自力でこの考え方に至ったわけではない。
「自分の得意なこと」を見つけたきっかけは任天堂の元社長の岩田聡さんの記事を読んだからだ。


自分の「得意なこと」を見つけて集中すること

岩田さんは任天堂の社長時代に「ゲーム人口の拡大」を掲げてWiiやニンテンドーDSを発売した方。
ゲームを「子どもや若者がやる遊び」から「家族誰でも楽しめるもの」に再定義してユーザーを増やし、任天堂の業績を大きく向上させた。

岩田さんが重視することの一つは「自分たちの得意なことに集中する」こと。
以下のインタビューでは自分たちの得意なことを自覚して、得意なことを活きるように組織を導くのが経営だと言っている。

「自分たちは、なにが得意なのか。
 自分たちは、なにが苦手なのか。
 それをちゃんとわかって、
 自分たちの得意なことが活きるように、
 苦手なことが表面化しないような方向へ
 組織を導くのが経営だと思います」

任天堂の岩田社長が遊びに来たので、みんなでご飯を食べながら話を聞いたのだ。

岩田さんは社長という立場で経営という観点でこの考えを述べている。
ただ、私は「自分の得意なことを自覚して、得意なことを活かす」という考え方は個人の生き方にも使える考え方だと思う。

「好き」と「得意」が同じとは限らない

私はゲーム好きだけど得意ではない

自分の得意なことを考える上で気をつけることがある。
それは「好き」と「得意」は同じとは限らないということだ。

例えば私はビデオゲームで遊ぶのが好きで、いくらでも時間を使える。
ただしゲームが上手いかというとそうでもない。

FPSだと全然弾が当たらないし、格闘ゲームでもコマンド技が出ない。
ネット対戦をしたらボコボコにされるし、チーム戦だと足手まといになる。

大好きなことでも、人より大きなアウトプットが出せるとは限らない。
私にとってのゲームのように趣味なら大きな成果を出す必要はない。

ただ、仕事選びや働き方になると話は別になる。
「好きだから」という理由で仕事を選んだとしても、そこで成果を出せなかったら結果的に自分を苦しめることになる。
だからこそ自分の「好き嫌い」と「得意不得意」は分けて考えたほうがいい。

自分が掛けた労力と周りからの評価から「得意なこと」を見つける

ではどうやって「得意なこと」を見つけるのか。
別のインタビューで岩田さんは「掛けた労力の割に人が喜んでくれるもの」を「得意なこと」と言っている。

自分の労力の割に周りの人がすごくありがたがってくれたり,喜んでくれたりすることってあるじゃないですか。要するにね,「それがその人の得意な仕事なんだ」って話で。逆に,自分的にはすごい努力して,達成感もたっぷりあるのに,周りからは「はあ?」みたいに思われることもあって。それはね,本人が好きだったとしても,実は不得意なことかもしれないんですよ。

任天堂・岩田氏をゲストに送る「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」最終回

例えば「noteを更新する」ということは自分にとっては普通に出来ること。
だけど周りからは「1000文字以上の文章を日常的に書けるなんてすごいね」と言われる。
逆に私が周りの人を見ると「飲み会などの大人数が集まる場でテンポよく話したり笑いを取れてすごいな」と思う。

noteの更新にせよ、対面での人とのコミュニケーションにせよ、本人にとっては大きな労力を割いているわけではない。
ただ、それでも他の人よりも優れているので驚かれたり褒められる。
それこそが「得意なこと」なのだ。

「得意なこと」は相対的なもので環境によって変わる

自分にしかできないこともあるし、周りの人のほうが得意なこともある

私が岩田さんの記事で最も影響を受けたこと。
それは「得意なこと」は相対的なもので、周りにどんな人がいるかによって変わるということだ。

つまり自己評価ではなく、自分の客観的な成果をもとに「得意なこと」を見つけることが重要。
自己肯定感が低く、得意なものが無いと思っていた私にとって、「客観的に成果を見る」という指標を手に入れられたのは大きかった。
お陰で自分の得意なものを見つけられるようになった。

例えば前職では自分以外でPythonを使える人はいなかった。
そのため、研究開発の現場が効率化、便利になるプログラムを作ると周りから非常に喜ばれた。
「Pythonを扱える」ということは当時の職場における私の「得意なこと」だったのだ。
(ちなみにプログラムを書くことは私にとって「好きなこと」でもあった)

ただ、転職後は世の中のDXブームもあって職場にはPythonを使える人はたくさんいた。
しかも彼ら彼女らは若く、新しい技術をどんどん取り入れていた。

そのため「Pythonを扱える」ことは私の得意なことではなくなった。
その代わり前職で研究開発の現場経験を積んだことが活きて、「現場の人たちと話が出来ること」が私の「得意なこと」になった。

つまり「得意なこと」は自分の周りにどんな人が居て、どんなことが求められているのかで変わる。
それに気づくきっかけになったのが岩田さんの考え方だった。

岩田さんはロジカルかつ人間味のあふれる方で、私は様々な面で影響を受けている。
今後も参考になった考え方を紹介していきたい。

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