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「誠実なクズ」としてのポリアモリー

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お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を持つ「ポリアモリー」をパワポを使って紐解いています。
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「普通に考えたら」って言うのはマジョリティハラスメントだよ、って話。

「多様性を認めよう」 というセリフが嫌いだ。 別に認めなくていい。ただ「そこにある」という事実だけ認識すればいい。それ以上でも、それ以下でもない。 「認めよう」なんてスタンスは驕りだ。 自分がマジョリティ側にいると認識した上で「マイノリティー側も認めてあげよう」という姿勢が透けて見える。 「お互いに認め合おう」ならわかる。 マジョリティもマイノリティを認め、マイノリティもまたマジョリティを認める。それは両者に必要なスタンスだ。 ただこの世界はどうしても多数派が強

マジョリティは、マイノリティをナチュラルに搾取しているかもしれない。という少し怖い話。

あなたはポリアモリーという言葉を知っているだろうか? 「複数恋愛」や「複数愛」と訳されることが多く、 ・お互いに合意の上で ・複数の人と ・同時に ・性愛関係を築く ・ライフスタイル のことだ。 最近はテレビや雑誌で特集されることも増えてきた。 私自身も兼ねてから、日経COMEMOのキーオピニオンリーダーとしてポリアモリーについて発信してきた。 当然、批判されることも多い 批判のパターンもいくつかあるが、特に私のような男性の立場からポリアモリーを発信すると「それ

「結婚している」からと言って「1対1の恋愛を望んでいる」とは限らない。パワポで考える関係様式と、関係指向の話。

「性的指向」という言葉を耳にすることが増えた。 これまでは男性は女性が好きなもので、女性は男性が好きなもので、それがスタンダードで、それが当たり前とされていた。 しかし「ダイバーシティ」という言葉が世間に定着して以来、それは当たり前ではなく、人それぞれ違うことが当たり前になった。 性的指向(Sexual Orientation)とは、どの性別の人に性的に惹かれるか(または惹かれないか)という指向のことを表す。 ちなみに「指向」とはその人が持つ「考え方の方向性」のことで

婚活に合コンはもういらないけど、結婚後に合コン経験は役に立つと思う。

結婚のきっかけとして「マッチングアプリ」が1位に躍り出た。 とある調査によると、結婚相手と出会ったきっかけのランキングは以下の通り。 同調査によると、2016年に結婚した夫婦では「マッチングアプリがきっかけだった」との回答は0%だったようで、この数年で劇的な変化だ。 マッチングアプリのことを「出会い系サイト」と呼ぶ人はもう見かけない。 では反対に、この数年間で減っていった結婚のきっかけ。 それが「合コン」であることは想像に容易い。 事実、検索ワードのボリュームで比較

フェミニズムとミソジニーの議論をパワポで考えていたら「無意識の既得権益」が見えてきた。(後編)

前回の記事では「射精責任」という書籍の発売をめぐって起きている論争をきっかけに、思考のフレームを整理した。 その結果「◯◯で得をした or 損をした」という経験を拡げようとした場合に軋轢が生まれやすいこと。特に「得をした」という経験を拡大させる場合、得の上限によっては抵抗勢力が生まれやすく、それは同時に「無意識の既得権益」が顕在化するトリガーである、という話を書いた。 後編では、この「無意識の既得権益」について、また既得権益の逆の概念(生まれ持った損)やミソジニーについて

フェミニズムとミソジニーの議論をパワポで考えていたら「無意識の既得権益」が見えてきた。(前編)

「射精責任」というタイトルの本が出るらしい。 まだ中身はわからないが、なかなか刺激的なタイトルなので、Twitterでは発売前から物議を醸している。 「受精責任もあるだろ!」 という男性からの批判が多いが、今回の件に限らず、この手の議論はよく見かける。 女性だけが損をしている 男性だけが得をしている もしくは 女性だけが得をしている 男性だけが損をしている こんな対立構造で語られることが多いこれらのジェンダー議論だが、 「男女共に得をできたらいいよね」 もし

ポリアモリーをやってみたら、自分のロジックが壮大に崩壊した話。

あなたはポリアモリーという概念を知っているだろうか。 1990代のアメリカで広まった概念で、それを牽引したデポラ・アナポールという学者が書いた「ポリアモリー -恋愛革命-」は、2004年に日本語版が発売されるも即完売。現在は中古でもかなりの高額で取引されている。 そんなポリアモリーとは、 ・複数の人と ・同時に ・性愛関係を築く ・ライフスタイル のこと。 前述の書籍には「出版社からのコメント」として、こんな文章が添えられている。 昨今ビジネスの世界で頻繁に叫ばれ

これからの人間関係は「目的ありき」になっていく。

かれこれ15年、本業は若者研究をしている。 別に今流行りのZ世代にだけ注目しているわけではなく、その前のミレニアル世代だったり、ゆとり世代も研究していた。 若者を定点観測していると「少し先の未来」が見えてくる。それが研究の目的だ。 いわゆる定量調査(アンケート)や定性調査(インタビュー)もするが、ちょっとユニークな研究手法の1つに未来予測レポートというものがある。 このレポートはツギクルレポートと呼ばれ、 ・自分の身の回りで起こっている事象から ・少し先の未来では

「誠実なクズ」としてのポリアモリー

「このイベントは倫理的に問題がある可能性があるので、上長に確認させていただきます。」 そんなことを言われた経験がある。 今から3年前、ポリアモリーのイベントを開催しようとした時のことだ。 ポリアモリーとは、1対1の恋人関係に縛られず、合意の上で複数と恋愛関係を持つライフスタイルのこと。1980年代のアメリカで生まれた概念で、対義語はモノアモリーと言う。 いわゆる一夫多妻制との違いは、こんな感じだ。 文化人類学のカテゴリで語られることが多いポリアモリーだが、まだまだ一

「わたし、ポリアモリーなんです」と言った後の流れについて説明します。

ポリアモリーという言葉をご存知だろうか。 1対1の恋人関係に縛られず、合意の上で複数と恋愛関係を持つライフスタイルのことで、僕はこのポリアモリーを実践している。 近年は日本のメディアでも紹介されはじめたが、一般的な認知率はまだ5%程度。「知らなくて当たり前」なのが、ポリアモリーだ。 そのため「わたし、ポリアモリーなんですよね」と伝えた際は、毎度同じ説明をすることになる。 そして毎度、同じ質問を受ける。 そのやりとりが、もはやフォーマットになってきたので、今日は一連の

不動産契約のダイバーシティ。

友人が珍しく悩んでいた。 原因はシェアハウスだ。 と言っても、友人はシェアハウスに住んでいるわけではない。 シェアハウスの経営をはじめたのだ。 悩みの種は、とある契約書だった。 友人はシェアハウスの入居者を募集するため、募集サービスや、他のシェアハウスグループとの提携を模索していた。 しかし、その一企業から提示された契約書にある「とある項目」が引っかかった。 その内容とは というものだ。 一見すると「何が引っかかるんだろう」と思ってしまうこの項目。 僕も最初は

婚前契約とは、「2人だけの結婚」で結ばれること。

「そろそろ結婚しようかなぁ」 そうつぶやく友人に必ず勧めていることがある。 それが「婚前契約」だ。 婚前契約とは、結婚前の2人が結婚後の生活や、離婚の条件などを事前に決めておく契約のこと。 欧米では浸透しているこの習慣だが、日本で婚前契約を結ぶカップルはまだ5%に満たないと言われている。 結婚も離婚も経験した僕は、この婚前契約こそ ・結婚を増やして ・離婚を減らす その突破口になると考えているので、その理由を例によってパワポで解説してみる。 今日はそんな話。

嫉妬を構造化したらポリアモリーになった。

今日は自分が「ポリアモリーかも」と感じた時の話をしようと思う。 ポリアモリーとは、お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー(恋人は一人という価値観)。過去のシリーズはこちら。 ■嫉妬に悩まされたモノアモリー時代モノアモリーは「恋人(パートナー)1人派」、つまり今「普通」とされている恋愛のスタイル。僕も多くの人たちと同じように、人生の大半をこの前提で生きてきた。 一方で、嫉妬という感情に悩まされたのもモノアモリー時代のことだ。

「ロマンティック・ラブ・イデオロギー」と「リレーションシップ・アナーキー」はバンド名じゃないけど、パンクロックな気がする。

ポリアモリーを知ってから色んな価値観がひっくり返された。 でも、ひっくり返った価値観で生活をしてみると「むしろ、こっちが表だったじゃないか」と思うことがよくある。 ロマンティック・ラブ・イデオロギー と リレーションシップ・アナーキー この「2つの言葉」もそれをよく表している。 今日はそんな話。 ポリアモリーとは、お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー(恋人は一人という価値観)。過去のシリーズはこちら。 ◾️現代価値観への