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4/22-5/3 本を3冊読んだ

4/22
 晩御飯。納豆、厚揚げ豆腐にキムチのせ、キャベツしらすレンジ蒸し、かぶの味噌汁。
4/23
 お昼レンチン牛丼と昨日の残り。晩ご飯。玉ねぎひき肉トマトのキーマカレー、じゃがいもピーマンハム玉ねぎオムレツ。
 西加奈子『くもをさがす』読了。

4/27
 いつも自分の後ろにボタンみたいなものがあって、振り返ると遠くにあったり近くにあったり、タイミングで距離は変わる。真後ろに迫ってきて振り向いて押すしかないと思っても振り返る勇気はない。そんなときもあれば存在を忘れているときもある。

4/29
 森達也『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』読了。読んで思い出すのはまず祖父のことだった。祖父は私が高校生の頃に亡くなり、その数年前から植物人間にあった。脳の手術の影響で頭が凹んでいてニット帽をかぶっていたのが最期の印象。「亡くなった」と「ニット帽をかぶり眠っているように見える」の境目は自分にはよく分からない。話すことはできない。治ることはない。ピッピッと規則的に続く電子音だけが生存を確認させる。植松聖の基準では不合格だ。病院には何度か行ったが祖母が一方的に何かを話しかけ身体を撫でおむつやらなんやらを補充し帰るだけだった。1人で行ったこともあるが私は彼に話しかけなかった。生きていたって言葉を交わすことはほとんどなかったのだ。意思を持たない生命体に話しかけて何かが通じるとも思えないし。1度何人かで行き帰りに食事をした。病院は白金にあり駅近くの鉄板焼き屋に行った。高級そうなお店。港区のこんな立派なお店で美味しいお肉を食べているのに、すぐそこで祖父は眠り続けている。ここでこんなことをしてて良いのだろうか。せめて吉野家で急いでかっこむような食事だったらまだ良かったような気がした。それは罪悪感とも言い切れない後ろめたいような違和感だった。
 意思疎通のできない障害者を一度に大量に殺害する。精神異常者の犯罪を短い期間で裁き死刑に決めてはい終わり。そんな簡略化で語り切れないブラックボックスに気付かされる。最初に事件を知ったときは何てひどい、犯人は異常だ、くらいの印象に終わったと思う。当たり前の価値観。障害を持つ人を差別してはいけないと小学校で習ったからである。
 小学校近くの施設で働いていたミスターデブと呼ばれていた男、近づいちゃいけないと教えられた、障害を持っているんだから、何か話しかけられても無視すること。昨日ミスターデブに〇〇って言われた、駅で〜していた、なんて先生に言うのは普通だった。先日地元を歩いていたら彼を見た。変わらない目立つ巨体、ブルーのオーバーオール。中学のクラスにいたダウン症の人の顔つきに似ていた女の子。平均身長より背が低かった。彼女は支援学級に行くか普通学級のままでいるか親と先生が話していると言っていて、背が低いこと以外は普通に見えた。その頃私はダウン症の顔つきというものをよく分かっていなかった。同じ年齢の子どもには分からないくらい普通だった。そして高校大学へ進み会社員になると同じような立場の人しか視界に入らなくなる。私は障害者というものを知らないのだ。どんな障害がありどんな施設があるのかまるで知識がない。植松は知っていた。働いて接する中で昔からの「障害者は死ぬべき」という考えを強固にした。本によると、考えれば当たり前のことだが、施設では虐待のようなものが日常化していた部分もあるという。昨今老人ホームや入管施設でも事件が起きている。声をあげられない人を前にしたとき善意やモラルは崩壊する。それが人なのかもしれない。◯◯人だから、戦時中だったから、障害者だったから、結核だったから、差別する。コミュニティで上手く関係を築けない人もウザいから排除する。部下が言うことを聞かないから怒鳴る。不快なことを言われたから物に当たる。拒否と排除は同じだ。植松は彼らに生きている価値がないから殺した。排除。殺すなんて異常。普通じゃない。だが一方で植松には責任能力があるとみなされた。
 植松は小学生の頃の文集にも障害者は生きる価値がないと書いている。彼の考えを変えられなかったのは誰も明確に答えられないからではないだろうか。人の命に優劣をつけてはいけないから?だとするなら何故植松は死刑になったのか。植松に生きる価値がないから排除する。凶悪犯罪者を税金で生かしておくべきではないから?私が考えなければいけないのは植松の問いの答えではないだろうか。祖父はあそこで生きていたといえるのだろうか。もし彼に財産がなければ入院を続けられず早く生涯を終えていたか。孫の目から見ると祖父は彼の妻や子供たちに生かされていた。彼自身が望んでいたかは分からないのに。生きる価値がない。事件を起こす前の植松や、そして私自身にその価値はあるのか。誰にあって誰にないのか。そんなことを考えても答えはでないが、事件に対する見方は変わった。社会そのものに、私に、植松の思想の一部が根付いていると気付く。



 表参道で撮影2件。暑いくらいの天気。笠原さんは感情のこもった体温のある話し方をされる。他のモデルの方もそうだけど、そういう良い空気感を基礎的に持っている人って、本当にすごい。すごい、すごいな〜と思うけど、すごい箇所がありすぎるし、脳みそぶん回しても覚えておきたいことを覚え切れない。天は二物も三物も与えるんだな〜。
 青山ブックセンターのnoteで植本一子さんの新刊情報がでてて近くに行くし寄ってみた。そしたらサイン本を買うにはポイントカードを作らなきゃいけないんだって。用紙に住所とか書くんだって。予想外のことに柔軟に対応するキャパはないのでサインなしのを買った。サイン本を転売しようとした奴だと思われただろうか?
 ランチのつもりが15時に池袋のスンドゥブ屋さんに着いた。遅い。店内は若い女性客が多くターゲット層に合わせてるのか若いK-POP系の男性店員が多くておののく。普段生身でイケメンを見ることがないので絶対に顔を見ないようにした。1人ランチの理想はアジュマが客席でぼーっとしてて入ると立ち上がってご飯用意してくれるような適当なご飯屋さん。世界堂で画材を買い東武で化粧品を買いへろへろで帰宅。iPadを買い換え更に金欠。
 晩ご飯。鮭とほうれん草のシチュー。キャベツのマスタードマリネ。
 今朝は寒くて起きて布団かけ直したら暑くて悪夢で目覚めた。難しい。

 4/30
 植本一子『愛は時間がかかる』読了。すごい本。『かなわない』なんかは読んでて辛くなっちゃうときもあるがこれは回復の道のりについてなので辛くなかった。けど植本さんの過去の本を読んだことがない人はびっくりするかもしれない。高校生の頃に教師にされたことも改めてひどい話だと思った。たぶんどこかにもっと直接的に書かれていたから何となく内容は知っているが、この本はマイルドにまとめられている感じ。直接的に内容を書いていない回もある。パートナーが女友達に爪をマニキュアで塗られていたことやお母さんのちらし寿司の話を過去に読んだときは植本さんの視点で読んでいて、ありえない!許せない!みたいに思ってたけど、今回読んでああそうかと腑に落ちたような目から鱗みたいな印象だった。捉え直しで新たに見えてきたもの。自分で自分の過去を掘り起こしてまた違う形で埋める。
 大人になってから今まで生きてきた自分の過去を見つめ直そうなんて。きっとやり過ごす人も多いと思う。辛い思いをするかもしれないのに取り組む姿勢に驚いた。自分でそうすべきだと思い至った時点で良い方向へ目が向かっているのだろう。私までああ植本さんのパートナーの方は/お母さんはそんなつもりじゃなかった、不器用だった、本当はこう思っていたのかもしれないと考えが改まってきた。白黒の境界に筆を垂らして灰色に滲ませるような。あのときお母さんのちらし寿司を食べなかった自分も悪くないし、捨ててしまったお母さんは行き過ぎているけど、でも食べて欲しいという願いを踏みにじられたように歪めて捉えてしまったんだろうなと。
 普段本を読んでて楽しいとか面白いとか考えさせられるとかの印象が多い。この本は違って、教科書というかガイドブックのような、自分にとって必要な本だと思った。

 晩ご飯。じゃがいも新玉ねぎ豚こま甘辛炒め、厚揚げ豆腐とキャベツ煮。

5/3
 表参道で撮影3件駆け抜け。暑かったけど風が吹いてて心地よい。新橋で現像。初めて頼むところ。入ろうとしたら時計屋さん?で証明写真とかもやってるみたいで、まるで何屋なのか分からない。おじいちゃんが座っているが腕時計が並ぶガラスカウンターには奥にいるのでベルを鳴らしてください、とある。普通のカメラ屋にある価格表もない。バッグからフィルムだして、これ現像できますか?と聞いてみる。おじいちゃんが腰をあげ近付いてくる。うちカメラ屋じゃないとか言われる?でもHPに載ってたし…ここには一言も書いてないけど…。「できますよ。できますけど…週明けになっちゃいます」別にいいのでお願いする。4本だして受付票を渡される。「あのう……おいくらくらいなんでしょう?」自ら聞くスタイル…。でっかい電卓をタンタン!とはじいてだされた金額はHPの価格より全然高かったけど、HP更新とかしなさそうだな…と思った。
 お昼食べに喫茶店へ。テノール歌手みたいに声の響く男性店員さん。ご飯食べ終えようとしたらミルク持ってきてコーヒーお持ちしますと言われた。すごいタイミング。他の店員さんも仲良さそうで常連さんきたら挨拶してみたいな良い雰囲気だった。こんな風に気持ちよく働いてる人がこの世にいる…。会計の時領収書書くか聞かれたけど私は何屋に見えたんだろう。バカ眠いので帰宅。
 晩ご飯。冷凍コロッケ揚げて、ほうれん草とトマトとチーズ焼いたもの。

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