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事務所復帰のご挨拶


はじめに

この度、3年9か月の出向を終えて元々弁護士としてのキャリアをスタートした弁護士法人淀屋橋・山上合同に復帰致しました(正確には4月1日から事務所には籍を戻しており、4月15日までスペースマーケットの有給消化をしていましたが4月16日から新たにスペースマーケットについてはGeneral Counselという立場で関与していきます)。

事務所の皆さんからは「もう戻ってこないのではないか」と言われ続けて数年が経ち(笑)、この出向期間中(二度も延長させていただきました)に子どもも二人生まれ、スペースマーケットは無事に上場を果たし、復帰直前にはアメリカでの在外研究も経験させてもらうことができました。

アメリカでお世話になった皆さん、最後帰国日を早めざるを得なかったこともあって直接ご挨拶できないままとなってしまったことをお許しください。この危機を乗り越えたら、必ず家族みんなでご挨拶に行きたいと思いますので、今はStay at homeで何とか耐えましょう。

出向を通じて感じたこと

2016年の7月(最初思い立って重松さんに連絡したのが2015年11月だからもう4年以上前か…)、外部カウンセルではなく、敢えて中に入り込むことによって彼ら自身が気付かない法的問題点を洗い出すこともできると考え、飛び込んだスタートアップ企業でしたが、想像以上に弁護士が関与できる部分は多くあると実感しました。従来の弁護士の枠に囚われず、よりビジネスに近いところで、リーガルマインドを駆使しながら様々なステークホルダーとやり取りする経験は非常に刺激的でした。

いわゆるリーガルアドバイザーの範疇を大きく超える業務を担当させてもらい、従来の考え方からすると弁護士がやるべきではないという業務も含まれていたかとは思いますが、もはや「弁護士がやるべき」かどうかの境界線が溶け始めていると感じています(TMIなんかコンサル会社を作ったりVC作って出資し始めましたし、NO&Tもモンテスキューに出資したりしていますよね)。

弁護士登録をしながらリーガルテック分野で起業した知人も多く、この境界線の隙間にこそ、まだまだ広げられる弁護士としての活動領域(ビジネスチャンス)があると考えています。

なぜ、今、法律事務所に復帰するのか

最近は本当に多くの弁護士の皆さんがスタートアップ界隈に飛び込んで来てくれている中、なぜ今更元の事務所に戻るの?と良く言われます。ありがたいことに、たくさんの方からお誘いいただいたりして、本心としては相当揺れ動いたのは事実ですが(笑)、事務所の後輩たちに弁護士ってこんな仕事の仕方もあるのかという世界を見せたいという思いと、何より、まだ当時誰も知らなかったスタートアップへの出向を許してくれて今回温かく迎え入れてくれる事務所への恩返しもしたいという思いが大きかったですね。うちの事務所は、大阪含めて全員の顔が見える規模の事務所だからこそやれることがあると信じており、ローファームのアップデート、「法律事務所2.0」を目指して、事務所に戻る決意をしました。

内心、常にほかのみんなの考える一歩先を行きたいという天邪鬼的な考え方もあるのは否定しませんが、スペースマーケットの社員として働きつつ副業的に紹介ベースで拡げたほかのスタートアップの皆さんのお仕事をやる中で個人として対応し続けるには早晩限界が来ること、そして動きの早いビジネスの世界で生き残っていくためには今の経験値を敷衍して再現性を高めていく必要があることを実感したから、ということも大きい要素でした。もう一度外部カウンセルとしての腕を磨きつつも、より踏み込んだビジネス寄りの考え方もできる弁護士になるべく、復帰します。

今後取り組んでいきたいこと

ということで、今後は、外部カウンセルとしての従来型の弁護士としての機能も大切にしつつ(長らく離れていたのでまた一から勉強し直しです)、スタートアップ企業向けに、より当事者意識を持った一人のビジネスマン(General Counsel)として新たな弁護士像を追求し、市場を開拓していきたいと思います。

具体的には、

① ルールの捉え方や視点を変えることで新しい市場獲得につなげるなど、リーガルリスクを「チャンス」に変えていく戦略的な法務機能(=攻めの法務機能:インハウスローヤーの中で話題の例の報告書から拝借しています。委員である水野先生、斎藤先生、渡部先生という最先端の先生方と接点が持てたのも事務所を飛び出したことがきっかけで広がった人脈のおかげです。)の実装に向けた業務や、

② 企業の中に一歩踏み込んで企業が健全かつ持続的な成長を実現するための法的支援を含むビジネスのナビゲーターとしての業務(社外役員としてのお仕事も少しずつ増えてきましたが、まだ枠は空いています!)、

③ 政府や関係省庁が設置する最新のビジネスモデルに関する検討会議・専門家会議の委員の業務

などです。

その意味では、スペースマーケットと同時並行的に立ち上げ初期からずっと関与させてもらったシェアリングエコノミー協会との出会いも大きな影響を与えてくれました。数多くの委員会や有識者会議に参画する機会をいただき、本当に感謝しています。また、事務局メンバーがこんなに能動的・積極的に動いている業界団体は見たことがありません。この出会いに感謝しつつ、この新型コロナウィルスとの闘いにどう立ち向かっていくのか、解決すべき社会課題は何なのか、そのために掬い上げるべきアジェンダは何なのかを今後もアドバイザーとして関与しながら考えていきたいと思います。

また、地道に取り組んできたスポーツ法務も、弁護士になった当時を考えれば認知度も活躍できるフィールドもかなり広がって来たと感じていますが、まだまだスポーツの可能性はこんなものではないと思っていますので、貪欲に新たな市場を開拓したいと考えています。

長くなってしまいましたが、今後はスタートアップ×シェアリングエコノミー×スポーツという3つの分野を軸に新たな価値を提供し、「世界中の人々のあらゆる法的ニーズに応える」という事務所のVisonを体現できるよう頑張っていきたいと思います!

今こそ、シェアが必要

世界を巻き込んだ新型コロナウィルスとの闘いの中での環境の変化ということで、大変なタイミングになってしまいましたが、元々アメリカで3ヶ月以上リモートワークを続けていたおかげで緊急事態宣言下でも自宅からのリモートで変わらず仕事が出来ており、何とか生活も落ち着いてきました。

ただ、この状況はそんなに早く好転しないと覚悟しています。状況が目まぐるしく変化する環境の中ではありますが、この逆境を追い風に変えて人間が進化するチャンスと捉えられるかどうかが試されている。そんな気がします。働き方改革もリモートワークも、今回の新型コロナが転機になることは間違いないでしょうし、様々な社会課題を解決するための一つのきっかけに出来ればと考えています。

そして、逆風が吹き、所有への回帰が叫ばれ苦境に立たされていると指摘されるシェアリングエコノミー。でも、このパラダイムシフトは止まらないと思っています。今回の危機で一人では生きていけないということを、皆さん実感しているのではないでしょうか。一定の調整はあるにせよ、よりサステナブルな世界を目指すという方向性は変わらないと思いますし、今こそ、お互いに支えあって、この難局に立ち向かうというシェアの精神が必要です。

(去年私がシェアリングエコノミー協会のメンバー持ち回りで執筆したnoteの記事を貼っておきます)

何かお困りの際(又は身の回りでお困りの方がいらっしゃる場合)は、是非お気軽にお声かけください。何ができるかは分かりませんが、私の周りの人を含めてみんなで知恵を出し合って、力を「シェア」すれば何かしらお手伝いできる部分はあると信じています。

キンコン西野さんのこちらの動画(冒頭から25分くらいまで)でも、言葉の端々に「シェア」の考え方が今こそ求められているという話が出てきます。分断とかしている場合ではない、もっと協力して生きて行けよ、と新型コロナウィルスに言われているのではないかと。そういう捉え方、いいですね。私もその考え方に近いです。

スタートアップの支援等にご興味がある先生方も連絡していただければ色々情報共有できると思いますので、お気軽に連絡ください!

まだまだひよっこですが、Twitterも始めています。やるやる詐欺になってしまっていたうえ、最近のバタバタですっかり止まってしまっていたので、ちゃんとやっていきたいと思います。 

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。


石原遥平

Mail: y-ishihara@yglpc.com


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