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なぜ東京に集まるのか

40年弱生きてきてずっと不思議に思っていることがある。この日本という国はなぜ東京に何もかもが集まるのか。人も政治も経済も東京に集中しており、通勤時間帯の満員電車に、乗客は当たり前のように押し込まれながら乗り込んでいく。すでに公共交通機関のキャパを超えるほどのリソースの集中だというのに疑問に思わないのだろうか。

一方、地方は人もなければ人を呼び込むインフラも仕事も乏しい。卵が先か鶏が先かではないが、人がいないから人が集まる箱や産業はできないし、箱や産業がないから人は地方を離れて上京する。

私は生まれも育ちも東京ではない。進学や就職の折には、人が多すぎる東京へ住むのは避けるようにしていた。しかし運命のいたずらか、仙台の企業に就職後に仕事の都合で東京へ転勤し、2005~2010年は明治座の近くに住んでいた。仙台の企業に入っても、生き残っていくためには東京へ行かなければならない、という現場にいたのである。

たいていの大企業は東京に本社を構え、国内初のブランドショップがオープンする際はたいてい都内のどこかが一号店となる。企業やブランドの側からすれば、東京を含め首都圏には人が多く、取引先や顧客が多いから東京に居を構えるのだ、ということなのだろうが、あまりにも東京とそれ以外との格差が広がりすぎているのではと思う。

思えば、日本は江戸幕府が成立してから東京を国の中心として現在まで運営されてきた。政府も皇居も経済の中心も鉄道網も、ありとあらゆるものをすべて東京に集中してきたのが今日の日本である。

土木技術の発展が乏しい江戸時代~大正時代であれば、関東平野という人が住みやすい広大な平野があり、北国に比べると温暖で降雪が少ない東京を国の中心とするのは、地理的な側面から納得できる。しかし現代の日本人は建築機械を駆使し、山を削り海を埋め立てる技術を有しているのである。「古来から自然が形成した平野にしか住めないから、そこに人は集まるのだ」などという論理は筋が通らない。

東京大空襲によって焼け野原となった東京を急速に復興するため、東京にリソースを集中した、というのもまだ納得できる。しかし東京大空襲から70年の年月が過ぎ、いまだに東京にリソースを集中しているのはおかしいだろう。2018年現在の時点で「東京大空襲からの復興は終わっていない」などという人はもはやいないはずだ。高度経済成長時代を経て日本が世界第2位の経済大国となった時点で、国の大方針として地方へのリソースの再配置を推進するべきだったのだが、いまだに日本は「地方から上京して出稼ぎ」という文化を続けている。

ちなみに東北地方の場合、青森・岩手・秋田・山形・福島の各県民は宮城を目指し、宮城県民は関東地方を目指す流れになっている。

この宮城県を中継して首都圏にリソースが流れていくのを逆転させたい、というのが私のライフワークである。

一枚絵にするとこんな感じである。

特に首都圏から仙台に向かう流れをつくりたいと思っている。というのも別の記事でも触れたが仙台は年間の真夏日と真冬日の合計が全国でも少ない地域であり、家賃が東京より安いという強みがある。はっきり言って真夏の東京は人が住む場所ではないと思う。気象庁のサイトで東京の年別の気温を公開しているが、最高気温はもうすぐ40度の大台に乗るところまで差し掛かっている。2020年東京五輪は熱中症の被害が深刻になると思うし、被害を防ぐ手立てもないだろう。

3~5月を春、6~8月を夏、9~11月を秋、12~2月を冬とみなすことに同意してもらえるならば、仙台はほぼこのカレンダー通りに四季がやってくる。たとえば東京で紅葉が見頃になるのは12月上旬あたりだろう(あと何年かしたら紅葉とクリスマスが同時期のイベントになるかもしれない)、しかし仙台では10~11月に紅葉が見頃になり、12月に初雪が降る。東京の桜は3月の卒業の季節に散る花だが、仙台の桜は4月の入学の季節に満開になる花である。

はっきり言って政治も経済もビジネスもプライベートもありとあらゆるものが東京に集中する時代は終わりにさせるべきだと思う。取引相手がすぐ近くにいる方が何かとやりやすい、というのであれば、それは通信網が発達していなかった昭和時代までしか筋が通らない。直接現地に行って直接顔を合わせないとビジネスが成り立たない、などというのは時代遅れだ。今後、ビジネスのグローバル化や宇宙開発などが発達することで、取引先との物理的な距離は広がる一方だ。地球上と地球外の地点との取引だって日常的になる。そんな時代に取引相手と直接会わないと、なんて言ってられるかい?言い換えれば、face to faceでnon-verbalな手法(身振り手振り、声の抑揚、目線)に頼らないと相手とコミュニケーションできない、なんてビジネスのやり方は、もうやるべきじゃないってことだ。

この記事は、東京を本拠地とする企業の経営者や東京在住者に是非読んでもらいたい。そして率直に、東京は今のままで本当にいいと思っているのか、おかしいと思っているのか、意見をもらいたい。

私は、政治の中枢や皇居は東京のままでも構わないと思うが、官公庁や企業は地方に分散すべきだと思う。分散したとしても現代の通信技術を駆使すれば実務に支障はないはずだ。

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