読書感想文: Lean UX

この記事は


オライリーから出ているLean UXという本が、デザインとアジャイルな開発組織の融合という課題の解決のための内容でとてもためになったので、感想文を書きました。
https://www.oreilly.co.jp/books/9784873118055/

個人的な理解

・UXデザインは、ユーザーの本質を理解するための方法をたくさん集めた魔導の書
・スクラムは、開発チームが一体となって働くための、コラボレーションの規律

UXデザインとスクラムが目指す世界は近いものの、UXデザインではユーザーのことを調べるためかかる時間が規定されていなかったり規律が緩い(ユーザーの真意が分かるのが最も大事)のに比べて、スクラムは開発チームを正しくコラボレーションさせるため時間についての規定やチーム規律があり、無策で混在させてチームを運用することは結構難しい。そのなかでスクラムチームがアジャイルにUXデザインを進めるための(万能の解決策は無いものの)TipsをまとめたものがLean UXという印象を受けた。

特にありがちと思われる「開発チームはスクラムでガンガン良い感じに開発してるんだけど、デザインは外部組織が作った計画書通り」という状態をLean UXは厳しく批判しており、そういう状態はスクラムチームとして健全な状態ではないとマインドセットしている。

第1部: まえがき


・デザインの中間成果物、すぐに開発に至らない分厚い仕様書やプレゼンテーションは不要
・なぜならその分厚い仕様を実現させようと構想する間に、アジャイルでどんどん不備が見つかるから
・その仕様/デザインはフェーズ2にやろう、といって着手された例はほとんどない。

良いこと書いてるなと思ったこと抜粋

・チームワークを重視し、ユニコーン、エバンジェリストやヒーローは不要
・分析よりも形にする
・中間生成物中心の仕事の進め方から脱却する
・チームが最終的な成果をホワイトボードで定義したら、即座にデザイナーはデザインの詳細を作り始め、フロントエンドエンジニアはページの作成にとりかかり、QAは評価シナリオをかきはじめられる、みたいな状態を目指す

第2部: 具体的なやり方

成果を創出する
これまでのUXデザイン的な価値発見フェーズ/要件定義フェーズはやめて、一番はじめに最終的な成果を定義しようという提案がされている。特にアンチパターンとして「機能に落とし込まれた要件定義や中間生成物」を作るのはやめようと言っている。なぜかというと、その要件がビジネス上じゅうぶんな価値を生み出すかどうかは答えを予測することが困難で、その前段階から知識を共有しておいて、戦略的な価値が生み出されるまでチームで何回もチャレンジする方が良いから。

1. 課題ステートメント(課題の声明)を作成する
・簡単にいうと、プロダクトの課題を洗い出すための手法。以下の2種類が用意されている
・既存のプロダクトやサービス向け
・新規のプロダクトやサービス向け

2. 課題に対する仮説を構築する
・先に仮説をたてる
・その次にその仮説が証明されるには [定性的なフィードバック] [定量的なフィードバック] [主要業績指標の変化] にどういう変化が現れるかを定める
・旧来のUXデザインでは、そもそも仮説をたてるまえに重厚な予備調査が必要だったので、そこが異なる

3. プロトペルソナ
・超短時間でペルソナをつくる(旧来のUXデザインではあり得ないと思った)
・それをもとに何が間違っていたか、正しかったかを反映して随時ペルソナをアップデートしていく
・そのペルソナが何を欲しているかを皆で考える

4. 仮説の優先順位付けをする

デザイン
とにかく皆でデザインを生み出し、デザイナーはそのファシリテーターとなる。

1. デザインスタジオ
2. デザインシステム
・スタイルガイドや、パターンライブラリを作って、毎回ゼロからデザインすることを避ける手法

MVPとプロトタイプ
MVPやプロトタイプを作るのも、考えられうる限り最小の工数で生み出し、フィードバックを得ようという提案がされている。また何を学ぼうとしているのかを明確にしないといけない。

・ニュースレターを発行するか検討しているが、価値があるかわからないので、とりあえあずニュースレターの登録フォームだけ用意する
・新しいプロダクトを作る前に、とりあえずランディングページだけ作る
・新機能っぽいボタンだけ作って、ダミーページに飛ばし、ユーザーがどの程度その新機能を欲しているか探る
・Amazon Echoのプロトタイプでは、人間が応答していた
▼ プロトタイプの種類
・ペーパープロトタイプ
・オンスクリーンモックアップ
・コーデッド・プロトタイプとライブデータ・プロトタイプ

プロトタイプには必ず同僚へのデモが必要。

フィードバックとリサーチ
・継続的なコラボレーティブリサーチ
・専門的なリサーチャーに外注するのではなく、チーム全体で継続的にUXリサーチを行う
・チームでフィールドインタビューする
・ラボに毎週、ユーザーに来てもらう
・必ず、意味のある情報を得ようとする。AとBを単純にユーザーに渡してテストするみたいなことはせず、ユーザーへの深い理解を得ようとする。
・カスタマー・サポートから情報を得る
・Webのログ、A/Bテストからフィードバックを得る。

第3部: Lean UXの実践

・アジャイルをUXに適用することはけっこうたいへん
・スタッガード・スプリント
    ・開発の1スプリント前に、デザイン活動を行うこと
    ・デザイン活動にチームメンバーが参加すれば問題ないのだが、断絶しがち
    ・デザイン活動をデザイナーとかPMとかだけが行うのであれば、ウォーターフォールと変わらないからダメ
・デュアルトラック・アジャイル
    ・チームをディスカバリ・ユニットとデリバリー・ユニットにわけて、ディスカバリ・ユニットがUXを考える(デザインスプリント的に)
    ・これもダメになりがち
・一番良いのは、スクラムのリズムを見極め、随所随所にデザインタスクを散りばめていく
・はじめにデザイン・スプリントやデザイン・スタジオを導入する
・イテレーション・プランニング・ミーティングでアウトプットする
・最終的にはユーザー評価をスプリントに組み込む
・とにかく全員で参加することが大事
・デザインはチームスポーツである
・最終的にはスクラム的なアジャイル的な取り組みを全社に広げていく

すごく良い本だったので、気になった方は是非読んでみてください!

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わーい!ありがとうございます!!
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よつくら

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