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メンバーシップの方針について、気持ちが180度変わった理由

※5月12日追記:方針変更に伴い、全文公開しました。

昨日、ドキドキしながらメンバーシップ「中村洋太の自由研究」の開始を宣言しました。ありがたいことに、早速多くの方々にご参加いただけました。

これからメンバーシップ内でいろんな発信をしていくつもりなので、「ただ中村さんの投稿が読みたいだけ」という方こそ、参加していただきたいです。「メディア兼コミュニティ」という表現をしましたが、主目的はあくまでメディアです。「別に交流はそこまで求めていない」という方も大歓迎ですので、ご安心ください。仲間と交流したい方も、傍観したい方も、どちらの立場の方も自由に楽しんでほしいです。

そしてここからが今日の本題です。ぼくはしばらく、「一般(無料)読者の方は途中まで読めて、メンバーシップ参加者の方は最後まで読める」という投稿の仕方をしてみようと思っています。もちろん、「この記事は最初から全体公開にしよう」など使い分けることもあるかと思いますが、基本的な方針は、メンバーシップ会員向けの投稿に専念していくつもりです。

実はこの方針は、つい数日前までは、自分で「そんなのはありえない」と思っていたことでした。ぼくがこれまでnoteのメンバーシップにさほど惹かれなかったのは、「読者を限定したくなかった」からです。ブログを書き始めた大学3年生の頃からずっと、ひとりでも多くの方に読んでもらいたい、と願って文章を書いてきました。自分が書くものは、きっと高校生や大学生にとってもヒントになるはず。だから有料で書くことはしたくなかった。ライティングに関する記事などで、一部有料noteは出しているものの、基本的にはずっと無料で書いてきました。

少しずつnoteのフォロワーも増えていったので、今は何を書いても、基本的に800〜1000ビューはいきます。それが最低ラインで、拡散されたりすれば、2000だったり、5000だったり、10000以上だったりします。

確かにメンバーシップの、「読者の方々から少しずつ支援してもらえる仕組み」は理想的。だけど、もし50人しか参加者がいなかったら、(もちろん50人も参加してくれることについてはありがたいものの、)「せっかく一生懸命書いても、50人にしか読まれないのか」とガッカリしてしまう気がするのです。

いくらお金に換わるとはいえ、それなら無料で公開して、1000人に読まれる方がいい、と考えるのがこれまでのぼくでした。

しかし、なぜか、この考えが180度変わったんです。不思議ですね。今日はその経緯を説明をします。

noteさんと面談して、メンバーシップを勧められたのは、つい3日前の話です。そのときは、メンバーシップに前向きにはなったものの、こう考えていました。

noteの投稿は、基本的にはこれまで通り無料で出す。そしてメンバーシップ向けには、通常記事には書き切れなかったこぼれ話とか、何かの制作過程の話とか、ファン向けの投稿とか、要するに「ぼくにとってはそこまで重要度が高くなく、そこまで負担にもならない文章だけど、ファンの方にはまずまず面白がってもらえそうなコンテンツ」を書くつもりでいました。さらけ出すとメチャクチャ失礼なこと言っていますね。

でもnoteさんからも言われたんです。「設定した価格に対して、そこまで負担に感じない内容にすることが続けるうえで大切です」と。それは、おっしゃる通りですよね。「月500円なのに、なんでこんなに頑張ってるんだろう・・・」と負担に感じ始めたら、やめたくなってきますから。

そもそもが「中村洋太応援団」みたいな役割なのだから、そのような方針でも許されるだろう、と。実際、月500円のメンバーシップなら「掲示板での交流」くらいが一般的な相場、みたいにnoteの説明には書かれていたので、参加者からしても決して損はしないはずです。

しかし、じゃあ改めてメンバーシップ向けに何を出すかと考えると、これが難しいのですよ。なぜかというと、ぼくが0か100かの人間だからです。一般向けにはこういう投稿をして、メンバーシップ向けにはこういう投稿をしよう、と意識を切り分けるのが非常に苦手です。常に、誰が読んでも面白いと思ってもらえそうな文章を書きたいのです。「ほどほどの内容」なんて気持ちで書く方が、逆に難しいんです。書き始めると、質にこだわっちゃう。

だから、メンバーシップを始めるうえで最大の障壁だった「コンテンツの棲み分け」について考えれば考えるほど、イライラしてきました。

そういうふうに悩んでいるとき、「そうだ、他のクリエイターの方々のページを覗いて、メンバーシップや定期購読マガジンでどんなコンテンツを出しているのか参考にしてみよう」と思って、いろんな人のnoteを見にいったんです。

ちょうどnoteさんが面談のあと、参考になるリンクをいくつか送ってくださっていました。

で、これらのページに、参考になるクリエイターの方々がたくさんいました。

なかでもぼくにとって、とくに刺さった記事がありました。

スポーツライターである竹中玲央奈さんのインタビュー記事です。彼がサッカーについての「定期購読マガジン」を始めるに至った経緯が書かれているのですが、ものすごく面白いです。

とりわけ刺さった部分を引用します。

もともと自分がnoteやSNSでサッカーの発信をはじめた背景として、TwitterをはじめとしたSNSが流行したことで、いわゆるメディア企業や媒体に対して個人が戦えるフィールドが整ったことが挙げられます。「一個人として、特にサッカーでスポーツメディアと同じ土俵に立てるのではないか」と考えるようになり、それを実践してみようと思ったんです。

リアルな話をすると、スポーツライターが媒体の原稿料だけで生きていくのはそれなりに大変です。

スポーツの情報発信をするにはお金がかかります。現場に行って素材を集めようとしたらなおさらです。特にサッカーの場合はわりと辺鄙なところにグラウンドがありますし、若い年代の試合を見に行こうとするとさらに遠い。移動をするためにはお金と物理的な時間がかかってきます。

じゃあそこで得られる原稿料がどうかというと、そんなに高くはありません。しかも雑誌やWeb媒体が不調になってきて原稿料がさらに下がってくると、たぶん、取材のための遠征費が捻出できないという負のサイクルに陥ってしまいます。

ただ、それがいまはnoteで記事を書いたり、YouTubeで発信したり、読者の方に直接情報を届けることで、だんだんとサッカーの専門媒体で書くよりも多くの収入を得られるようになってきました。

自分しか持っていない情報があることをファンの方々に示すことができれば、個人のスポーツライターでも自分のメディアで活動していける。それを確信したのがここ2,3年で、これは大きな手応えでした。

自分のオリジナルの媒体で発信しつづけることが自身の価値を高め、そのまま信頼の蓄積となります。ましてや収益的にも良いとなると、今後はフリーのライターは自分のメディアを持つのが当たり前になっていくのでは。

もちろん専門媒体などに書くことも信用度を高めるという点で大事だと思います。特に最初にキャリアを作るためには必須です。ただ、あるていど個人の媒体のパワーを持つと変わってくるかな、と。

「今後はフリーのライターは自分のメディアを持つのが当たり前になっていくのでは」

いや、本当にそうだ、と思いました。それが実現できれば、メディアの原稿料に頼る働き方から脱却できます。

これまでぼくは、noteを自分のメディアとして育ててきました。でも、このままではいつまで経っても収益化につながらない。それがずっと悩みでした。

だけど無料で書いてきた分、たくさんの方に読んでいただけて、信頼は積み重なっていった。ありがたいことに読者も増えてきたし、「ファンです」と言ってくださる方も現れ始めた。Xのフォロワーも先日1万人も超えたタイミング。そんな今こそ、思い切って舵を切るべきではないか、という気持ちが、この竹中さんの記事を読んだときに湧いてきたのです。

コンテンツの棲み分けが苦手なのだから、もうすべて全力で書いて、すべてメンバーシップ向けの記事にしてしまえばいい。もちろん、最初に書いたように、50人にしか読まれなかったら悲しい。でも、こういう発想はどうか。

全力で書けば、50人のうち、きっとほとんどの方は満足してくれるはずだ。そしたら、「中村さんのメンバーシップは月500円なのにお得だよ」と誰かが宣伝してくれるかもしれない。そして口コミによって、新しい参加者が、ひとり、またひとりと増えていけば、時間はかかるかもしれないけど、いずれは100人、500人、1000人とファンが集まるかもしれない。そうなったら、ぼくはその収益で食べていけるようになるし、多くの方に読んでもらえて悲しみも減る。

高校生や大学生だって、もし本当に読みたければ、月500円くらいなら出してくれるでしょう。

そしておそらく、本当にそれだけのファンが集まった頃には、書籍化の道も開けるのではないか。そしたら仮に「メンバーシップに入るのはハードルが高い」という方でも、一冊の本なら買ってくれるのではないでしょうか(メンバーシップに参加するにはnoteに登録しなきゃいけないし、世間には意外と「noteって何?」という方もまだまだ多いから、月500円とはいえ、きっとハードルの高さを感じる人も少なくないと思うのです)。

今これを書きながら、自分の無意識下で起きていた心境の変化を言語化することができ、スッキリしました。

つまりこういうわけで、ぼくはメンバーシップ向けの投稿に全力を尽くし、通常の読者に対しては、

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というふうにしたいのです。「無料部分だけ読んでも十分価値がある」というのが理想です。だけど続きが気になった方々が、ひとり、またひとりとメンバーシップに参加してくれることを夢見て、発信を続けていきます。

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