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夢で観た映画が忘れられない話

今noteでは「#映画感想文」なる企画が開催されているのですが、私の話す感想は実在しないものへの文なので応募できません。残念。

幾年か過ごしてきたものの、映画館に行くことはあまりない人生です。
完全な未知を封鎖された空間で見るのに抵抗感があるのかと言われるとそんなことはない。むしろ映画館の雰囲気は大好きです。
何らかの理由だとかも特になく、足を積極的に運ばないのに好きな場所、それが私にとっての映画館。

そのため、普段観ないジャンルだとかに手を付けることもないのですが。
ある日、夢が丸々一本映画だったときがありました。
現実の私ならば映画館へ足を運ばなそうな雰囲気で、上映館数も少なそうな感じ。
それでも目が覚めて、これを忘れるまいと爆速で筆を手に取りました。それにはいくつか理由があります。

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推し(アイドルマスターSideM 古論クリス)が主演だった。

全体的にモノトーンな雰囲気で、燃え上がるような盛り上がりやドンパチもなく、会話が綴られて終わる短い映画。
その作品において、明らかに非日常ななりをしているのに、当然のごとく日常へ溶け込んでいて、近所のおやっさんと麻雀をやってる悪魔。
それを古論クリスさんが演じられていました。

とにかく衝撃を受けました。
クリスさんが主演だったのもそうですが、もう一つ忘れるまいとメモした理由があります。

すごくツボな映画だった。

二次元キャラクターが主演とはいえ、ドラマ系の映画を観ることなんて全然なく、ましてや落ち着いた雰囲気で淡々と描かれ、激しくドラマティックな展開があるわけでもない。
それなのに夢の中の映画は、脚本演技舞台台詞回し何もかもが胸に響いて堪らなかった。
これがもし劇場で観れていたならば、きっと何回も通っていたに違いないし、人生で一番好きな映画を聞かれたらこれを答えていました。

起きてからすごく後悔したことがあります。
それは起きてすぐ、登場人物や街の固有名詞をど忘れしたことです。
ストーリー展開もキャラクターの話したことも覚えてるのに、クリスさんが演じていたキャラの名前は横文字だったことしか覚えてない……

更にもう一つ悔しいことが、この映画が存在しないことだ……
夢の中にある映画館でしか上映していないなんて、あまりに館数が少ない上に上映期間も短すぎる。
紹介することすらろくにできないのです。ソースが自分の頭にしかないから。

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彼は私の記憶から生成されたくせに、私の記憶から離れようとしていく。
夢の中のキャラクターは現実世界よりも遥かに儚く刹那的な存在だと感じます。

また会いたい、また観たいと願っても会えるかどうか、映画館に向かってみなきゃわからない。
しかもその映画館は毎日上映内容が異なり、そもそも映画でないことが大半を占めている。
そんな中生まれた奇跡の産物を、私は忘れたくないのでした。

好きな映画を聞かれて「夢の中でしか上映してないんだけど……」と答えるのはあまりにハードルが高すぎるので、真の好みは密かに胸中へ秘めておくことにします。終わり

映画のストーリー(最初らへんだけ)

数年前、尽く災難が続き、人生のどん底にいた主人公。あてもなくぼんやりと彷徨い歩いていると、前からひとりの男が歩いてきた。
その男は明らかに異質だった。背に生えた黒の羽。絹のような長髪に単眼鏡。フロスティホワイトの燕尾服には焦げ茶のベルトが巻き付いている。
だが下を向いていた主人公は、彼の姿をはっきりと見ない。
すれ違いざま、男はポンと主人公の肩を叩いて、一言だけ告げる。
「まあ、生きていれば良いこともありますよ」

それからというもの、主人公の生活は一変した。
徐々に家計の余裕が生まれ、趣味ができ、友人も増え、恋人もでき、結婚までして、子供も生まれたのだ。
主人公は思う。あの日肩をたたいてくれた彼のおかげに違いないと。
そこで彼を探すために、昔彷徨い歩いた果てに辿り着いた街へ改めて向かうことにした。彼に会って、例を言うために。

しかし尋ねていると、どうも様子がおかしい。
知っている、という人もちらほらいるのだが、大抵が「え?昔あいつがそんなことしたの?できそうだけどさあ」という反応なのだ。
もしかしてこの街にはもういないかもしれない、とも思えてきて、主人公は不安に思いつつも、煙草屋の店員へ話しかける。
すると店員は店裏のスペースへ案内してくれた。

「だーっ負けた!お前イカサマしたろ!」
「していません〜。あなたの実力です〜」
「くっそー!!」

突っ伏した男を笑い、豪快に麻雀卓で足を組んでいる彼は、呆気にとられている主人公に気がついて片手を上げた。

「あ、お久しぶりで〜す」

主人公は店員の言葉を思い出す。

『そんなことしたの?あいつ悪魔だぞ?』


このあとは礼いわれて卓囲んだり、街を散歩したり、実は街の平穏を守ってるのは悪魔なんだけども面倒くさいから言ってないことが判明したりしました(悪魔なのか?)
最終的にこの街は変わらないですよまた是非来てくださいねと手を振られて、その手に主人公の財布が握られてて、謝礼ってことで〜と笑われて終わる感じでした
運命操作できる快楽主義者な悪魔役が古論クリスさん。普段と変わらない敬語なのですが、役柄がフレンドリーで底が読めない感じなので演技が全然違ってすごかったです

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