席を譲ってくれたひとびと

2016年12月に第一子を出産するまでに、席を譲ってくれた人びとの日々の記録まとめです。 pplog にその都度記録して流れていったものの、ほとんど手を入れない転載、各タイトルもそのまんま(日付はpplog投稿日です)。

なんだか怖い話ばかり聞くけど、親切にされることのほうが多いだろ、多いよ。と思って記録をつけはじめたのでした。1の怖いことがあったら、100の親切があっても印象は恐怖に塗り替えられてしまう。それくらい悪意は怖くて強い。でもそんなものに支配されるのはまったくもって癪だ。親切の方を忘れないぞ、という試みでした。ちなみに結局怖いことはなんにもなかった。

「愛は負けても親切は勝つ」ってヴォネガットも言ってる。

Wed 27 Jul 2016 電車で席を

譲られることばかりだし、

親切にされたり、気遣われたことしかないと言うと

「運がいいんだね」と言われるのだけども、

そうではなくて、

1000の善意を

1の悪意の恐怖が

黒く染め替えてしまうということなのだと思う。


Tue 09 Aug 2016 昨日電車で席を譲ってくれた女の子

席に座ってるとき、一生懸命ノートに(何も見ずに)身体の動きの型のようなものの図解と解説を書いていて、あれは扇を持った図だったので舞をされているのでしょうか。

わたしに気づくと慌てて荷物をまとめて、「気付かなくてすみません」とすいと席を立って譲ってくれました。

何やら和柄の布に包まれた、それほど長くはない棒状のものを背負っている背筋もすっきり伸びていて、とても佇まいがうつくしかった。

ああいうの、あこがれます。


Tue 09 Aug 2016 今日席を譲ってくれた人

かっこいいニューバランスの、渋い色の光沢のある素材のスニーカーを履いてた。

背が高くてしゅっとしてて、清潔感のある角刈りで、ショルダータイプのパソコンバックから厚くて判型が大きくて使い込まれた専門書が飛び出していました。

「あっ、どぞどぞ」

とさりげなく席を立ってくれて、その後は一度もこちらを振り返られませんでした。

さわやか!


Wed 24 Aug 2016 昨日場所を譲ってくれたひと

昨日は混んでる電車内で、小柄な黒服のお嬢さんがドア脇角っこの場所を譲ってくれました。

わたし妊婦とはいえ「週刊 少女野崎くん(8)」を熟読中だったのに...。

妊婦であるというだけでゆずってくれるやさしさよ。

その平等の心に打たれた帰り道でした。


Thu 25 Aug 2016 今日の譲ってくれた人びと

朝の電車で、まず背の高めの白シャツパンツスーツの身綺麗なお姉さんが、アイコンタクトと「どうぞ」の一言ともに席を立ってくれた...が、

そのお姉さんとわたしの間にいたおじさまが気づかずその席に着席。

お姉さんとわたしはなんとなく照れ笑いを交わすことに。

するとそのお姉さん(のちにおじさま)の隣に座ってたちょいロリ入った小柄な二人連れの片方が、「あーどうぞ!」と朗らかに席を譲ってくれました。

その子、座ったままで済まながるの連れの子に「xxちゃんはわたしよりちっちゃいからいいんだよー」とか言っててなごむ。

しかしおじさまもそんな顛末が隣で行われたおかげで自分の勘違いに気づいたのかソワソワしてて気の毒であった、ごめんな...。

あと、小諸そばで店員のおばさまが、「重いもの力入らないでしょ〜」とそばを席まで持ってきてくれました。そばくらい持てるけどありがとね。


Tue 30 Aug 2016 昨日席を譲ってくれた人

茶色に染めた髪にパーマを当てた、紺地に個性的な柄のワンピースのお嬢さんだった。

なんか柄が、占星術っぽい...中央の円から外側の円へ、放射線状に区切られた各区画にクラシカルなタッチで何かが...何かが描かれていたんだけどチーズ? チーズかパンにしか見えず...

席の前でしばらく立っていたら、「あー気づきませんで、どうぞ!」と朗らかに譲ってもらったんですが、彼女とわたしの位置が入れ替わることで、視界を彼女のワンピースの柄が占めることになって、もうあと一歩で「それなんの柄ですか」って聞くところだった。

でも本人もなんの柄か意識せずに着てる場合もあるよね。

ちなみにわたしは立ってた時「ニュクスの角灯(ランタン)」(2) を熟読していた。

どうも席を譲る人はとくに妊婦がなんの本を読んでるかは気にしないみたいだ。


Sun 25 Sep 2016 昨日電車で席を譲ってくれた人

背の高い白ポロシャツのおじさま。

声に出さずジェスチャータイプの譲り方だったんだけど、なんとなく「なにやってるんだ早く座んなさい!ほら早く!」みたいな、しばらく気付かなかった自分へとも主張しなかったわたしへともつかぬいきどおりと焦りが伝わる表情と仕草で面白かった。


Mon 26 Sep 2016 今日の電車の席を譲ってくれた人

髭にちょい長髪めのおにーさん。

ひょっと横を向いてわたしに気づいて軽くどうぞーって譲ってくれました。

カラフルで生地がオリエンタルな織地のいいハーフパンツを穿いてらした。

二駅先で彼女さん? ご妻君? が乗ってらして、二人でらぶらぶされてた。

信頼感のある雰囲気ですごく良かったですね...。

いいのう若い者は。


Thu 29 Sep 2016 昨日席を譲ってくれた人

白シャツで背が高めの黒縁メガネのお兄さん。

だったのだが一瞬でわりと遠くまで行かれてしまって詳しい風体は分からず。

実直そうな物言いで譲ってくれた印象、あります。

あとイベントに行ったら、同行者が事前に主催者側に知らせてくれてたおかげで

「関係者席」なる一段高い座敷席を用意してもらっていて、

じつに恐縮の極みでした...。

ちなみにわたしが延々と「席を譲ってくれた人」の記録をしたためているのは、

とにかく迫害を受けると言われがちなこの期間において

自分が社会にどう扱われたかを、記憶を歪めずに、

あるいは一の不快な記憶で十の善意を忘れないように、

どちらも公平に記そうと思ってのことである。

が、今のところ何にもこわいことないよ。

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今朝はビルの清掃のおばさまに

「あらいいもの抱えてるわね〜いつ?」

という明るい声掛けをされて、声の掛け方も色々あるのぅと感心しました。

記録が主目的ではあるのだけど、単に社会というものが「どう接するのか」に興味があるだけかもしれない。


Tue 04 Oct 2016 今日の電車の席を譲ってくれた人

小柄ではつらつとした、ラフなTシャツが清潔感のある女性でした。

パッと立ってぱっと譲ってくれた。

譲ってくれたので(わりとしんどいし)お受けしたのだけれど、

杖をついているご老人が微妙なとおさの距離にいて

再譲りするべきかどうかかなり、かなり迷いました...。

移動のほうが難しそうな距離であったので座ったままにしていたけれど、

正解だったかどうか今も分からない。


Tue 04 Oct 2016 帰り: 今日の席を譲ってくれたひと

席を譲る時、たいてい人は勢いがいい。

多分照れくささや、譲る儀式の間に第三者が座ってしまう危機感などがそうさせるのだろう。

たいていパッと席を立ち、やや早口で席を譲りたい旨を伝え、周囲の視線を避けるようにやや離れて立つ。

しかし、今回は違った。

ピンクのネクタイが上品でかわいらしい。グレーのスラックスにストライプのワイシャツ、その上に着心地の良さそうなパーカー。黒ぶちメガネ。

体型は、背は高くはなく、ややぽっちゃりしている。

まずわたしに気づいた気配があり、ゆっくりと荷物を準備し、落ち着いて席を立ち、丁寧に目を見て「どうぞ」と譲ってくれる。

立つ位置も近い(ので、服装を細かく見ることができる)。

かなりの席譲り巧者とみた。

わたしもあんな感じの譲り方がしたいぞ。

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しかもわたしが電車降りる時、目を合わせて会釈を交わさせてくれた!

お礼の気持ちは降りるタイミングでも伝えたいから、あれは素晴らしい加点です。微笑みとまではいかない柔和な表情も芸術点を上げてきますね。


Fri 21 Oct 2016 今日の席を譲ってくれた人

電車ではなかったです。inカレー屋さん。

体が重たいしバランス変なので、背の高いスツールっぽい椅子が厳しい現状です。でも人気の(美味しい)カレー屋さんで10分待ちで入ってその窓際の高い椅子しか空いてなかったら、まあ「大丈夫ですよー」って言います。

そしたら、低い椅子に座ってたお客さん、体格がっちりめの中背の男性が、「こちらの方がいいでしょう。代わりますよ」と譲ってくれたのでした。

あと夜も、今日は笹田さん夕飯いらないので一人で軽く済まそうと丸亀製麺行ったら、お店のおばさまが席までお盆運んでくれるし広い席案内してくれるしお盆そのままでいいですよーって言ってくれました。

優しい人ばかりだよ、というのは錯覚かもしれないけど、優しい人はたくさんいるよ。


Wed 26 Oct 2016 昨日席を譲ってくれた人

In電車。

スマートで紺のスーツに落ち着いた赤のネクタイ。

しばらく携帯見てて気づかれなかったんだけど、顔を上げて「あっ」って空気を飲んだままやおら立ち上がり、視線と頷きで譲ってくれました。そのままそそくさとやや離れた位置へパターン。

もうすこしじっくりお礼を言わせてくれても...いいのよ...


Mon 07 Nov 2016 今朝席を譲ってくれたひと

上品なオフホワイトのパンツスーツの、ショートカットですらりとした女性。中学生くらいの娘さん連れ。

すっと立ち上がり、つり革を掴んでいたわたしの肘をソフトにタップして、うなずきつつ席を譲ってくれました。素敵。


Tue 08 Nov 2016 今朝席を譲ってくれたひと

黒いコートに、すてきな金の輪のピアスをした小柄なおばさま。麻っぽい?ズボンに黒いショートブーツ、髪も染めてて全体的におしゃれ。

どうぞ、とささやいて次の駅で降りられました。ここちよいそよ風のような譲席でありました。


Fri 25 Nov 2016 今日の席を譲ってくれたひと

ダウンジャケットの小柄なおばさま。活動的なジーンズとスニーカーがかっこいいですね。

手まねきでやや離れたわたしを呼び寄せ&ささやくように「座りなさい」、そして自分は遠くには行かずに立ってタブレット操作。

なんとなく全般的にキリッとしていてかっこよろしゅうございました。

あっ、あとマスクされてたんだけど、目だけでめっちゃ微笑まれているのがわかる! すてき!

こちらの降りぎわに席の再譲渡をして(これができるから近くに立ってもらえると嬉しい)さらに微笑まれ、惚れましたね。惚れました。



おしまい

12月の記録がないのは、もう家からほとんど出歩かなかったからです。公共交通機関とか乗る状況ではなかった。

書き落としたこともあると思います。ここに書いていない親切もたくさん受けました。おかげさまで今、家にはちいさな人類がバンザイポーズで熟睡しています。ほんとに人類かな天使じゃないのかな。

今いる場所はこういうところだよ、大丈夫だよ。

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やきとりい

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コメント3件

pplogにて見逃してしまったポエムもあったので、まとめて読むことができて嬉しいです!
気持ちがほっこりします〜(\( ˘ω˘)/)
感謝の言葉は、何かの事情で伝えられなくてもストレスにはあまりなりませんが、不満は口に出さなきゃストレスになるから、どんどん不満ばかりが目立ってきてしまいますよね。あえてこういう小さな素敵なできごとを残しておくことは、大切なことだなと、再確認しました。ありがとうございました。
数年前の妊婦時代に席を譲って頂いた方々の、やさしさの空気感がよみがえってきました。素敵な記事ありがとうございます!
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